Vol.1051 21年2月20日 週刊あんばい一本勝負 No.1043

突然、自分の原稿を書き始めた

2月13日 ほぼ腰痛が収まった。腰痛は「突発的」な症状ではない。いろんな身体的要因が「必然的」にあらわれたもの。はその原因はわかっているが、ひとえに「慢心」が生んだ病気であることは確実だ。今日で食事の節制は4日目になるが、これをずっと続けていくとなるとやっかいだ。でもやるしかない。食べることは最大のストレス軽減策だが、何事も度が過ぎると反作用がある。

2月14日 寝入りばなの震度4だった。とっさにどういう行動をとればいいのかが、うろたえた。10年前の教訓がまったく生かされていないのが情けない。すっかり油断している人間どもに警鐘を与えているのだろうが、それにしてもコロナとダブルピンチというのは底意地が悪い。俺たち、何かそんな悪いことした? ようやく腰痛も去り、今日は近所の大滝山のスノーハイクだ。地震騒ぎでちょっと寝不足だが、楽しめるときは目いっぱい楽しみたい。

2月15日 昨日は大滝山周辺を4キロほど歩いた。ちょっと息切れがしたが運動不足ではない。汗をかくのは気持いい。家に帰ってさっそく体重計に乗ってみたが、ほとんど数字は前日と変わらなかった。2月3月の2か月間で5キロほど体重を落としたい、と思っている。もう無理なダイエットはできないが、食事制限なら昔のように酒を呑まないから何とかできそう、と自分を信じている。

2月16日 コロナ禍に暴風雪、震度4の地震まで襲ってくるのだからノーテンキでいられない。こうした不安が充満してくると仕事に集中する。できるだけトンネルの中の暗さを意識から消そうとするためだろうか。これはいつものことだ。やろうと思って先送りにしていた自分の新聞連載の単行本化の作業を「唐突に」はじめた。まるで予定になかったことだが、自分に残されている時間はそんなにない。それを災害が教えてくれた。昨日一日で編集作業は驚くほど進んだ。火事場のバカ力ならぬ「不安の集中力」である。災い転じて福となす。なんだか世紀末のような雰囲気すら漂う日本列島だ。

2月17日 今乗っている車はハイブリッドのホンダの車。もう10年近く乗っている。次の車の購入もうっすら考えているのだが、どうせ買うのなら電気自動車がいい。でもあの日産という会社が嫌いだ。今日の新聞で、「出光が超小型EVを来年発売」とあった。価格は150万くらいで家庭用コンセントで充電できる。そうか、これならいいか。記事をよく読むと「定額制での利用やカーシェアーを主に想定」とある。これからは買う時代ではないのだ。

2月18日 健診の結果は予想通り、あまり芳しいものではなかった。以前はかなり物々しく「再検査」の烙印を押され、診察所見も2ページほどに分厚くて、怖くなってすぐに病院に走ったりもした。今はもうかなりの異常と判定されなければ「再検査」もスルーしてしまう。それが大病の引き金になるならなったでしょうがない。

2月19日 健康診断の結果を見ていると、いつまでも元気な未来が待ってはいない、ということを実感する。増長、傲慢、不遜を戒めてくれるクスリの役目を果たすのが健診だ。今回は胃拡張の疑いがあるので再検査をという結果。この際だと思い、いつもはじっくり見ることもない健康診断表を過去5年に遡って丁寧に見直してみた。健康状態は各部位毎にABCで評価する。8割がたはAだがBとCが各一つくらい。再診レベルと言われるFがいつも2つあり、これが問題だ。ひとつは血圧で、もう一つが胃や十二指腸だ。血圧は恒常的に高いわけではない。少し努力すれば下げる自信はあるが、胃や十二指腸は胃カメラをのむしかない手はない。これが憂鬱だ。若いころはF評価で再診の連絡が来てもほっぽり投げて平気だった。でもこれからはそうはいかない。少しでも異常があればおとなしく病院に行くしかないとあきらめている。
(あ)

No.1043

コロナと潜水服
(光文社)
奥田英朗

 3連休で2冊の本を読んだ。宮崎伸治『出版翻訳家になんてなるんじゃなかった日記』(フォレスト出版)と本書だ。本書は5つの中編からなる小説集だ。連作でないのがちょっぴり残念。連作は舞台が変わっても登場人物は同じで、これは奥田の最も得意とするジャンルでもある。あの連作小説『ララピポ』の面白さは忘れられない。それでも本書の5つの中編に共通項はある。「幽霊」というか「小さな救世主」が登場することだ。それぞれの作品に実際には存在しない人間が登場し、人々に幸せをもたらす。妻の浮気で古民家に移り住んだ作家に憑りついた子供。リストラ寸前の追い出し部屋に現れたボクシング指導者。人気野球選手との恋愛に悩む女性と占い師。コロナを予知できる子供。中古で買った古いイタリア車に乗ると不思議な現象が次々とあらわれ……といった具合だ。幽霊モノや幻想小説、殺人バイオレンスの物語類はNGなのだが、奥田作品のみは別。ファンというのは恐ろしい。それでもやはり奥田作品で一番好きなのは長編作品だ。できれば『オリンピックの身代金』『罪の轍』の続く第3弾が読みたい。

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