Vol.114 02年11月2日号 週刊あんばい一本勝負 No.111


イライラandスッキリ

 10月31日に『東北お祭り紀行』が出来てきて過去最高月刊出版点数11点を本当に達成してしまった。<達成>といってもそれを目標にして特別がんばったわけではなく、たまたま時期が重なり<新記録>を樹立しただけである。これで少しは暇になりそうな感じもするが、相変わらず事務所の外では四方で新築工事や道路や電気の大掛かりな工事が続いていて、一歩外に出ると事務所は工事関係者の車に我が物顔で囲まれている。キーキーガーガ―もイラつくが、いつも見慣れた道路が車で埋まってしまう光景というのもなぜか腹立たしい。こんな状態がしばらく続くと思うと憂鬱である。
 その一方で、いつも乱雑なデスク周りが劇的にスッキリした。鐙編集長に進められて半信半疑で買った手帳大の「シャープEデイクショナリ―」(2万9千円)という電子辞書が圧倒的に使い勝手がよく、机周りの大小の辞書類がすべて不要になったからである。以前、鳴り物入りで発売されたソニーの「デイスクマン」が高いばかりでまったく役立たずだったので、電子辞書には不信感を持っていたのだが、このシャープは、字が大きい、アクセスがシンプル、軽い、不要なオプションや面倒な機能が一切ない、と中高年、実用派向きの超優れものである。一度、だまされたとおもってお試しあれ。
(あ)

事務所前は車の洪水

これがシャープの電子辞書

能代と本荘がホントに近くなった

 9月末に秋田と能代間の高速道路が開通したのに続いて、秋田と岩城間の高速道も開通し、無明舎近辺から本荘市方面に行くのが大変楽になりました。先に開通した秋田―能代間の開通により、無明舎から能代南ICまで35分。能代市内までの連絡が早くなっただけではなく、当然、大館や八森方面にも近づいた印象です。今年の無明舎の忘年会は能代の居酒屋「べらぼう」でやろうか、と言う話が出ているくらいです。そして今回の秋田―岩城間の開通で、無明舎から本荘まで45分くらいで行けるようになりました。しかしこれではまだまだ満足できません。岩城―本荘間の開通、そしてその先、山形県の酒田や新潟までつながってくれないと不便です。当然北の方も、能代の先の大館や東北自動車道と結ばれなければ意味がありません。

開通直後の秋田―岩城間の高速道路
 高速道路はこれ以上要らない、と言う意見には私は賛成できません。仕事上、自動車での移動が大変多い私にとって、高速道路は絶対必要な道具です。自動車で気軽に青森や新潟に行って日帰りできる日が来ることを心待ちにしています。
(鐙)

どうして逃げないの?

 ふらりと出かけた秋田市の千秋公園でカモシカに出あいました。佐竹の殿様の居城があった千秋公園は、JR秋田駅からわずか3分。緑豊かで閑静な公園なので、わたしは秋田市で自慢できるのはここだけとかねがね思っているほどです。この日は、散策やバードウオッチングを楽しむ人に交じって、ブラスバンドの練習で甲高い音を響かせている高校生のグループがいました。ふと目をやると、カモシカがいるではありませんか。じっとこちらをみているので、100mぐらいからズンズン近づいて3mほどでシャッターを切りました。なにかトクをした気にさせてもらった時間でした。
(七)

なかなか逃げない

今週の花

 今週の花はスカシユリ、スプレーバラ、スプレーカーネーション、ワックスフラワー、ソリダゴの5種類。今回は黄色系統の花だけです。その上、届けてくれたとき、スカシユリはつぼみばかりで一輪も咲いていませんでした。初めは面白みのない組み合わせだと不満でしたが、スカシユリが一輪咲いたとたん印象が変わりました。同じ黄色でもそれぞれ違う色調だということがわかって、周囲が華やかな雰囲気になりました。プロは数日後に花が開いたときのイメージで組み合わせているんだなと、花屋さんを尊敬した瞬間でした。
(富)

No.111

葉山日記(かまくら春秋社)
吉田仁

 日記を読むのは大好きなのだが「これだ」というものにはなかなかめぐり合わない。本書はマガジンハウスに勤める編集者の酒中日記で、ほとんど会社のある銀座界隈と住んでいる葉山近辺での酒を飲んだ日常の記述で占められている。400ページを越す大著なのだがすいすいと読めるし同じような記述しか出てこないのになぜか面白い。これが日記の魔力か、それとも徹底的に「なまけもの」である著者の生き方が魅力的なのか、よくわからない。しかしマガジンハウスという会社はこの本を読む限り天国に見える人もいるのではないか。昼ごろ出社して5時にはもう外で飲んでいる。競馬や小旅行でしょっちゅうズル休みをするし、デスクではほとんど私用の本を読んでいる。それでも誰も文句は言わない。こんな世界は出版界だけだと思うが、今の出版事情ではいかに大手といえどもこうはいかないだろうから、著者は「なにをしてもいい編集者」がいた時代の最後の一人かもしれない。そういった意味ではある編集者の時代証言といえなくもない。詩人でジャズ評論家でもある奥成達さんがやっている「gui」という同人誌に連載されたもので、鎌倉にある版元にとっては『天国の本屋』に続く話題作である。

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