Vol.949 19年2月23日 週刊あんばい一本勝負 No.941


CTスキャンと隠れキリシタン

2月16日 日帰りで仙台。雪山用スノーシューを買うためだ。金曜日の寒風山で限界状態であるのが判明。今週末には森吉山樹氷ハイクがある。限られた在庫品しかない秋田のお店から買うより選択肢のいっぱいある仙台まで行ってやんとしたものを買おうと思ったからだ。が、気に入ったものに出あえずネット通販で購入することに。なんてことだ。

2月17日 ジンギスカンが食べたくなりSシェフに相談すると即刻、事務所で鍋奉行をやってくれた。それはいいのだが鍋をやってからもう三日もたつのに事務所からまだあの甘ったるい乳臭い臭みが抜けない。いくら換気してもかすかに匂いは残ってしまう。ジンギスカンはお店で食べましょう。さらに悩みは体重が順調に増え続けていること。今日から緊急ダイエットに入るつもり。ダイエットを成功させる秘訣はただ一つ、「公言」することだ。

2月18日 生れてはじめてCTスキャン受診。結果は何の異常もナシだが、このところずっと頭が重くカスミがかかったような状態だった。あのアイスバーンの転倒で強く頭を打ち脳内出血しているのではないか、という不安が消えず、医師に頭痛の話をしてみたら「緊急外来」を照会してもらった。そうか「緊急外来」という仕組みがあったか。

2月19日 去年の暮れから白内障手術、今年に入って胃カメラ、そして昨日のCTスキャンと病院との親和性が高くなる一方だ。そういえばこのところぞっと歯医者、耳鼻科、整形外科のお世話にもなっているではないか。「医者嫌い」を公言してきたが、もうそんなきれいごとは言っておられず、なりふり構わず病院通いだ。そのうち病院内に「常連」の仲間たちができるのも近い。「病友」というやつだ。たまに病院に行かないと「あいつ、どうしたのかな?」「あいつね、体調崩して寝込んでるらしいよ」なんて会話が交わされる日も遠くない。

2月20日 珍しいことに二日続けて青空。三寒四温と言いたいところだが、まだ2月下旬だ、油断は禁物だ。これから何度か「本気かよお前」というような寒気がやってくる。昨日、遊学館前の電線に夥しい数のカラスの群れを発見。ほとんどヒッチコックの映画状態そのままで背筋が寒くなった。あれが話題のミヤマカラスか。渡り鳥のカラスだ。日赤病院裏には広大な田んぼが広がっている。そこに落ちているもみ殻を食べて生活しているのだろう。だからゴミ漁りはしない。そして温かくなるとシベリア方面へと帰っていく。

2月22日 市街中心地の広小路のど真ん中に「ロゴス書院」という書店がある。その書店裏は広大な秋田カトリック教会の敷地だ。ここに400年前に殉教した隠れキリシタンの碑がある。個人的な興味があり、その碑を見に行ってきたのだが、ちょうど神父様が教会から出てきて、しばらくお話をさせていただいた。さらにご好意で「秋田カトリック教会100年史」という冊子をお借りすることができた。キリシタン弾圧のあった当時、このへんは秋田藩重臣の武家屋敷のあった所。弾圧した側の武家屋敷跡に、なぜ弾圧された側の教会が建っているのか。その経緯が知りたかったのだが、教会がここに引っ越したのが明治16年、真相はやぶの中だ。日本人が初めて異国の文化に触れ、大きな世界に目を見開かされた17世紀は、北の辺境・秋田にとっても大きなターニングポイントになった時代だ。そのことがこの教会の場所からみえてくるかもしれない。
(あ)

No.941

旗本御家人
(洋泉社)
氏家幹人

 以前に買っておいた本だが、読むのをやめてツンドク状態だった。小さなころ、興奮して観た映画に片岡千恵蔵の『旗本退屈男』がある。題名のネーミングもその遊び人風の主人公のキャラクターを素晴らしい、ということをこの年になって、よくわかるようになった。でも「旗本」というのが封建社会の中でどのような役割を果たしていたのかはよくわからない。映画で見るように派手な着物を着て毎日をフラフラ遊んで暮らすようなことが本当に可能だったのだろうか。読み始めたのはそんな動機だった。旗本というのはいわば徳川家の直参の武士たちのこと。ようするに中央官庁に勤める官僚や公務員だ。本書は旧旗本の大八木醇堂の『醇堂叢稿』(国会図書館蔵・全45巻)を丹念に読み込んで書かれた旗本たちの生態である。サブタイトルは「驚きの幕臣社会の真実」だ。驚いたのは、幕臣社会とりわけ御家人社会には「庶民」出身者が多かったという事実だ。要するに与力や御徒の地位は「株」として売買が許されていたからである。先祖の勲功によって高禄を給されてきただけなので、要職につく人物が少なかったのは当然と言えば当然だった。なるほど、そうだったのか。

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