Vol.994 20年1月18日 週刊あんばい一本勝負 No.986


本を途中で放り出すようになった

1月11日 朝の一杯だけコーヒーを飲んで気合を入れる。先日サイフォン一式を購入。豆が悪いのか、挽き方や淹れ方に問題があるのか、パックの安コーヒーのときと味はほとんど変わらない。Sシェフからは「サイフォンは面倒くさい。3ヵ月持たない」と厳しい指摘を受けていた。その予告は当たりそうで、台所は汚くなるし、後処理や掃除にばかり時間がかかる。

1月12日 苦手の3連休。昨夜、山仲間から「明日ちょっと長者森でもどう?」という声がかかった。予定外の山行だ。

1月13日 今年は「例年通りではない」違ったことに積極的にチャレンジしようと思っている。早速今日は秋田市郊外(車で30分)にある温泉施設の年会員になった。ここにあるトレーニング設備を使い、ストレッチや筋トレに行きたいのだ。プールもあり、食堂や休憩室まで完備している。フィットネスクラブが秋田市に初めてできた40年前から会員だったのだが、そこの独特の雰囲気になじめず、やめた。今回の温泉施設はちょっと遠いのが難点だが、週一ぐらいの頻度なので、まあ気楽に通ってみるつもりだ。

1月14日 筋トレとストレッチでいい気分。身体を動かすのは気持ちいい。毎週山に登るから、足のほうは自信があるのだが、腕力と腹筋がプヨンプヨン。瓶のふたが開けられない、片手をつかないと起き上がれない。予想以上に身体は老人化していた。事務所に帰ってきてもなんだか身体が軽い。曲げたり延ばしたり屈んだり捻ったりが、心なしか楽にできるようになった。この気分だけでも効果はあったのかもしれない。

1月15日 文芸評論家の坪内祐三氏が61歳の若さで亡くなった。面識はなかったが、彼と近い場所に居る友人は複数いて、いろんなうわさ話は耳にしていた。ご冥福をお祈りしたい。「70の手習い」のトレーニングは今日で3日目。施設の雰囲気を身体になじませようと必死だ。この新しい「手習い」のために「新しい出費」をしないことに決めている。すべてありあわせのもので対応するつもりだ。これなら中途挫折してもダメージは少なくて済む。

1月16日 今乗っている車はホンダのハイブリッドのフィット(だっけかな)。もう13万キロ近く乗っていて、まだまだ走れそうだ。車にほとんど興味はない。トヨタも日産もなんとなく好きになれず、なんとなくホンダに乗っている。マツダも少し面白そうと思っていたのだが「MAZDA」という社名表記の「Z」が気になった。どうして「TU」ではな「Z」なの。調べてみたら人名(松田重二郎)由来の社名であるのは事実だが、もうひとつ驚くべき由来もあった。ペルシャのゾロアスター教(拝火教)の神様の名前だったのだ。ペルシャは東西文明のシンボル的な地域で西アジア文明発祥の地だ。

1月17日 わが読書にも危機が訪れている。エンターテイメントの長編小説を読むのは無上の楽しみだ(時間の余裕も必要だ)。のだがそう安閑としてもいられない。浅田次郎『大名倒産』と原田マハ『風神雷神』は、ともに上下巻の長編小説。どちらも上巻を読み終わったところでギブアップした。面白いのだがすっかりこっち側に根気がなくなってしまったのだ。浅田の本は越後3万石の小大名の藩経営の物語。原田のほうは天才絵師・俵屋宗達がマカオのイエズス会に関与していたというミステリーだ。どちらも江戸時代の話で興味津々のテーマなのだが、その膨大な情報量にボンクラ頭が付いていけないのだ。前日読んだストーリを翌日にはすっかり忘れている。う〜ん、けっこう深刻な壁に突き当たった感じ。
(あ)

No.986

「小津安二郎日記」を読む
(ちくま文庫)
都築政昭

 「日記」と書名につけば、それだけで食指が動いてしまう日記好きだ。とは言いながら『全日記 小津安二郎』(フィルムアート社)は手に入れたものの、何度もペラペラ頁をめくって、いまだにちゃんと読破できて伊那から、あまり大きなことは言えない。『古川ロッパ昭和日記』(晶文社)もしかり、だ。でもこちらはいつでも読めるように本箱の一番目に付くところに飾ってはいるのだが。もちろん小津の映画も好きで、ほとんどは観ている。でも彼が生きた時代背景がよく理解できない。田舎者なので昭和20年代から30年代の都会のインテリたちの生態(暮らしぶり)にうまく理解が及ばないのだ。そのへんのコンプレックスがずっと私の中にはくすぶっている。
本書は、そうした時代背景とともに小津の日記を丁寧に読み解いている。だから私にとっては「虎の巻」のような本だ。著者はNHKの職員だった人で、その後、映画評論やロシア文学などの著述で食べているようだ。丁寧に参考資料と日記を比べながら、一人の活動屋の生涯を愛情こめて描くことに成功している。晩年、映画界の大物となり組織の長などに祭り上げられてからの小津は、台頭してきた吉田喜重などの若手監督と酒の席で激論を交わしている。長老扱いされる小津の年齢は59歳だ。

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