Vol.89 02年5月11日号 週刊あんばい一本勝負 No.86


倉庫整理に大奮闘

 春になってから続々と新刊本が出ているので、会社の倉庫があっという間にいっぱいになってしまいました。その上、先月出したダイレクトメールの成果で4月末から今月初めにかけて注文が殺到し、狭くなった倉庫内から注文のあった本を抜き取ったりしたため、本の配置が変ってしまい、目当ての本が見つからないこともしばしば…という困った状況。そこで倉庫整理の強力な助っ人・金谷さん、根岸さん、本庄谷さんに来てもらうことにしました。彼女たちの奮闘で、雑然としていた倉庫の中がどんどんきれいになっていきます。

倉庫整理中
 整理をしなければならないのは倉庫だけではありません。舎内にも、本を制作する過程で使うさまざまな資料が山積みになり、2階の資料保管庫は足の踏み場がなくなってきました。資料を分類してきちんと棚に収めなければならないのですが、棚のスペースは限られているのに資料は増える一方。収納には頭を悩ませてしまいます。 整理作業はとても地味な作業ですが、本を作って売るという流れを円滑にするためにとても大事なことなのです。
(柴)

こんなところに道があった

 ラルート連載「歴史の道を行く」の取材で、ライターの伊藤孝博さんとむかしの街道調査をしてきました。むかしの街道というのは、本荘市から矢島、鳥海町などを抜けて山形県へと続いていた矢島街道のことです。
 かつての街道がそのまま残っているところは少なく、秋田県が調査した街道調査報告書を片手に、道行く人や農作業をしている人に聞きながら、一泊二日かけて踏破しました。調査報告書がつくられてからでも15年たっていて、調査報告書にはあることになっている道でも、住宅地の下に消えてしまったりしています。その逆に、通ることができないはずなのに、入っていったら抜けることができた道もありました。
 今回の古道歩きは、次号ラルート22号から3回で紹介します。
(七)

行き止まりになる道を、黙々と登る

山菜と赤ワイン

 昨日、本の打ち合わせで秋田県北部の町・森吉町に行って来ました。いつのまにか春から初夏に季節は移り変わっていますが、山間の村々や山河はいまだ春真っ盛り、と言う感じでした。川はいまだに雪解け水で薄濁り、木々の緑は新緑と言うよりまだ若葉のため薄緑色。タンポポや菜の花の黄色が鮮やか過ぎて眼に痛いぐらいでした。
 往復で利用する国道やわき道を走っていると、あちこちの路肩に車が止まっています。時には道路わきの草むらや、橋の下などから人がゴソゴソと出てきますがほとんどが山菜取りの人たちです。しっかりと山に入る格好の人から、道路工事の作業着の人、中にはネクタイ姿の営業マンらしき人までいて、みんな山菜取りに夢中です。この様子をみていると、本当に日本人は山菜・きのこが大好きな国民だなあと再認識させられます。世界中で日本人ほど山野の幸を食卓に並べる国民はいないんではないだろうか、と思ってしまいます。さっそく私も道路端で売られている山菜を買いました。シドケ、ホンナ、アイコと家に持って帰り、昨夜の酒のつまみは山菜づくしでした。山菜のほのかな苦味と赤ワインがことのほか合うことが分かりました。
(鐙)

並べて売られている山菜

今週の花

 今週の花はカーネーション、バラ、スナップ(キンギョソウのこと)。カーネーションの学名はダイアンサス(ギリシャ語で「神聖な花」)で、ナデシコ科の植物。その中でカーネーション以外のものがナデシコとよばれるそうです。カーネーションには大きな花が1つだけつくスタンダード系、枝が分かれて小さな花が多数つくスプレイ系、ナデシコに似たダイアンサス系があります。今回のカーネーションはダイアンサス系。花びらの端がギザギザしている部分は、ナデシコと間違えそうなくらいです。さらに細かく花のタイプがあって、花びらの端がなめらかなのがソネット。一番ギザギザしているのがフォトンです。
(富)

No.86

屋烏(おくう)(講談社文庫)
乙川優三郎

 時代小説といえば藤沢周平や池波正太郎である。そういった人の熱烈なファンは全国に数え切れないほどいて、本屋でも彼らの本は特別扱いのベストセラーだし、作品以外の解説本の類もたくさん出ている。でもこの乙川優三郎も彼らに内容では引けを取らないほどいい作家だ。まだ40代の人だが、どちらかといえば藤沢のテーマに近い題材が多い。物語の濃密さ、テンポのある展開、さわやかな後味は乙川の作品が先の2人より濃厚である。時代小説をそんなに多く読んでるわけではないから、えらそうなことはいえないが、こんな作家がいることをはじめて知ったのだから情けない。すごい人っているんだなあ。略歴をみると千葉の高校を出てからホテル勤めをし時代小説を書き続けているようだ。いろんな賞をとっているが直木賞だけはとっていない。この賞を取れば一挙にメジャーになるというのがこの世界の常識だが、ここから一皮向けるにはやはりこのビッグな賞が不可欠ということか。

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