Vol.1003 20年3月21日 週刊あんばい一本勝負 No.995


鬱屈の日々をぬけて

3月14日 方向オンチだ。山登りも一人で行くのは無理。地図を読めないのだ。最近、いい本にめぐりあった。昭文社が出した『地図でスッと頭に入る世界史』と『地図でスッと頭に入る日本史』の2冊。この2冊が最近の座右の書だ。サブテキストとしてこの2冊をそばに置き本を読む。苦手だった中国の「秦」「漢」「隋」「唐」「明」「清」の王朝名や時代背景、地勢などを「すっきり」と理解できるようになった。これだけで読書の守備範囲がググっと広がった。

3月15日 手形陸橋から大学病院に向かう直線道路には10軒余のラーメン屋がある。毎日行列の繁盛店も1,2軒あるが、その他は月に2,3度ぐらいだ。先日、ラーメン通りに「肉そば」を売り物にする店がオープン。一挙に競争は激烈の一途をたどっている。今日は日曜日だが、どの店も行列ができていた。どうやらお店がSNSで「今日だけ100円」とか「今日のみ半額」といった安売りの発信をしているようだ。100円だったらそりゃ行列ができるわ。

3月16日 テレビをみていたら、北海道のおばあちゃんが孫に「きかない子で」と語った画面に「(言うことを)きかない子」とテロップ。「聞かぬ」という意味ではあるが、どちらかと言えば「きかんぼう」といったニュアンスの言葉だ。西木正明さんの本『養安先生、呼ばれ!』という本の新刊広告で、編集者はこの「呼ばれ」を「およばれ」の意味と解釈、「村で引っ張りだこの人気」という意味で解説をしていた。「呼ばれ!」は「呼んで来い!」という秋田では命令形の方言だ。ニュアンスからいえばかなり違う。

3月17日 キャッシュレスはカード決済とどう違うの? 昨日、突然散歩の途中に気が付いたのだが、ブラジルを旅していた時、世界中で通用すると思っていたJCBがまったく使えなかった。急速にキャッシュレス社会になり「サインの必要なカード」は敬遠されるようになったためだ。激しく動揺したが、航空マイルのために携帯していたJAL(マスター)カードが、キャッシュレスカードだった。20円のコーヒーを飲むのさえブラジルではキャッシュレスだ。いちいちサインしていたら商売にならない。サインなしでカード決済ができたのがマスターのJALカードだったのである。

3月18日 久しぶりに夜の街に出た。ある高級店に予約電話をいれたら2軒とも即「満席です」と断られてしまった。人気店というのはコロナなんか関係ない。同情なんて余計な御世話だったわけである。駅ビルの飲食店をのぞいてみたら閑古鳥が鳴いていた。

3月19日 木曜日だが保呂羽山へ。久しぶりに好天との天気予報がありモモヒキーズの有志たちで急きょ山行が決定。保呂羽山はスノーシューを履いて歩く山としても極めて魅力的でワクワクする山だ。でも今日はスパイク長靴にかんじきだ。朝5時に起床、朝ごはんを作り、豆を挽いてコーヒーを飲み、この日記を書いて出発。早起きは三文の得という言葉は含蓄のある言葉だ。

3月20日 昨日の山行は天気に恵まれ実に気分がよかった。少し運動不足からか身体が重かったが、ミスミソウ(雪割草)は咲いていたしカモシカもウサギの足跡もくっきり。先日、ヤフオクで衝動的に買ってしまったデジカメ(リコーGR)の試し撮りもしたが、思ったほど画質が良くない。カメラが悪いのかこちらの腕に問題があるのか、まだいろいろテストする要素はある。
(あ)

No.995

ノースライト
(新潮社)
横山秀夫

 いよいよ読みたい本がなくなった時、年度末恒例の新聞社の「今年の1冊」とか「私の3冊」といったアンケート特集から本を選ぶ。2019年のアンケートではかなりの確率で本書がノミネートされていた。でも先月、同じ著者の『64』を読んだばかり。これも面白かったが、記者クラブと警察の克明すぎるほどの内部の組織事情を、これでもかとばかり書かれても、正直なところうんざりするのも事実だ。すごい筆力と取材力とエンターテイメント力は万人の認めところだが、物語が少ししつこくて、長く引っ張りすぎ、というのがこの著者に対する印象だ。でも本書は「記者クラブ」も「警察内部機構」も出てこない。ブルーノ・タウトが登場する建築家のミステリーだ。ブルーノ・タウトの2年間の日本滞在の内幕も克明に描かれていて興味深かったが、自らの建てた家が無人のまま放置されていることから始まる物語は、ドキドキ原腹の連続で、著者の力量を感じる。文章も読みやすく滑らかで、細部まで洗練されているイメージだ。でもやっぱり物語がくどくて長い印象は覆らない。面白いからいいのだが、こんなにも微に入り細に入り、説明が必要なのか、と正直なところ読み終わってため息が出てしまう。でもやっぱり面白い。初期の『クライマーズ・ハイ』も読みたくなった。

このページの初めに戻る↑


backnumber
●vol.999 2月22日号  ●vol.1000 2月29号  ●vol.1001 3月7日号  ●vol.1002 3月14日号 
上記以前の号はアドレス欄のURLの数字部分を直接ご変更下さい。

Topへ