Vol.1137 22年10月15日 週刊あんばい一本勝負 No.1129

もう忙しさは抜けたのだが…

10月8日マゾンの書籍販売システムがエラー状態から、ようやく回復。これで一つ悩みが消え少しホッとしている。今日は東京から友人夫婦が来秋するのでそのアテンド。ここ数日で一挙に冷え込みが「厳しく」なった。とにかく朝夕がめっきり寒い。雪でも降ってくれれば対応には慣れているが、この狭間の季節の「ビミョーな寒さ」はけっこう体にこたえる。

10月9日 逆流性食道炎の薬を飲み始めてから胃の調子が頗るいい。このせいで体重はずっと3キロオーバーの状態が続いている。緩めのパンツ(ズボン)をはかないと胴回りがきつくなった。無印良品でコーデュロイのゴムひものXLパンツが良い感じだったので色違い3本を買う。楽ではきごこちもいい。が、おしっこをするときの前空き部分がない。「あっ女ものだ」と気が付いた時は遅かった。今年の秋冬はこのコーデュロイ1本で勝負だ。

10月10日 テレビ放映された映画『セントラル・ステーション』は2度目。サンパウロ駅の中で手紙の代筆業をする元女性教師の物語、と思っていたが、まるで違った。舞台はリオの駅、代筆業の彼女と、母を交通事故で亡くした少年が、会ったことのない父親探しの旅に一緒に出かける、99年公開のブラジル・フランス共同制作だ。10年以上前に観た記憶が、まるで断片すら残っていないことに大ショック。この調子だと、過去の名作を何度見ても新しい発見があって、それはそれで楽しいのかも。

10月11日 書は美術なのか? よく話題になるテーマだが、どうでもいい。「書を観る」のが大好きだ。とびっきり前衛的な作品が好みなのだ。一番好きな書家は文句なしに井上有一。「書」の「戦後60年の軌跡」を一冊に編んだという『書――1945−2005』(美術年鑑社)という本をネットで入手。A5判変形(29センチ×23センチ)上製本・総880ページ・重さ4・1キロ、という大型本だ。本が手元に届いたとき、てっきりスイカでも届いたか、という大きさだった。ちなみに定価は3465円、05年に初版が出ている。これを古本価800円(!!!)で入手。売り手は山口県マツノ書店。奇遇にもここの先代主人とは大の仲良しだった。送料は1100円。本代より送料が高い。

10月12日 寒いのか暖かいのか、雨なのか晴れなのか、天気予報だけではうまく対応できない日々だ。散歩の途中、集中豪雨でビニール傘が壊れてしまった。ズボンはびしょぬれ、そばにあったマクドナルドに飛び込んだのはいいが注文の仕方がわからない。メニューを見ているうち混乱して立ちすくんでしまった。店内は若い人や暇そうな主婦たちのグループでいっぱい。大きくため息をついて外を見ると、雨は小降りに。これ幸いとばかり注文をやめて外に出た。ハンバーガー、食べられなくて、よかった。

10月13日 もう忙しさは抜けたのだが、本が完成したわけではないので、気が抜けない日々は続いている。先月の新刊は2本だったが今月も2本、11月も2本の本ができてくる予定だ。個人でも原稿を書く仕事がこの2ヵ月で6本ぐらいあった。原稿は忙しい時ほどスラスラとうまく書けるような気がする。仕事が押し寄せてくると、逆に映画や本を読みたくなる心理と似たようなものだ。ともかくも忙しさは抜けたから少し遊びたい。でももう遊び方を忘れてしまった。

10月14日  金曜日だが、休みをもらって月山スキー場周辺の森を歩いてきた。酒田の山岳カメラマンSさんを誘って1泊2日のリフレッシュ旅である。スキー場周辺の森を散策し、朝日村の博物館周辺を見学。風呂に入り、ソバ屋で遅い昼食をとり、夕方近くに常宿に投宿。行きつけの町中華・香雅で夕食をとり、部屋に帰ったのは8時前だが、そのまま朝まで熟睡してしまった。けっこう疲れていたのかなあ。
(あ)

No.1129

東北へのまなざし
1930-1945

(日本経済新聞社)
新野直吉

 この9月、東京駅ステーションギャラリーで「東北へのまなざし1930ー1945」という展覧会が開かれていた。本書はその展覧会の図絵集(カタログ)だ。本書は6章で構成されている。「ブルーノ・タウトの東北〈探検〉」「柳宗悦の東北美学」「郷土玩具の王国」「「雪調」ユートピア」「今和次郎・純三の東北考現学」「吉井忠の山村報告記」と続く。ブルーノ・タウトはドイツの建築家で、日本の建築やデザインに大きな影響を与えた。柳宗悦はいうまでもなく「民芸」の創始者だ。「雪調」は説明が必要だろう。昭和8年に山形県新庄町に設立された「積雪地方農村経済調査所」のことで農林省の外郭組織だ。豪雪被害などで疲弊しきった農村対策やその再建のための調査・研究組織である。今和次郎は「柳田国男に破門され」て「考現学」を生み出した弘前市出身の建築家だ。純三はその弟で、兄の志を受け継ぎ「青森考現学」を打ち立てた。吉井忠は福島市出身の洋画家だ。日本人として初めてピカソの「ゲルニカ」を目撃した人物で、青森から福島まで民俗学的調査旅行を敢行し、膨大なスケッチや取材メモを残し「健脚の画家」と言われた。特殊で特別な時期(戦中)の東北地方の風土・建築・生活に注目した貴重な報告書である。

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