Vol.1156 2023年2月25日 週刊あんばい一本勝負 No.1148

豆腐・コピー機・リフレッシュ

2月18日 Sシェフに誘われて土崎の豆腐屋さんへ。若い女性がやっている「豆腐百景」という店だ。「ひきこもって」いる状態だったので、机の前から無理やり引きはがしてくれる人がいるのはありがたい。いい気分転換になる。Sシェフには感謝だ。自家製おでんセットというのがあったので買ってきて食べてみたが、これが見事あたり。うまかった。本格的で、しかもそれが若い女性たちによる企画、経営というところがシブい。

2月19日 朝からコピー機の調子が悪い。プリントアウトした原稿を最終チェックする予定だったのだが、途中で紙が引っかかり出てこなくなる。何度やってもひっかかる。コピー機はもう15年も同じ機種を使い続けている。もう限界だろう。新しいコピー機の導入を考える時期のようだ。

2月20日 コピー機の不調、PSの反乱などで日曜日の仕事の予定がすっかり狂ってしまった。最近は自分の身体に対しても同じような「苛立ち」を覚えることが多い。腰痛はだいぶ良くなったが、寝返りを打ったら尻にちかい大腿骨あたりに猛烈な痛みが走った。大腿骨が寝違えなんてことがあるのだろうか。毎日こうしたことの繰り返しだ。心身ともに老化でボロボロになっているのだけは確かなようだ。

2月21日 煮詰まって前に進めない。こんなときには気分転換が一番、思い切って河辺まで遠出し、午前中からユフォーレで温泉に入り、さっぱりリフレッシュ。その後、食堂で贅沢な昼めし「天ざる中華(920円)」を食べ、施設内の図書室にこもって2時間半、迷路に入りこんだお仕事をじっくり再考。環境が変わっったら、行き詰っていた仕事がスイスイはかどった。一挙に仕事は進み、心身共にフレッシュ出来、生まれ変わった気分だ。一時的だけど。

2月22日 外食はほとんどしない。ご飯を炊いて冷凍おにぎりを作り置きしている。その米は著者の方から頂いたササニシキで特別うまくも不味くもない米だ。特別にうまいお米を食べたいと思ったことはない。いや逆に米が特別美味いとおかずの影が薄くなる。お米はひっそりと「ふつう」であるのがいい、と思っている。炊き方も適当だ。。それでも冷凍庫におにぎりの在庫がなくなると焦る。急いで作り置きする。おかずがないときは卵かけご飯かお茶漬けでじゅうぶん大丈夫だし、だから究極の食事は「おにぎり」だとおもっている。

2月23日 朝ごはんを抜くようになって昼ごはんの選択肢が急に広がった。夜寝る前に「昼何食べようか」と考えるのがけっこう楽しみだ。その時々に、食べたいものを食べる、というのが基本だが、作れないものは無理なので、いまは少しずつ料理のメニューを増やしているところだ。

2月24日 東京の出版社の営業から退職後、地元の金沢市に帰って「図書室のある焼き芋屋」をはじめたKさんから電話。今週土曜日放映の「人生の楽園」に出演することになった、との連絡。ああ、あの、西田敏行さんがナレーターをやってるやつ。なんだかKさんの昔の「敏腕の書店営業マン」のイメージとうまく結びつかない。でもほのぼのとした、いい感じの番組になることは間違いない。早く番組が見たい。って明日じゃないか。
(あ)

No.1148

唐牛伝
(集英社文庫)
佐野眞一

 著者は22年に物故している。生前、親しく付き合っていた時期もあったのだが、あの「橋下筆禍事件」から、意識的に距離を置くようになった。でも亡くなってしまうと、追悼の意味もあり、本書を読んでみようと不意に思い立った。あまり興味のあるジャンルの本ではなかったが、これが実に面白かった。食わず嫌いは良くないなあ。本書のテーマは60年安保や主人公の遍歴を別にすれば、「東大」「女」「酒」「右翼」「友人」である。このサイドストーリーが著者の真骨頂だ。主人公・唐牛の振幅の大きさにも驚いた。70年代以降には絶対に存在しないタイプのリーダーである。本書(文庫)が出たのは18年暮れだ。前に出ていた単行本に大幅に加筆したもので、その流れからいえば著者の「最後の本」と言っていいのかもしれない。著者本人もかなりの執着と熱意をもって、文庫のための大幅加筆をしたことを書き記している。暮れから関ヶ原の本(「尚、赫々たれ」)や満州の本(「地図と拳」)、そして本書と時代もジャンルも統一感のない本を読んできたが共通項があった。「岸信介」という昭和の妖怪の存在である。関ケ原で重要なキーは「毛利家」だが、ここは岸の出身地で、のちに明治維新で長州藩として歴史に蘇る。満州は、いわば岸信介が主導で造った幻の国家だ。そして60年安保は岸が主役を演じた大舞台だ。まるで関連のなさそうな3つのテーマが岸の存在でくっきり像を結ぶ。

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