Vol.64 11月17日号 週刊あんばい一本勝負 No.61


石風社20周年のお祝い

 福岡市の石風社が創立20周年を迎え、小さな記念の会をやるというので地方・小出版流通センターの幾志さんと2人で九州まで出かけてきました。個人的にも石風社は好きな版元で、社主の福元満冶さんは葦書房時代からの畏友です。とにかく編集者として感度のいい人で、小生も目標にしている人ですが、20年も会社を維持してきたということは経営能力にも非凡なものがあったというわけで、まいりました。ご存知のように石風社は現在台風の目になっています。アフガンで15年以上、貧しい人々の診療活動を続ける中村哲医師の本を5冊も出し、それらが「怒涛のごとく」売れるつづけています。本だけでなく「ペシャワール会」という中村さんの医療活動を支援するボランティア組織も立ち上げ、石風社や福元さんはこの会の重責を担っています。石風社の事務所にいくと朝からペシャワール会や中村本の注文の電話が鳴り続けで驚いてしまいました。記念の会は市内の料亭で20人ほどの和気藹々の会で、葦書房の三原社長や海鳥社の西社長もみえていました。2次会3次会は石風社の中津千穂子さんと機志さん、西社長に私の4人で2時過ぎまで中州を飲み歩いてしまいました。午前様は久々でしたが翌朝は二日酔いもなくすっきりと目覚め食欲もりもり、焼酎がよかったのかな。気分よく昼の飛行機で幾志さんと一緒に東京へと帰ってきました。
(あ)

引きでものの本

ペシャワール会の会報

朝日「窓」欄に本の紹介

  11月15日の朝日新聞夕刊「窓」に小舎『自殺の周辺』『自殺』の2冊が紹介されました。ご存知の方も多いかもしれませんが秋田は日本でも一番自殺率の高い県で全国平均の倍近い数字です。こうしたことに触発され秋田支局の記者が3年程前からこの問題に本格的に取り組み、不定期に県版の紙面に連載を続けてきました。2000年1月、この連載をブックレットにまとめた『自殺――自殺率全国一・秋田からの報告』(900円)を刊行。今年の9月には続編のブックレット『自殺の周辺――新聞記者の取材ノートから』(1200円)が出ました。この2冊の本が「窓」で紹介されてます。
(あ)

2冊のブックレット

朝日の「窓」

1000回の校正

 はじめまして。事務所で最年長の渡部七郎です。このコーナーには初めて書かせてもらいます。最年長といっても長く本を売る側(本屋さんです)にいて、本を作る側に入ってまだ5年目の「長老新人」です。
 舎では何でも屋ですが、編集では多く校正の仕事に関わっています。が、なにせ経験不足で、舎長からは山のように小言をちょうだいする毎日です。校正って、やさしそうでむずかしく、むずかしそうで退屈で、退屈そうで緊張ばかり強いられるシンドイ作業ですネ。
 「ベストセラー小説家の渡辺淳一氏は、作品を発表する前に、少なくとも5回は推敲(校正)すると新聞記事に書いているが、私はそれをを読んで仰天した。私はその数十倍、時には1000回を超える推敲=校正をすることもある」(野口悠紀雄)。
 こんな文章を見つけました。上には上がいて、校正自慢や失敗譚は出版界には事欠かないようです。たぶん習うより慣れよ、という世界でしょうから、老骨にムチ打って「退屈な緊張」の海に入って行こうと思っています。
(渡)

NHKの取材がありました

 『秋田のことば』のCD−ROM板を再来年に刊行する予定ですが、その録音作業風景をNHK秋田放送局が取材に来ました。私一人では心細かったのですが、秋田県教育委員会の石井啓之さんがご一緒してくださって一安心でした。
 出演者は畠山直子さんで秋田市に住む50代の方です。畠山さんのお宅にはテレビ局のスタッフも含めて総勢7〜8人で押しかけました。録音作業はいつも通り無事に終了しましたが、問題はその後のインタビューの収録です。側にいた畠山さんの娘さんにも出演していただいたのですが、私はテレビカメラを向けられるという体験は初めてで、緊張しまくりました。何をしゃべったらいいのか全然考えがまとまらず、散々な結果でした。さらに石井さんの手馴れたマスコミ取材対応を見て、自分の未熟さに一層落ち込んでしまいました。
(富)

No.61

ネオ家事入門(朝日新聞社)
百瀬いづみ

 副題に「目からウロコの生活リストラ術」とあり、独りよがりの説教臭い家事本とはひと味違う。案の定、かなり思い切った提案があり論理的で説得力がある。快適な生活環境を手に入れるために男も女もやらなければいけないこと、やらなくても良いことの境目を示してくれただけでもこの本の価値は甚大である。「家事に専従する人」など不必要、「誰でも確実に、簡単にこなせるノウハウ」があればいい、と言い切っているのだ。特に何度も力説されているのは「食器洗い機」と「洗濯乾燥機」は便利なので買ったほうがいい、ということ。さらに洗剤は何種類も用途によって使わず「せっけん」や「洗濯ボール」、「薄めた酢」で十分なこと、コメも無洗米で良いし、洗濯物も畳まなくていい、買い物は宅配が便利だし、掃除機はハンディタイプを活用する・・・といった従来であれば「手抜き」として弾劾されることを、そうではない根拠をことこまかくあげて反論している。これまでの家事に対する思いこみや偏見が粉々になる役に立つ本である。

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