Vol.67 12月8日号 週刊あんばい一本勝負 No.64


美しい日本語の歌が聴きたい

 最近テレビなどで歌を聴いていると、あまりのくだらない歌詞に唖然とすることが多くなった。年をとったせいで、なんとなく聞き流していた歌詞が妙に気になってしまう。なめらかな詩があり、乗り易いメロディがあって、気軽に口ずさめるものが流行歌だと思っていたが、今の流行り歌は一部ガキたちの「使い捨て玩具」のようなものなのだろう。だから目くじらを立てることもないのだが、とにかく歌詞が幼稚で単純なだけでなく、わざと「手垢に汚れた」言葉を選んでいるとしか思えない言語センスなのは、どうしたことなのか。不安になって、昔買った谷川賢作率いるバンド『DIVA』のアルバムを立て続けに聴いてみて、ようやく人心地ついた。やはり音楽のレベルが違う、詞が美しい、歌い手・高瀬麻理子の表現力もすぐれている。先日、友人の酒場で、唐十郎やクルト・ワイル、佐藤信、ビートたけしといった人の詞に武満徹や林光が曲をつけた『音楽』を専門に歌っているご夫婦とお会いした。秋田市の小さな教会でコンサートをしたばかりだという。いやぁ身近なところにこんな人たちがいたんですね。この次は必ず聴きに行こう。
(あ)

コンサートのチラシ

美しい日本語が聴けるDIVAの2枚のCD

またまた工事中

 事務所の前は1年中とにかく工事の連続である。この年末も、事務所前の田んぼに突然工事従業員用のトイレや休憩所のプレハブが出現してしまった。下水工事はとっくに終わっているのだが、これはよその下水地域の作業員用。適当な駐車スペースやプレハブ立地がないため、やむなく事務所前がフリースペースになり利用されてしまうのである。公共工事なので誰に文句を言うわけにもいかないが、朝になると事務所の前には大きなワゴン車が何台も駐車、作業員が大声で打ち合わせをする。集中力がそがれ、そろそろ仕事に差しさわりが出てきた。何とか我慢するから今年中にすべての工事を終えてほしい。
(あ)

事務所前に出現したプレハブとブル

大館「曲げわっぱ」ゲット

 先日、秋田県北部の町大館市に特産品の取材に行ってきました。大館市には「きりたんぽ」「比内鳥」「秋田杉」「曲げわっぱ」「秋田犬」などの特産品や名物がありますが、なかでも秋田音頭に“秋田名物・・・大館曲げわっぱ”と歌われた「曲げわっぱ」は他では生産されていない本当の大館を代表する特産品です。
 「曲げわっぱ」とは樹齢100年以上の天然秋田杉を厚さ2ミリぐらいの薄い板にし、熱を加え円状に曲げて接着、桜の皮で縫って固定するものです。仕上げに内部に漆(漆を塗らないものもあります)外側に透明な塗料を塗り完成となり、お盆、お菓子入れ、弁当箱などが代表的な製品です。「大館曲げわっぱ本舗」に取材したのですが、ちょうど訪ねたときは宮内庁から依頼され、外国からの賓客などの宴会に使う直径50センチほどの寿司桶の仕上げ作業をしていました。社長の浅井チヨさんは無くなったご主人の後を継ぎ現在六代目。自ら製品の仕上げ作業に余念がありません。
 私は浅井さんにお願いして「曲げわっぱ」の弁当箱を一つ譲っていただきました。実は私は以前から毎日の弁当箱は別の工房で作られた「曲げわっぱ」を愛用していますが、浅井さんの工房で作られた漆仕上げの弁当箱の美しさに魅せられ購入したものです。二段重ねで5500円と市販の半額くらいで譲っていただき大喜び。明日からの昼食は今まで以上に楽しみな時間となりそうです。
(柴)

漆仕上げの弁当箱

編集者はエキストラです

  この12月20日に20号が発行される、秋田の道路情報誌「ラルート」の編集を担当している渡部七郎です。この雑誌は表紙から編集後記まで、すべて道路に関係する内容になっているので「道路に関係する企画」を毎回毎回考え出すのは至難の技です(能力がないので)。時折、どうしてもモデルや取材助手がいない場合は「自分が出演する」のも重要な編集者の仕事です。右の写真は12号で「柏峠越えに出演した」ときのものです。カメラマンと一緒に、秋田県と岩手県の24qもの山中を取材し、「ほかに通る人がいないので」と言われて後姿の出演となりました。這いつくばって峠道を上り下り、数十回も行き来させられました。編集者もつらいもんです。
(七)

今週の花

 今週、近所の花屋さんが届けてくれた花は、ネリネ、ストロベリーフィールド、スイートピー、チューリップ、スプレーバラの5種類。全体的に色合いがパステル系なので、外は雪が降っていてるのにも関わらず、花の周りは暖かな春の雰囲気です。ピンク色で彼岸花に形が似ているのがネリネ。彼岸花の真っ赤な色には毒々しい雰囲気がありますが、形は同じようでも色が違うだけで受ける印象が全く違うのは驚きです。ストロベリーフィールドは赤く丸い形でイチゴに似ています。この花が一面に咲いている場所に出くわしたらイチゴ畑と間違えてしまうかもしれません。そして薄紫のスイートピーとチューリップ、スプレーバラ。スイートピーはマメ科の植物で別名カオリエンドウとも言うそうです。確かに家の畑に咲くエンドウ豆の花とそっくりだと気づいた時は、ヒミツを知ってしまった時のようなワクワクした感じがしました。
(富)

No.64

喜びは悲しみのあとに(幻冬舎)
上原隆

 著者は、ボブ・グリーンタッチの書き手として前作『友がみな我よりえらく見える日は』(幻冬舎アウトロー文庫)で鮮烈なデビューを飾った1949年生まれのルポライターである。前作は学陽書房版で読み、その取り上げられた短編小説のように磨きこまれた一つひとつの「コラム」にショックを受け感動した。ホームレス同然の芥川賞作家、失明した市役所職員、容貌を理由に閉じこもるOL、別れた男たちのその後、うつ病患者の日記……どれもが知りたいと思っても取材が難しくかつ書きにくいテーマだけを選び、見事に読者の「覗き見趣味」を満足させてくれた。その著者の続編が本書である。もう2年も前に発売されていたことを知らなかった。本書のトップ記事も衝撃的で(探偵小説作家の打海文三さんの障害を持った実子の事を書いている)期待を抱かせたが、やはり1作目ほどにインパクトは強くない。決して新しいタイプのノンフィクションではないと思うのだが、テーマのセレクトがすばらしいのが、この人の持ち味である。3作目に期待したい。

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