Vol.1154 2023年2月11日 週刊あんばい一本勝負 No.1146

腰痛・ごぼう茶・健診結果

2月4日 カミさんに勧められ「ごぼう茶」を呑んでいる。朝ごはんを食べないようになって「お茶」と「みそ汁」を飲む機会がなくなった。水分不足も気になり出したので、ごぼう茶がそれを補ってくれればいうことはない。だまされたと思って続けてみようと思っている。いよいよ今日から「50年史」の原稿書きに着手する。下書きはもうできているので脱稿は1か月後を予定している。

2月5日 週末は予定通り、「50年史」の原稿を書いている。PCの前で8時間以上向き合っていると、さすがに肩や背中に違和感を覚える。散歩のときに軽いストレッチをしてほぐすのだが、朝起きた時、すっかり首が回らない。このままだと原稿は順調なのに、その前に身体がパンクしてしまう。調べ物をして初めて知った「恥ずかしい話」シリーズをひとつ。世界史に出てくる「普仏戦争」や「普墺戦争」の「普」がどこの国をさすのか初めて知った。プロシアだ。ちなみに「墺」はオーストリア、お粗末でした。

2月6日 雪かきからスタート。朝起きたらかなりの積雪にビックリ。前日まで「雪かき女」こと北大路公子の『石の裏にも三年』(集英社文庫)を読んでいたので、「雪の下には2億円落ちている」と信じて寄せる雪はいつもより軽やか、って読んでない人には意味が分からないか。、北海道在住で独り身、趣味は昼酒で、ぐうたら三昧の「雪と酒と妄想まみれの日々」を綴った爆笑&脱力日記だ。

2月7日 健診の結果表が送られてきた。その評価を全面的に信頼しているわけでもない。評価するお医者さんによって微妙に違うし、10年前は毎回のように再検査マークのついていた病名が、いつの間にやら消えている。ここ数年、劇的に数値が下がっていた尿酸値がまた上がり始めた。血圧は133・90だが指導区分が「F](経過観察が必要)というのは気に入らない。これ以外に「F」は心拡大と委縮性胃炎。「G」からは「治療を必要とする」区分に入るのだが、幸いそれはない。もうこの年になると一喜一憂してもしょうがない。

2月8日 天気がいい日が続く。前向きの気分になる。数年前、沖縄にプロ野球のキャンプを見にいったことがあった。突然思いついて実行に移した4泊5日の旅だったが、あれは楽しかった。子供時代からの念願を果たした達成感もあり、秋田の青空を見るたびに、あの時の沖縄の空を思い出す。あんな唐突で無目的でデタラメで自由な旅を、またしてみたい。「旅」というのがいつも仕事とどこかで結びついていて(だから逆に経費で交通費が出たりするのだが)、自由なようで不自由な「成果」にしばられる旅はもう嫌だなあ。

2月9日 腰が痛い。疲労が蓄積されてくると腰にくるから、わかりやすい。でももうしばらくは50年史の原稿書きに集中し、はやく片付けて楽になりたい。夜の定番行事だったDVD映画鑑賞もご無沙汰だ。最近はいい映画に当たらないから、これもいい休憩タイムかも。何事も根詰めるといい結果にはならない。

2月10日 カモ鍋が食べたい。近所のいたるところにカモはいる。なのに売られているのは合鴨と外国産ばかり。なぜ近場の野生カモは手に入らないのか。と思っていたのだが、Sシェフにマガモが貴重な理由を教えてもらった。カモは水面にいる。キツネなどの外敵から身を守るためだ。そのため銃で撃ち落としてもボートがなければ獲物を取りに行けない。銃もボートもある裕福な人間は田舎にそうはいない。撃ち落とした後の処理もけっこう面倒で手がかかる。そんな理由からマガモはなかなか市場には出ないし高価のだそうだ。
(あ)

No.1146

汝、星のごとく
(講談社)
凪良ゆう

 本書はいわば高校生の恋愛小説なのだが、読んで涙が出て止まらなくなった。70を過ぎたジジイが何をやっているのか、自分でも照れ臭くなる。瀬戸内海の小さな島に住む高校生、暁海と櫂の、美しく、繊細で切ない物語で、彼らの年を追って変転する恋のありようを、20年にわたって描いたものだ。すばらしい物語には時代を越える力がある。この前に読んだ『八月の母』も四国の小さな町から逃げ出そうとする切ない女たちの物語だったが、どちらも間違いなく近い将来に映画化されるだろう。読後、映画化の際のキャステングを考えている自分にひとり笑ってしまった。著者は06年よりBL(ボーイズラブ)のシーンで作家活動をはじめ、40作超の著書がある。話題になった前作『流浪の月』は19歳の大学生と近くの公園で知り合った少女を自宅に軟禁する。世間的には青年による少女の誘拐だ。しかし少女と青年はお互いを「命綱」と思うことで繋がっている。やさしさや善意や良心や道徳心から、自分の眼でみた普通でないと思われる人々に対して「普通」を突きつける。それは刃であり暴力であって、相手を殺める危険性を秘めている。「やさしさ」とは何なのか。考えさせる小説家の登場だ。

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