Vol.1159 2023年3月18日 | 週刊あんばい一本勝負 No.1151 |
コピー機が新しくなった! | |
3月11日 夫の逮捕によってTV出演できなくなった女性評論家の六本木の家賃が300万円だそうだ。外山薫『息が詰まるような場所で』(KADOKAWA)は、そんな港区のタワマン内部で繰り広げられる「セレブたちの生態」を、これでもかと細部まで描いたコミックタッチの小説だ。タワマンの最上階に住むエリート医師一家と下層階に住む一流銀行勤め共働きの一家の、子供を通しの交流で物語が進行する。同じタワマン住民といえ住む階層で歴然とした差別社会があり、世間と同じ格差世界なのには笑ってしまった。 3月12日 今年に入って2回目の山行は雄和の高尾山。天気は上々で、山頂まで2時間ちょっと。まだ腰痛が完治してないが、思ったよりもスイスイと駆け登ることができた。往復3時間半ほどの山歩きだが汗をかくのは気持ちいい。やっぱり山はいいね。こんな感じの山歩きが週に一回あれば最高だ。 3月13日 現役で仕事をしている限り月曜はユーウツな気分で迎える曜日であり続けるようだ。月曜日はミーティングがある。おまけに雨だ。昨日の久しぶりの山行の心地よい疲れが体にまだ残っている。筋肉痛もけいれんもないから筋力はまだそれほど落ちていないようだ。身体が動くうちにやってしまいたいこと(やり残していること)はいろいろある。どれもこれも簡単に「やっつけてしまえる」ほど単純なことではない。それを考えるとまたまた気が重くなる。 3月14日 ヘンな夢を見た。インチキっぽい薬や本を売るセールス集団の会社に入社、バスに乗って初営業に出発する。バスの中には同じ会社の面々が乗り込み和気あいあいなのだが、私一人、本当に売れるのか、客から訴えられないか、不安と恐怖でバスの天井を見つめて脅えている……。昔はこの手の販売訪問セールスがよくあった。平凡社の百科事典だって、こんなふうにしてフリーの販売員が売り歩いていた。江戸時代に村々に本を担いで売っていた人を描いた青山文平『本を売る日々』という新刊を昨日買ったばかり。まだ読んでいないが、夢はこの本と関係あるのだろうか。 3月15日 桜の開花時期を毎日チェックしている。開花情報が気になるのは、ブラジル・アマゾンの日系移民の方が「弘前の桜が見たい」と訪日する予定だからだ。いつもアマゾン取材で御世話になりっぱなしの当方としては、こんな機会でもなければ恩返しできない。だから張り切って「東北は私の縄張り。どこでも私がアテンドします」と大見えを切ってしまった。というわけで毎日、刻々と微妙に変化する桜前線情報にくぎ付けである。 3月16日 大阪在住の作家、阿部牧郎は高校時代を父の故郷である花輪町で過ごした。官能作家というジャンルでくくられ、多くの著作を出しているが、大館の高校時代を描いた「それぞれの終楽章」で直木賞を受賞、2019年に85歳で生涯を閉じた。著作の中に戊辰戦争から日露戦争までの38年間を、鹿角の地で生き抜いた男を壮大なスケールで描いた『静かなる凱旋』(講談社)という長編小説がある。盛岡藩の密偵として秋田城下を探索し、日露では一転、秋田の遺族会会長として講和阻止の戦いに身を投じる人物が主人公だ。秋田の戊辰戦争を理解する上では最高級の歴史史料で、この本を読むのはもう3回目だ。 3月17日 15年ぶりにコピー機が新しくなった。コピー機にはファックスやスキャンといった機能も備わっている。いまやこっちの方の用途が多いのが現状で、特にファックス機能は重要だ。なのに昨日、デザイナーのAさんから「もうファックスはやめました。メールでデータ送信をお願します」という連絡を受けた。さらにSシェフからは「PSのスキャンがあるのでコピーは必要ない」とまでいわれてしまった。今日は生原稿のOCR(自動読み取り装置)機能を試してみるつもりだ。昔から解読度はそんなに上がってはいないようなので、あまり期待はしないようにしよう。 (あ)
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