Vol.1178 2023年7月29日 週刊あんばい一本勝負 No.1170

クーラーの毀れたシャチョー室で

7月22日 今日からまたHP写真が変った。サンパウロの街中で、鎧兜姿でパフォーマンスする大道芸人だ。パフォーマーはたぶん日系人だろうが(外国人ではこんな甲冑の発想は難しそうだ)、まったく動かず、こちらが先に音を上げて、投げ銭をして、帰ったほど。大都市サンパウロの人たちは、この手の街頭パフォーマンスは見慣れているのだろうが、やはり甲冑というアイデアはユニークだ。というわけで敬意をこめて写真を撮った。

7月23日 クーラーをつけたまま事務所でダラダラ。暑すぎる。昔みたいに粋がって散歩に出たりすると、もう確実に脱水症状か熱中症になってしまう年寄りだ。室内クーラーの設定温度は「20度」。午後2時の室内温度計は30度のまま。西日による高温化はクーラーでは下がり切れないほどシャチョー室を温めてしまう。外に出たら、これがなんと気持ちのいい風が吹いていた。運動不足で腰痛気味なので、ストレッチまでして、汗ダラダラで散歩までしてしまった。暑い暑いと言ってはいるが、食欲は相変わらずで体重は増える一方。少しは夏痩せしたい!

7月24日 今日も朝からクーラーガンガンだが、ちっとも涼しくならない。夜はよく眠れるし、食欲は若いころと変わらない。でも出不精になり、人と会うのがおっくになった。一番大きな変化は「酒を飲みたい」と思わなくなったことだ。カミさんとの一杯の晩酌だけでもう大満足。大好きだったひとり酒をする気力も薄れるばかり。

7月25日 ここ半年ぐらい「1日も休まず」散歩をしている。どんなひどい風雨の日でも、一時(2,3時間)その勢いがガクンと衰える時間帯がある。そこを狙って外に飛び出すのだが、もちろん雨合羽に傘持参だ。散歩にこれだけ執着しているのは、山歩きがないからだ。はやくSシェフと山に行きたい。最近は、散歩途中に立ち寄る「広面近隣公園」がお気に入りだが、この大雨で「災害ゴミ仮捨て場」に指定され、公園にはまったく立ち入れなくなった。

7月26日 朝、にわか雨。すさまじい蒸し暑さで、慈雨という気分にはほど遠い。昨日は結局、室温を16度(!)にクーラー設定したにも関わらず、シャチョー室の温度計は30度を指したまま。熱暑のなか、思い切って散歩に出た。外の方がけっこう涼しいのに驚いた。駅前まで出て居酒屋でひとり酒。帰りも汗だくになって歩いて帰ってきた。

7月27日 ジャニーズの性加害問題は、正直なところあまり関心がなかった。でも先日、「70年前に性被害を受けた」という俳優・服部吉次さんの新聞証言で、この問題はもう他人事に思えなくなった。服部さんはあの有名な戦後歌謡界を代表する作曲家・服部良一の次男だ。というか、私にとっては若いころ、演劇集団・黒テントのスタッフ・俳優として何度も秋田や東京でご一緒したことのある知人である。その彼れが新聞社会面に顔写真入りで、70年前の小学2年生の時の喜多川氏から受けた被害(2年半、計100回ぐらい)を告発している。そうだったのか。服部さんの勇気にエールを送りたい。

7月28日 ええっ、もう金曜日か。1週間が過ぎるのが、今週は特に早かった。というか何もしないまま、暑さと腰痛(臀部の座骨の所が痛くて歩くのが苦しい)でのたうち回っているうち、時間は飛ぶように過ぎてしまった、懐かしい人からお見舞いをいただいたり、30年ぶりくらいに会う友人がいたり、思いがけない原稿依頼や、講演の仕事が会場が避難所になったせいで中止になったりと、細か出来事はいろいろあるのだが、外見上はただただひたすら熱暑のクーラーの効かない事務所でジッと「何か」に耐えていた、というあんばいだ。
(あ)

No.1170

向田理髪店
(光文社文庫)
奥田英朗
 もう20年以上、同じ近所の理髪店に通い続けている。腕もいいし、店主の話も面白いのだが、このところ「ずんずんと」散発代が高くなっている。たぶん普通の床屋さんの二倍以上の料金だ。これはちょっと足元を見られているようで不快。他の床屋さんの物色をはじめたが、このなじみの床屋以上のものを探すのは難しそうだ。そんあこんなでフト本書を思い出した。過去に2度ほど読んでいて面白かったので、また手に取ってみたのだ。北海道の過疎の進む炭鉱町を舞台にした騒動と人間模様を描く連作集だ。本棚から引っ張り出し読みだしたら、面白くてやめられなくなった。16年に単行本が出た本だが、つい最近、映画化されたようだ。ネット上でも話題になっていた。確かに、この本は映画になる価値がある、と3度目を読了して思った。主演を調べたら「高橋克実」だった。主人公の向田役だ。村(物語)で重要な役割を果たす新旧のスナックのママ役の配役は、古いほうの店のママは根岸季衣、新しいほうは筧美和子。なるほど、そう来たか。3回読んでもまだ面白いのだから、この本は私にとって名作だ。というか前に読んだストーリーをすっかり忘れているだけなのだが。

このページの初めに戻る↑


backnumber
●vol.1174 7月1日号  ●vol.1175 7月8日号  ●vol.1176 7月15日号  ●vol.1177 7月22日号 
上記以前の号はアドレス欄のURLの数字部分を直接ご変更下さい。

Topへ