Vol.1139 22年10月29日 週刊あんばい一本勝負 No.1131

体調不良は朝ごはんのせい?

10月22日 朝からバタバタとせわしない。なのにちょっと体調が悪い。立ちくらみと吐き気がする。少し横になると元に戻るが、机に向かうとまた吐き気が襲ってくる。熱があるのか、それともコロナの症状なのか……。少し怖くなって、今日の来客に「キャンセル通知」を出そうと思ったが、「もしかして血糖値が低いのかも」と思い至り、アンパンをムシャムシャ、山用のアメをしゃぶると、しばらくして立ちくらみが収まり、吐き気も去った。低血糖というのは当たらずとも遠からずのようだ。ということはオレって糖尿病予備軍? 新たな不安が頭をもたげてきた。

10月23日 本格的な山歩きは久しぶりだ。美郷町の黒森山と横手市の御嶽山を縦走し折り返してきた。途中さっと雨が降っただけで、それもすぐ晴れ、気持ちのいい紅葉のなかの山にすっぽりと染まってきた。全行程でも3時間半程度の小さな山だが、落ち葉の森を歩くのはなんとも実に気持ちいい。

10月24日 朝から寒い。ダウンジャケットを着て仕事をしている。Wi-Fiがつながらない。イライラして心がささくれ立つ。大きく深呼吸して心を静める。昨日の落ち葉の絨毯の上を歩いた山行をこまかく思い出し、リラックスする。仕事をするというのはストレスと闘うことだ。ストレスがなければどんなに素敵だろうかとも思うが、ストレスのない世界はものすごいストレスなのかもしれない。死ぬまでこの戦いは続いていくと覚悟した方がよさそうだ。

10月25日 本と映画の当たり外れが激しい日々が続いている。本は新刊が主なので自分の主観で選ぶしかない。ほとんど書名や著者名で、「これは大丈夫」と決め打ちするのだが、これが外れるケースが多くなった。内館牧子さんの『老害の人』は高齢者シリーズ4作目だが、これは当たり。85歳の老害キャラクターの主人公が多様性を持っているのが魅力。映画は『ブータン山の教室』。こちらはタイトルもテーマも申し分ないのだがミニシアターにしては意外と内容がなく薄っぺらでガックリ。ラストシーンも良くないなあ。

10月26日 千秋公園を突っ切るコースを選ん歩く。週日なのに公園内はかなりの混みようで若い女性が多い。まだ一度も入ったことのない文化創造館に寄るが、何と休館日。ほとんど興味のない横の「ミルハス」ものぞいてきた。待ち合わせまで時間があったので、今度はお堀の蓮をぼんやり眺めていたら、空にものすごいカラスの大群が乱舞し始めた。ハスより断然こちらが面白い。市内中心地は立派で見栄えのいい施設や建物で埋め尽くされている。それは誰のためなのだろうか、などと青臭いことを考えてしまった。

10月27日 朝からイマイチ調子がよくない。出舎するとほどなく、かならず吐き気がするようになったが、今日は本当に吐いてしまった。朝ご飯もちゃんと食べているのだが、もしかしてこの朝ごはんが原因なのかもしれない。朝飯だけはちゃんと食べなくては、という強迫観念が災いし、食欲が薄くても無理やり食べる習慣がよくないのでは。明日から朝ご飯を抜いてみよう。

10月28日 家事はそこそこできるが、「裁縫」はダメだ。カミさんがササっと処理してくれていたからやる必要がなかったのだが、テキも寄る年波には勝てず、針に糸を通すのが辛くなった、という。手元には裾上げのズボンとボタンのとれた山用パンツがある。やむなく近所にあるリフォーム店に持ち込んだが、裾上げが1500円、ボタン付けが600円。でもまあしょうがない。この店がいやなのはやたらと時間がかかること。なんと10日間かかるという。自分で出来ればカンタンなのにと心底思った。
(あ)

No.1131

ごくらくちんみ
(新潮社)
杉浦日向子

 事務所の冷蔵庫を整理していたら、瓶詰の「かんずり」が奥から出てきた。トウガラシの発酵食品だ。昔から珍味と称されるものは好奇心から食べている。「うばい」「このこ」「うるか」「ばくらい」といったものだ。「うばい」というのは熟した梅に煤をまぶして燻して天日で干したものだ。「このこ」はなまこの真子(卵巣)と白子(精巣)を乾燥させたもの。「うるか」は鮎の内臓を塩漬けしたもの。「ばくらい」はナマコの腸の塩辛だ。ほかに「いぬごろし」なんて物騒なのものもあるが、マグロの尾ひれのことだ。「かつおのこ」といえば、塩漬けにしたカツオの卵を焼いたものだ。珍しいところでは、私自身も食したことはないがサメの心臓を「もうかの星」トイって三陸の人は食べるし、馬のたてがみの部分の肉の刺し身を「たてがみさしみ」といって甘口のしょうゆで食べるところもある。本書はただ単に珍味を紹介するグルメ本ではない。わが杉浦日向子がそんな無粋な本を書くわけがない。実は彼女には珍しい、珍味をテーマにした短編小説集なのである。酒と肴と男と女の「新・百物語」というキャッチフレーズがよく合っている自筆イラスト入りの和風ポップな本である。

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