Vol.80 02年3月9日号 週刊あんばい一本勝負 No.77


「ラパン」が休刊!

 実は私は子供の頃からかなりの地図好き少年でした。小学校の頃は兄貴からもらったお古の世界地図や、日本地図、地名事典などを眺めているのが大好きで、興味のある都市や地域にはマークをつけボロボロになるまで眺めていたものでした。すこしずつ歳を重ねるにしたがって、愛用するのが普通の地図から登山に行くための二万五千分の一の地形図になったり、昔の道を描いた街道絵図になったりという変化はありましたが、今も地図好きには変わりはありません。先日も最新の手軽な世界地図を買って、ワインの飲みながら2時間ぐらい激変した東欧の国々や、旅行に行きたいアイルランド、ポルトガルなどあちこち眺めていました。私の地図好きが、無明舎で作る『東北の街道』などの街道本や、制作中の2冊の「北前船」本、『五能線ガイドブック』などの企画に反映されていることは自分でも認識しています。
 そんな私が愛読していた雑誌の一つに、地図を中心とした話題で誌面展開をしていた『ラパン』がありますが、残念ながら今月号で休刊になってしまいました。再終号は創刊から数えて26号となっています。途中で発行元や判型が変わったり、季刊、隔月刊と発行形態が変化したりと苦戦していることは見えていました。ひそかに「がんばれよ」と応援していたのですがうかがい知れないいろんな事情があるようです。この雑誌は地図が好きでたまらないおじさんたちにとっては、唯一の味方といえる雑誌でしたので、休刊の案内を見たときは「あー」という気分でした。早く再刊されることを願っています。
(鐙)

脱水症状の安倍です。

 舎長の安倍です。この1週間、机の前で小さくなって仕事をしていました。体調が優れないのです。先週はじめ、スポーツクラブでびっしり汗をかいた後、息子と2人で湯沢まで出かけました。帰ってくると身体がだるく関節の節ぶしが痛みます。次の日は大事をとって仕事を休んだのですが、カミさんの見立てによると「脱水症状」のようなのです。3日目になっても体のだるさはとれず、おまけにノドがひりついて変な咳まで出てきました。熱があるわけでもなく、仕事に差し障るほどのこともないので仕事を優先しているうちに1週間がたちましたが体調は元に戻っていません。とっくに治ったと思った人差し指のトゲまでがまた痛みだし、皮膚科に行ってウイルスを焼いてきました。肩痛まででてしまいました。食欲はあるのですが酒をのみたいという気が起きず、つい先ほどは食べたものを戻してしまいました。とにかく何となく身体の調子が変なのです。この「なんとなく」が曲者です。たぶん過労が原因なのでしょうが、ずっとおとなしく寝ていることが出来ない性分なので長引かせてしまったようです。みなさんも気をつけてね。
(あ)

録音は順調です

 CD−ROM版「秋田のことば」に収録する「秋田を語る」録音作業のため、3月に入ってからはほぼ毎日のように秋田県庁のスタジオに通っています。これは子どもの頃の思い出や日常会話などを秋田の方言で語るもので、去年の夏から秋にかけて募集しました。たくさんの応募の中から選んだ作品を、本人あるいは「秋田民話の会」の朗読の得意な方に読んでもらっています。先日録音した現役大学生の作品は、つい笑ってしまうほどリアルな口喧嘩や日常会話でした。本人たちに実演してもらったのですが、台詞を間違えることもないうえにとても臨場感があり、相当練習してきたのか、それとも実際に毎日そんな会話をしているのか、わからないほどです。ほとんどの作品が昔の思い出で、全体的に懐かしさやしみじみとした雰囲気になっているなかで、大学生の作品はピリッとしたアクセントになっています。
(富)

「秋田民話の会」の傳みさ子さんの朗読

カヌーっ子は寒さに強い?

 カヌーをやっていると人に話すと、決まって「冬はできないからつまらないでしょ?」と言われます。「冬もやるんですよ」というと半信半疑のような不思議な顔をされてしまいます。でも、本当に冬の間も練習しているのです。マイナス9度で着ているものがパリパリに凍ってしまう日も、吹雪で周りがあまり見えない日でも、おかまいなし。「寒い、冷たい」という言葉を言ったら1回につき10円の罰金を払わなければならないので、泣き言など言わず平然を装ってカヌーに乗り込みます。練習を始めてしまえば体はぽかぽか暖かくなるので、それまでが勝負。中には練習の後にわざわざロール(ひっくり返ってまた起き上がること。当然ひっくり返っている間は冷たい水の中)をする人もいるほど。カヌーっ子は寒さに強いのです。
 …なんていうのは真赤なウソ。歯を食いしばって寒さに耐え、練習を終えた後はストーブの周りに集まり、なかなか離れようとしないのが本当の姿なのです。
(柴)

練習の後、クラブハウスで

今週の花

 今週の花はレナンキュラス、バルビネラ、スイートピー、コワニーアリアム、スモークグラス、チューリップ。春らしく黄色が鮮やかです。ひとくちに黄色といっても、花によって微妙に表情が違うものですね。そのなかで「ぱやぱや」(秋田弁で頼りない感じのこと)としたホウキのように見えるのは、北アメリカ原産でイネ科のスモークグラスです。なんだか、無明舎にいる自分のような存在ですが、美しい花に負けずに咲いてほしいものです。
(鈴木)

No.77

偶然の音楽(新潮文庫)
ポール・オースター・柴田元幸訳

 アメリカ現代文学の旗手P・オースターの作品は六点ほど日本で翻訳されている。ほとんどが新潮文庫に入っているから読もうと思えばいつでも読めるのだが、なかなかその気にならなかった。本書は、うかつにも飛行機の中で読む本が亡くなりたまたま羽田の売店で買ったもの。カバー裏の内容紹介に惹かれた。いわく、突然遺産が転がり込み、赤いサーブを駆ってあてのない旅にでた、妻に捨てられた消防士の物語・・・まあこんな感じのコピーなのだが、これに天才博打打ちの謎の男が絡んで道中は進むのだそうだ。まるで「イージーライダー」か「ファイブ・イージー・ピーセス」だねと思いながら、映画を観るような興味で読み始めた。訳が良いからすんなり世界へ入り込め、あっという間に読了した。る。アメリカの現代文学って良くも悪くもまるで映画である。これが解っただけでも収穫である。当然この小説も映画化されるんだろうな。

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