Vol.117 02年11月23日号 週刊あんばい一本勝負 No.114


天国のように幸せな映画

 沖縄の出版社、ボーダーインクのホームページにあったリンク集から、映画「ナビィの恋」のページをのぞいてみました。1999年に沖縄で制作された作品で沖縄県民映画と呼ばれている、前から気になっていた映画でした。社員旅行で沖縄に行ったのがちょうど一年前。その頃から沖縄の音楽、本、酒、料理に急激に興味が湧き、今はそれらの世界が私の周囲にふんだんにあります。そんな時ホームページを見たものですから急に「ナビィの恋」が見たくなり、早速ビデオを借りてきました。これが予想を大きく越える面白さ。大いに笑い、喜び、借りている間に3回も見てしまいました。

沖縄の版画家と思われる名嘉睦
稔のCDジャケットが素晴らしい
 沖縄の小さな島を舞台にした作品には、沖縄民謡の登川誠仁を主人公に、嘉手刈林昌などの三線や島歌の上手、沖縄のオペラ歌手、アイルランドからきたという設定のパンク・フィドラー(バイオリン)などが役者として登場、平良とみや地元の島人たちと絶妙の競演を見せてくれます。映画の半分は唄って踊るシーンで、まるで沖縄ミュージカルでも見ているような楽しさ。一緒に見ていた私の娘も最後のシーンではテレビの前で思わず踊っていました。この楽しさをもう一度と思い、仙台の新星堂でCDを買い、車を運転しながら聞いている毎日です。中江裕司監督の沖縄映画次回作「ホテルハイビスカス」が楽しみですね。
(鐙)

『飛島ゆらゆら一人旅』の出版を仙台で祝う

 日本海に浮かぶ孤島・飛島の本を出版しましたが、そのお祝いをしに仙台に行ってきました。著者の河北新報記者・古関良行さんが仙台在住のためです。お祝いには新聞記者として秋田に赴任していた毎日新聞仙台支局長の渡辺さんや、朝日新聞仙台支局デスクの高橋康弘さん、無明舎のホームページのんだんだ劇場に「ニュース百色眼鏡」を連載している河北新聞の佐藤陽二さんや学芸部の皆さんなど、カワハギ料理の店「かつら」に集合しました。気心が知れた仲間たちですから和気あいあいとした楽しい会でした。
 開口一番、以前秋田支局にもいたことがある河北新聞の大和田雅人さんが、「よくあんなに小さくて何もない島をテーマに本を一冊書けたもんだな。驚いたよ」と発言し大笑いになりましたが、いえいえ大和田さんあの島は奥深い、味わいに満ちた魅力的な所ですよ。食、漁、祭り、自然などのほかにも日本海の海流の中に浮かぶ島ですから、海を流れてくるさまざまなモノの歴史を見ることが出来る島でもあります。小関さんの本を読んだり島の話をしたりしていたら、ふらりと飛島に行きたくなってきました。冬のうちは毎日海が荒れるので願いがかないそうもありませが、春になったら何冊かの本を抱えて一人で行ってみようと思っています。
(鐙)

『飛島ゆらゆら一人旅』
を手にした古関さん

悔しい写真

  終日、無明舎の資料庫にこもって「秋田大橋」の写真を捜す作業をしました。昨年、新しい橋に架けかえられ、取りこわしが決まっている「秋田大橋」の記念式典にかかわる作業です。  無明舎には資料写真が6畳ほどの部屋いっぱいにあります。そのなかから「秋田大橋」の写真を捜し、写した人を特定してネガフィルムを見つけだすのですが、これがとてつもなく難儀な作業となりました。埋もれている「秋田大橋」の写真を1枚でも多くさがし出そうと、それこそ1枚1枚全部を見るはめになったからです。その結果、予想していた写真はほぼ見つけることができましたが、撮影した人がどうしても特定できなくて悔しい思いをする写真も出てきました。  この写真を撮った人を、どなたかご存じありませんか。
(七)

お心あたりの方は 無明舎にご一報を

今週の鉢植え

 今週は事務所内の観葉植物を紹介します。名前は「ザミオクルカス」。熱帯アフリカ原産で、サトイモの仲間。アラビア語でサトイモのことを「クルカス」と言うそうです。「ザミア」はソテツのことを指していますが、葉のつき方が似ているというだけで、種類は全く別物です。イモのように大きくなった根っこから、ガジュマルに似た固くて光沢のある葉っぱが伸びています。5〜10度の室温で越冬できるらしいのですが、北国では5度以下になることはザラにあるので、無事に春を迎えることができるか気がかりです。
(富)

No.114

猫の似づら絵師(文芸春秋)
出久根達郎

 しばらく小説を読んでいない。本を読めないほど忙しいだからいいことに違いないが、逆に本の世界に深入りして時間がなくなってしまうのを恐れている気配もないことはない。特に長編の小説を読み始めると膨大な時間がそれにとられ、私の好きなこまごまとした整理整頓の時間がなくなってしまう。本書は久々の小説だが新刊ではない。東京で散歩中に古本屋であてづっぽうに買い求めたもので小説世界に入り込めるものならば何でもよかったのだが、なんとなく読みなれている著者のそれも時代物を選んだのは、これを助走にしてまた小説を読み始めようかという気持ちもどこかにあったのかもしれない。「猫の似顔絵描き」と「貧乏神売り」が主人公だが、これは江戸時代に本当にあった商売らしい。江戸はあらゆる職種が花盛りだったのである。「歯の欠けた下駄も、破れ傘も、ちびた箒も、抜けた髪の毛も、蝋燭のカスも、カマドの灰も、けっしてポイ捨てをしない。修繕する業者がいたし、引き取る商人が居たからである」こうしたところから主人公を選んでくる著者のセンスがいい。この著者の本を読むと日本語の忘れていた言い回しをいつも教えてもらえるから得な気分になる。

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