Vol.63 11月10日号 週刊あんばい一本勝負 No.60


白神山地を訪ねて

 藤里町の「岳岱自然観察教育林」へ出かけてきました。ユネスコの世界遺産に登録されている白神山地の一部です。白神山地と言えば“立ち入り禁止”というイメージが強いのですが、入山できないのは45,000ヘクタールのうち、登録されている16,971ヘクタールの地域です。
 初体験の白神山地はもう紅葉が終わっていてましたが、倒木や岩についた緑の苔が鮮やかで印象的でした。歩道は落ち葉が積もってふかふかで、ぬかるみになっていて歩きづらいのですが、これが本来の森の姿なんだと実感できます。
コースの途中にある「白神のシンボル」は秋田県側で一番大きなブナで、推定樹齢は400年。その周りには、この木が倒れるのを待っている細いブナが何本も立っています。
 秋田側にある白神山地世界遺産センター藤里町館では世界遺産や白神山地をテーマに様々な資料を展示していました。実際に手を触れて感じることもできるし、自然の中で禁じられている反マナーを、なぜダメなのか理由も挙げて説明しているのが親切で助かります。次回はぜひ緑の葉が生い茂って、いろいろな生き物がいる時期に行きたいと思います。
(富)

ブナの森の中

うまいもん、みーつけた

  数ヶ月前の「週刊ニュース」で「どん兵衛」の「冷凍讃岐うどん」(150円)がうまいと書いたが、同時発売になった姉妹品「冷凍鴨そば」(150円)のほうは最悪だった。汁に無理やり鴨味を科学的にこすりつけた粗悪品で「やっぱり冷凍じゃあね」とうなだれてしまった。ところが最近、同じ日清食品から「冷凍鴨ねぎうどん」(280円)が発売になった。これがうまい。たぶん先の「鴨そば」の反省があったのか今回は値段を倍にしてその分、本物の焼き目の入った冷凍の鴨肉とねぎを別パックに入れ堂々のリベンジである。昼は毎日これで、少し飽きると「讃岐」のほうをつまみ食いしている。もう一つ、とびっきりの酒のおつまみを見つけた。熊本の朝日新聞の記者が送ってくれたもので豆腐の味噌漬け「やまうに豆腐」である。沖縄のトーフヨーに似ているがもっとずっとまろやかで味も深く食べ飽きしない。日本酒にも焼酎にもワインにもウイスキーにもあうという優れものである。朝日の記者が外国に転勤になったので注文先がわからず福岡の石風社の中津さんに訊いて製造元がわかり、たいへん重宝している。宣伝パンフには「豆腐の味噌漬け」と「やまうに豆腐」の2種類が載っているが「やまうに豆腐」のほうを注文した方がいい。
(あ)

下の大きなかたまりが「やまうに」

生ハム、ようやく完成

 昨年の12月、秋田市内にある「地中海料理の店・グランビア」のオーナー・シェフ金子さんに指導を受けて作ったハモンセラーノ(スペイン風生ハム)が完成しました。この生ハムは天然塩しか使わないで作るもので普通のハムのような燻製は一切しません。作業手順は塩もみを二ヶ月のあいだに二度して、その後三ヶ月ほど寝かせてから流水で塩抜き、あとは半年ほど天井から吊り下げて乾燥・熟成させるだけというものです。当初12キロあった豚の足は水分が抜け現在は9キロほど。食べるときにはナイフで表面から切り取り、今後さらにおいしくなるよう常温で一年から二年熟成させます。塩分濃度が全体の20%を超えると腐敗は起こらず熟成が進むだけだそうで、このおいしいハム作りを考え出したスペインの親父さんたちの知恵と経験に、ワインで乾杯したくなります。
(鐙)

完成した生ハム

ジャパンカップ

 徳島県鷲敷町で行われたカヌーのジャパンカップに出場してきました。秋田から、車2台で11人、カヌーを11艇積んでの大移動。2段積みが出来るキャリアにカヌーをどっさり積んで走っていると、対向車や歩いている人たちの視線を痛いほど感じました。
この徳島行きで一番楽しみにしていたのは、徳島のものではありませんが有名な「讃岐うどん」と、友達からおいしいと聞いていた「徳島ラーメン」。車中泊も入れて5日間四国にいるのだからその間に食べられるだろうと思っていたのですが、試合会場はあまり店のない場所で、結局食べることのないまま帰ってくることになってしまいました。
 このままではいけない!と、帰りに「讃岐うどん」をおみやげに買い、会社の皆で食べました。つるつるとしたコシのあるうどんで、だしのきいたつゆもおいしく、食べ物にはうるさい無明舎の人たちにも喜んでもらえて、徳島に行った甲斐があったなぁ、と思いました。「徳島ラーメン」は来年のお楽しみです。
 肝心のカヌーの成績は……食べ物に心を奪われていたからか、さんざんな結果でした。
(柴)

おみやげの讃岐うどんで昼食

今週の花

今週はカンガルーポー、フレイデン、カラー、スプレーカーネーションが事務所を華やかにしています。赤いカンガルーポーは今まででも特に奇妙な花です。全体に生えている産毛のようなものと茎の伸び方から、“トナカイの角”という第一印象を受けました。じっと見ているとそのうち動き出すんじゃないかと思います。事務所に立ち寄るカメラマンやライターの方にも質問されるのでちょっと調べてみました。名前の由来はカンガルーの前足に似ていることで、オーストラリアの限られた地域だけに自生する植物なんだそうです。しかも花言葉は“不思議”。つい時間が経つのを忘れて、まじまじと見入ってしまいます。
(富)

No.60

ホームレス作家(幻冬舎)
松井計

 幻冬舎の本は読んでしまうと結果として印象の薄いものが多い。読む前はものすごい宣伝にこちらも舞い上がって興奮して読み始めるのだが、結局は「なんだこんなものか」という本が多いような気がする。本書もそんな印象をぬぐいきれない。個人的にはこれだけ出版界の危機が叫ばれているのに「著者」のリストラがほとんど言われない風土に何か胡散臭いものを感じるのだが、私自身はこれから出版界で最も岐路に立たされるのは「作家」といわれる職業の人たちであると確信している。この人たちのリストラおよび身分低下(収入の激減)が社会問題になる日は遠くない。なのにその作家たち自身からはさしたる危機感は伝わってこない。このへんの感度の悪さは度し難い。ま、個人営業だから人に迷惑はかけないからどうでもいいのだけれど。本書でおかしかったのは、ようやく勤めた出版社が例の「あなたの本を出します」という大宣伝の自費出版出版社で、著者は「インチキだ」と怒っている。今ごろそんなこといってるから収入がなくなるんだよ、とおもわず半畳入れたくなった。

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