Vol.1186 2023年9月23日 週刊あんばい一本勝負 No.1178

3連休は大荒れの日々

9月16日 しばらく映画を観ていない。私的50年史や長年取材を続けてきたブラジル・アマゾンの移民の話を本にまとめなければならないので時間を作るためだ。映画を麻薬だ。いい作品に出合うと次が観たくなる。ほとんどチェーンスモーカー状態になる。そうなると夜の原稿を書く時間は全く取れない。原稿書きは非効率なうえに時間を無制限に食う。この時間を確保するために「映画は敵」なのだ。

9月17日 3連休だ。HP写真は謎の建物だが、私が月に必ず1回は行く歯医者さんのビルの廊下。病院がいくつか入っているのに、いつもこの廊下は静かで人通りがない。いつも行くたびに、こんな大きな建物に自分一人しか人間がいないような錯覚に陥ってしまう。

9月18日 3連休は「まじめに」ブラジル・アマゾンの原稿を書いている。原稿を書くのは辛い。非才をいちいち確認させられる時間だからだ。なんでこんな苦しいことをしているのか。誰かに依頼され、頼まれた仕事ではない。放り出したとしても、誰から批判されるいわれはない。でも投げられない。とんでもない時間と労力をかけて取材を続けてきた、その時間と経費がムダになる。これまでにかけた時間と経費の元を取るため、苦行である原稿と格闘している。

9月19日 3連休の最後、市内でいろんな面白そうな展覧会があるのではしごした。みんな無料でアマチュアの展覧会ばかり。期待通り(?)ガックリの連続。新聞記事情報では「作品のレベル」まではわからない。でも、こんな時間の浪費も時には必要なのかもしれない。

9月20日 昨日の雷雨はすごかった。一瞬だが停電。パソコンのWi-Fiがダメになった。夜には回復したが、この時代、Wi-Fiがないと何もできないのだから情けない。読む本もちょうど「空白」期で、ダラダラと面白くもないテレビを観て時間を潰してしまった。時間食い虫である「映画」を観ないと決めているので、これもきつい。まあこんな日もあるさ。

9月21日 今日も秋田はニュースの主役になりそうな「荒れ模様」だ。大雨の対応はそれなりに先日の経験で学んだが、やはり怖いのは落雷だ。というか停電が一番の恐怖だ。パソコンがダメ、音楽が聴けない、冷蔵庫がパンクして、クーラーが効かなくなる。わかっていても、もうこれだけで動揺してしまう。朝から山用のヘッドランプやガスバーナーを出動させ、キャンプ用ランプの乾電池を点検。これだけやっても不安が消えるわけではない。でも何もやらないよりはいいか。

9月22日 自分に枷(かせ)をハメたくない。だからタブーのようなものをつくらないようにしてきたつもりだが、よくよく考えると、けっこう「枷」はいたるところに張り巡らされていた。まずは「宝くじを買わない」「図書館で本を借りない」「コンサートに行かない」「ジャンクフードを食べない」「海で泳がない」「魚釣りをしない」「中華以外のアジア料理は食べない」「自販機を使わない」「アルコール度の高い酒は飲まない」……となんだか健康系、食系になると枚挙にいとまない。なんとなく身についてしまった「習慣」といったほうが当たっているのかもしれない。
(あ)

No.1178

犬橇事始
(集英社)
角幡唯介
 18年に刊行した『極夜行』は冬の北極圏を80日間、犬と旅をする探検行だった。その著者が今度はやはり北極のシオラパークを拠点に、グリーランド北部を長期狩猟漂泊した2年間の行動記録だ。本書は「裸の大地第二部」で、一部は「狩りと漂白」。どちらも独特の冒険への深い考察が語られていて興味深い。その「極夜行」から1年後、著者の志向は、百年前のエスキモーの生活の実践した旅へのあこがれに変化していく。土地や動物に対する知識と深い洞察、そして犬橇や狩りの技術がなければできない旅への敬意だ。本書は54日間1200有キロに及ぶ、その北極圏での漂泊行の記録であり、2年間に及ぶ犬たちとの訓練と交流の物語だ。旅行スタイルは単独行から10頭以上の犬たちと行く犬橇の旅に変わった。その2年間、苦楽を共にした犬たちのリーダーを絞殺するシーンが本書のラストだ。これは感動的で、泣いてしまった。走れなくなり、天分を全うできなくなった橇犬ほど不憫なものはない。魂を天に返してやるのが飼い主としての責務なのだ。自分の犬を成仏させなければならないときは、鉄砲ではなくロープをつるして絞殺する。それが世話になった犬へのせめてもの義理だ。コロナ禍の激変する世界の中で、その激変すら知らないまま時を過ごした、著者は地球で唯一の人間だった、という。

このページの初めに戻る↑


backnumber
●vol.1182 8月27日号  ●vol.1183 9月2日号  ●vol.1184 9月9日号  ●vol.1185 9月16日号 
上記以前の号はアドレス欄のURLの数字部分を直接ご変更下さい。

Topへ