Vol.70 12月29日号 週刊あんばい一本勝負 No.67


今年最後の「週刊ニュース」です。

 今年は29日まで仕事。といってもこの日はミーティングと大掃除、打上げで終了です。
 小舎では年間を通じてほとんど会議をやりません。01年度は特に「会議なし」の月が多く、その理由としては基本的に嫌いなこともありますが、もう皆自分のやらなければならないことをわかっているので、お説教大会はイヤなんです。それぞれが自分のやることで忙しく会議どころじゃない、というのがベターですから年末のミーティングはいわば年1回の儀式です。大掃除は、毎日ちゃんとやっているので形ばかりです。大きなゴミを有料ゴミ処理場に出し、それで終わり。打上げも、全員が自動車通勤ですからお酒を飲めません。お寿司を取ってお茶で乾杯して終わりです。お昼までで解散ということになりますが、皆がちゃんと顔をそろえてまじめに話し合う機会は年末のこの日だけといっていいかもしれません。
(あ)

年末会議風景

大掃除

庄内の麦切り

 何冊かの本の打ち合わせがあり、山形県庄内の鶴岡に行ってきました。いつも出張は自動車を運転して行くのですが、久し振りに羽越本線の「日本海」という名前の列車に乗ってみました。吹雪と荒波の日本海を車窓から眺めながら、という光景であれば絵になるのですが、残念ながら乗ったのは夜のため窓ガラスには自分の顔が反射しているだけです。
 そんな感じで鶴岡に行き、朝日村に住むフリーライターの長南さんと昼をはさんで打ち合わせをしました。長南さんは食べ物取材を得意とするライターのため美味しい店情報が豊富。おかげで打ち合わせではいつもいい思いをすることができます。今回の昼食は「麦切り」で有名な「三昧庵」。三年ほど前までは鶴岡の致道博物館内にあったのですが、今は閑静な住宅地に移転して営業をしています。
 「麦切り」とは庄内名物の麺で饂飩でも素麺でもない小麦を素材にした細めの平麺です。本来は冷たい麺が美味しいのですが、冬場は暖かい麺もなかなかいけます。天然ものの「青首(真鴨)」を使った暖かい鴨うどんがお目当てでしたが、今日は残念ながら鴨の入荷なし、ということで変わりに「肉うどん」と、冷たい麦切りとそばを同時に出してくれる「合い盛り」を食べてきました。いくら美味しいとはいえ同時に二食はやはり多く、満腹の腹を抱えての午後からの打ち合わせは睡魔との戦いでした。
(鐙)

冷たい「合い盛り」(左)と暖かい「肉うどん」

新刊ラッシュの一年、ありがとうございました。

 読者の皆様、書店の皆様、今年もいろいろお世話になりありがとうございました。
 今年の刊行点数は約40点。毎日のように新刊に追いかけられた一年でした。来年は一点一点を大事に売っていきたいとおもいます。
 今年の春、今まで使っていた築20年のプレハブ倉庫を解体、5月に二階建ての新倉庫になりました。喜んだのもつかの間、あっという間に床から天井までギッシリ本の山で埋まってしまいました。2002年は、これらの既刊本を中心に販売作戦を開始したいと思います。来年も何卒ご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
(岩)

天井まで埋まった本棚

私は「農家のオヤジ」か!?

 また生身で写真出演することになってしまった渡部七郎です。官民が共同で出版する方式などで全国的に話題を集めた『秋田のことば』のCD−ROM版(2003年3月刊予定)の制作が進んでいますが、今回はその画像に出演依頼されてしまいました。私は編集者だっつうのに。
 CD−ROM版は、画像・音声などを豊富に収録して「生きた秋田のことば」が体験できますが、その中の「ほがンぶり」(頬被り)という言葉の画像に、鐙編集長から「適役」とおだてられ、臨んだ写真がこれです。後ろから舎長の一言。
「入れる言葉の項目が間違っている。この写真は、ほじなし(秋田弁でバカ者)の項だろう」
(七)

ほじなしのほがンぶり

知人の出るお芝居

 秋田市の「シアター・ル・フォコンブル」という劇団によるX'mas特別公演「モナ美」を観てきました。演出の富橋信孝さんと無明舎の男性陣は古くからの友人だそうですが、私は初めての観劇です。今度刊行する「岩手の公共温泉」のカバーモデルをしてくれた夏井友美さんも出演しています。
 物語は小学生時代に出会った2人の女性の50年間の友情と別れを描いています。夏井さんは主人公の大学時代の知人で学生運動に力を入れている学生役です。「出番は3分くらい」と言っていた夏井さんですが、いえいえ7〜8分は出ていましたよ。
 ちゃんとした劇場で本格的な芝居を観るのは久しぶりだったうえ、知人が出演しているので、ドキドキして冷静に見ていられませんでした。が、私が勝手に緊張していただけで、高校時代も演劇部だったという夏井さんは堂々として、役柄にもピッタリと合っていて見とれました。ストーリーも感動的でしたが、キラキラ輝いている夏井さんにも感動ものの一日でした。
(富)

「モナ美」の一場面

今年一年をふりかえって

 一年間を振り返ってみると、私にとって一番大きな出来事はやはり国体に出場したことでした。6月の終わりに「東北ブロック大会」で国体出場が決まってからの2ヶ月間は、朝8時から午後3時まで出勤、そのあとカヌーの練習という毎日でした。丸一日働けるのはオフの月曜日だけ。時給制のアルバイトだからと割り切ってはいたものの、他の人の半分も仕事をしていないような気がしてしかたがなく、申し訳ない気持ちにもなりました。
 全国にたくさん(?)のカヌー選手がいる中で、忙しい職業の定番といわれている出版社勤務の選手というのは珍しいのではないかと思います。仕事と練習の時間の配分は、社会人選手のほとんどが抱える悩みですが、私はとても恵まれていると感じています。それだけ周りに迷惑をかけているということなのでしょうが、試合でもっといい成績を出すことで許してもらおうかな、と思っています。トレーニングをしていて仕事に役立ったと思うのは、力がついて重いものを持てるようになったことです。100冊ぐらい入った本の箱も、軽々とまではいきませんが運ぶことが出来ます。久しぶりに会った人に「肩幅がぜんぜん違う!」と驚かれるくらい、一年ですっかりたくましくなってしまいました。
 来年は笑顔で成績を報告できるように、今からトレーニングに励みたいと思います。
(柴)

寒さに負けず冬も練習

No.67

すべて世は事もなし(筑摩書房)
永沢光雄

 あの名作ノンフィクション『AV女優』や『風俗の人たち』の著者が初めて書いた短編小説集である。17本の短編が収められているが、そのうち9本目に収録されている「二人ぼっち」という小説は、たまたまPR誌「ちくま」で読んで、「うまくはないけど不思議な後味の残る世界だなあ」という印象をもった。急に自分に口を利いてくれなくなった妻のことをあれこれ詮索する物語で、結末は酔った自分の一言が原因だったことがわかるという、けっこう怖い作品である。前半は小説の体をなしていないものが目立つが、この9つめあたりから「水を得た魚」のように滑らかに生き生きと登場人物たちが動き始める。さすが小説の方法に慣れてしまったのだろう。あきらかに出来が違う。それにしても風俗やマイナーな世界のノンフィクションを書く人たちは、かならず虚構世界のほうに入っていくのはなぜでしょうか。あまりにやばいことが多すぎてフィクションにしてしまうしか書く方法がなくなるのでしょうか。彼の風俗のノンフィクションが読みたい!

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