Vol.930 18年10月13日 週刊あんばい一本勝負 No.922


雨と紅葉とシャインマスカット

10月6日 また夏にもどってしまった。天気図は読めないが台風が連れてきたフェーン現象みたいなものなのか。散歩に出たが暑くてコース半分で帰ってきた。途中のコンビニで「昔なつかしいアイスキャンデー」を買い求める。今年の夏お世話になった大好きな15センチ以上もある棒状ミルク味だ。甘くないので夏の間かならず1本食べていた。コンビニでは「いちごミルク味」の新バージョンが登場していた。早速食べてみたがミルク味よりも甘さがきつい。ミルク味のほうがうまいなあ。

10月7日 全国から研究者が集まって「クマ・シンポジューム」が秋田市で開かれた。うちでも本のブースを出したのだが、夜はそのシンポに出席した東京の友人と外で待ち合わせて一献。久しぶりに楽しいお酒。驚いたのは市内のいたるところ人があふれていたこと。これは珍しい。タクシーの運転手に訊いても、なぜだかわからないという。

10月8日 澄み渡った青空の中に真っ白な雲が散らばっている。このぐらいの雲があるほうが山歩きにはちょうどいい。今日の岩谷山は1時間弱で山頂についてしまう小さな山。急峻な坂が続いてトレーニングにはぴったり。登山口へ行く途中、養蜂家や川ガニ採りの老人と雑談、いろんな物語がある山行である。

10月9日 昨日の青空の中の爽快な山行から一転、朝からジメジメとした雨が降っている。冬のように寒いし仕事も雪のようにヒマ。こんな時は外に映画を見に行ったり、ショッピングモールでパーっと買い物したりする……といいのだろうが、あいにく当方は加齢による引きこもり真っ最中の老人。どこにも出たくないし、金を遣うことにも消極的。でもこれじゃ滅入るばかり。やっぱり外に出ようかな。でも夜は久しぶりに会う友人と飲み会が入っているし……。今週は昨日の岩谷山に続き週日の11日にも栗駒山(週末は混雑するので)、日曜の14日は焼山縦走を予定。

10月10日 午後から外へ。雑用を一挙に片づけて、そのまま帰らずに夜の飲み会に合流することに。傘を持って出たのだが、まずは最初に喫茶店に置き忘れた。次に入った駅ナカ公衆便所でも置き忘れ、さらにコンビニでも忘れてしまった。早めに気が付き戻って事なきを得たのだが、このままではなくすに決まっている。愛着のある大切にしている傘だ。しかし傘のためにいったん帰宅して、また街にもどってくるのは面倒だ。そこで行きつけの「チーズとワインの店A」に傘を預かってもらい夜の繁華街に突入した。ご帰還は深夜1時。かなり酔っぱらったので間違いなく傘はどこかに忘れていたはず。ナイスジャッジ。

10月11日 昨夜から雨が降り止まないのだが栗駒山登山を決行。朝4時起きである。週日登山は紅葉を見るための特別措置だ。週末の栗駒は紅葉を見る登山客で原宿並みの混雑になる。登山口に到着すると小降りになったが午後からは雷雨の予想。ここにきて山頂を断念し名残ガ原を一周して紅葉を堪能。曇天のなかの紅葉もなかなか風情がある。というか好天下の青空の下と紅葉はあまりに色鮮やかで「あざとさ」さえ感じてしまう。このぐらいがちょうどいい。

10月12日 ナシにブドウ、カキにリンゴと果物の季節まっただなか。といってもこれまではリンゴ以外の果物は口にすることはなかった。ところが今年は自分から積極的に果物を買い食いしている。でも副作用の落とし穴が待っていた。体重が少しずつ増えているのだ。食事の量は増えるどころか以前より減っているのに体重が上がる一方なのだ。犯人は果物、これ以外考えられない。何か対策を考えなければ、って食べなきゃいいだけの話なのだが。
(あ)

No.922

イニシエーション・ラブ
(文春文庫)
乾くるみ

 嵐の夜は静かに本でも読むに限る。読む本はできるだけ現実感のない今風の青春小説がいい。物語の中に浸りきりたいから。ということで本書を読み始めた。タイトルは直訳すると「通過儀礼の恋」ということでいいのだろうか。驚いたのは、文庫本が出てから10年で65刷(!)。若者たちに圧倒的に支持されているのだろう。最初から最後まで全く普通の若者の恋の物語である。なのだが、まったく読者を飽きさせない筆致とリズミカルなテンポには非凡なものを感じる。なにせ若者の恋になってトンと興味のない老人(私のこと)が、最後までスイスイとなんのわだかまりもなく読み通せたことでも証明される。 
 最後から2行目でどんでん返しがある。これが本書の最大のハイライトという人もいるようだが、まあ老人(私です)からみれば、「軽い驚き」程度で読み流せてしまった。どこにでもいる今どきの地方の大学生が恋をして、就職して東京に出てまた恋をして、2つの恋の間を右往左往しながら成長していく姿を描いた物語だが、微妙に変化する主人公の心象風景の描き方が実にうまい。外では台風の嵐が吹きまくって家を揺らしていたが、気持ちはずっと物語に集中することができた。

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