No13
「靴納め」はダブル山行、かててくわえて忘年会
[岩谷山(366m)・筑紫森(392m)―2012年12月16日(日)]
 年の最後の山行を「靴納め」というのだそうだ。知らなかった。今年の靴納めは秋田市河辺にある岩谷山と筑紫森。なんと贅沢にダブル山行。どちらもよく登っている山なのは近くに「山の学校」事務局があるからだ。
 集合場所は朝8時、岩谷山登り口の温泉施設「ユフォーレ」。ここの駐車場まで各自が車で集まり(総勢10名)、ここでカンジキに履き替え、登りはじめた。
 思っていたより雪が少なく、途中からは坪足に変更。ラッセルを任されていたのでほっと一息といったところ。今日も雨と雪の入り交じった不安定な天気だったが、山の中は荒れもせず、穏やかで静謐そのもので、我々を迎えてくれた。岩谷山は端正な3角形の姿をした山で、急坂が多いことでも知られている。昔からこのへんでは薬師信仰が篤く、中腹の岩場に穴薬師といわれる石仏がある。この岩窟が山名の由来だ。
 1時間弱で山頂に着き、急いでUターン、30分で下山した。 
 そこから車でさらに移動、10分弱で「山の学校」に到着。ここの駐車場に車を止め今度は筑紫森に挑戦だ。岩見ダムの手前からみるとツクシのように岩峰がたちあがっているのが名前の由来だが、石を積み重ねたようにも見えるので、「筑石」といわれ、それがいつのまにか筑紫になった、とも一部ではいわれている。
 岩谷山よりも雪が多く歩きにくい。登り口は2か所あり今日は裏参道を選んだ。表街道より急坂が多いハードなコースだ。

「山の学校」の山神感謝祭

筑紫森山頂の神社
 この山のハイライトは頂上付近にある。頂上を中心に黒雲母流紋岩の柱状節理が絶壁をつくっているのだ。そのため周辺は国の天然記念物に指定されている。遠目には横に並べた薪を山頂まで積み上げたようにもみえる。この山頂までの登りはほとんどロッククライミング。まるで一流アルピニストになったような気分を味わわせてくれる。
 山頂までは1時間弱。山頂からは出羽山地の山々が幾重にも重なって霞んでいるのが眺望できる。下山は表参道コースで、ゆっくりと約30分。
 昼ご飯は「山の学校」事務室を使わせてもらった。風も雪もない、ストーブの赤々と燃える部屋での昼ご飯は格別だ。
 「山の学校」では前日、毎年恒例の「靴納め」ならぬ「山神様への感謝祭」が行われた(私も出席)。その昨日からの居残り組み数人が、まだ学校に残っていて私たちを迎えてくれた。といえば格好いいが、酔いの残ったうつろな目で、疲労を隠しきれず、ストーブの前に幽霊のようにたたずんでいた、といったほうがあたっているか。呑みすぎだよ、先輩たち。
 温泉は岩谷山登り口にある「ユフォーレ」。山登りのたびに温泉は必ず立ち寄るが、もしかして1年を通して最も多く入っている温泉が、このユフォーレかもしれない。露天風呂は岩風呂で、外から吹き込む吹雪混じりの風が火照った身体に心地よい。
 今日はここで現地解散。各自家に戻って山道具をかたし、着替えてから夕方6時、駅前居酒屋に再集合。モモヒキーズを中心にした総勢10名の大忘年会のはじまりである。しょっちゅう飲み食いしている仲間なので、各自の酔い方や個性は熟知しているので、トラブルは起きない。慣れたものである。まあそれにしても平均年齢が還暦を越しているのに、みんなによく飲む。10名のうち酒を飲まない女子も数名いたが、結局は焼酎ボトルが3本空き、日本酒やビールも数え切れないほど胃の中におさまってしまった。
 お開きになっても、まだ呑みたりなさそうな4名が、近くのカジュアルなイタリアンに駆け込み、2次会。そこでさらにワインを2本あけ、長かった1日はようやくおわった。

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●No.1 草紅葉の海で、なぜかパエリア
●No.2 贅沢お昼と、お気に入り温泉
●No.3 白神のブナの森を彷徨う
●No.4 南八幡平の自然休養林を歩く
●No.5 巨木の森で、雨に追われて
●No.6 何が悲しくて、遠い県境の雨の山へ(+クマの話)
●No.7 「キジ撃ち」慣れ、増える体重、初めての山
●No.8 雹に雷とスパイク長くつ、是山の山
●No.9 賞味期限切れ食品がうまい、きれいな三角山
●No.10 生きものたちと出あい、ラーメンうまい雪の山
●No.11 はじめての朝市、風格の天然杉、泥土のババ落とし
●No.12 雪と風とツェルトとストック

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