Vol.1198 2023年12月16日 週刊あんばい一本勝負 No.1190

時間と環境

12月9日 雪のある季節とない季節では、ある時期のほうが圧倒的に「体調不良」の頻度が高い。足のけいれん、尿酸値の値、腰痛に便通、食欲、その行動範囲まで、冬になると「悪くなる」症状が多い。これは「水分を取らなくなる」ことが原因ではないかと思い、今秋から魔法瓶に入れたお茶を積極的に飲んでいる。いまのところ頗る体調はいい。夜のおしっこの回数が増した。寒くなると身体を動かさず、汗もかかない。これがよくないのだたぶん。

12月10日 年末は忘年会が復活しそうだが、私の周辺はひっそりしたまま。お正月も今年からは「お節はやめよう」とカミさんと話し合っている。昨夜、突然サンパウロから電話。日系人の友人の家族9人(!)が元旦に秋田に行きたいとの連絡だった。彼とは50年に及ぶ「アミーゴ」だ。なにを差し置いてもアテンドしなければならない。ホテルに大型バス、食事に運転手の手配……一挙にあわただしい年末が押し寄せてきた。

12月11日 忙しいときの1週間とヒマな時の1週間は、まるで「時間の長さ」が違う。忙しいときは時間がのんびり流れ、ヒマなときはあっというまに過ぎる。暇なときは「えっ、もう金曜日」という感じで1週間が3,4日で終わってしまう。逆に忙しいときは、なかなか週末がやってこない。もう一息で休めるのに、そこまでたどり着くのが青息吐息なのだ。忙しいときの時間の長さには、裏にべったりとストレスも張り付いている。これが長く続くと体調不良ということになるから、やっかいだ。時間が飛ぶように過ぎるのは、「死」というゴールに向かってまっしぐらにラストスパートしているようで、あまりいい気分でもない。

12月12日 録画しておいた『かもめ食堂』を見る。2度目だが新鮮な感動。群ようこの原作が無性に読みたくなった。そういえば先日、藤沢周平『たそがれ清兵衛』(新潮文庫)を読んで、こちらも感動した。同名の映画は観ているが原作は読んでいなかった。本は映画とまるで違った内容だ。本は表題作のほかに「ごますり」「ど忘れ」「日和見」「だんまり」「祝い人(ほいと)」「うらなり」「かが泣き」といった、人名の前に「あだ名」が付けられた「さえない侍たち」の、意外な活躍を描いた短編シリーズだ。映画はそれら短編のストーリーを取り入れて1本の映画にしたもの。映画と原作の関係は興味深い。原作がどれだけ「いじられているか」を見るのが楽しみなのだ。

12月13日 朝ごはんは食べない。コーヒーと羊羹一ひとかけらが朝の始まりだ。昼はめん類やご飯類を自分で作って食べる。夜はカミさんと各自勝手に惣菜を作って、酒のあてにして夕食。晩酌は焼酎もワインもハイボールも一杯だけ、その後、散歩したり仕事をする。この1杯の晩酌がすっかり定着し酒がめっきり弱くなってしまった。その替わり甘ものが必需品になった。酒はやはり身体にはかなり悪い、というのは何となく自覚し出したのは確かだ。

12月14日 高校時代、私は柔道部だった。全国大会に出場するような強い運動クラブは、ハンドボールと剣道だった。他にスキー競技も全国区だったが、これは何となくわかる。でも、なんで日本の北の端っこにあるド田舎でハンドボールと剣道が全国区なのか。最近になって昭和36年の秋田国体のことを調べていて、ハンドも剣道も、実は「たまたま」町の「国体会場」に選ばれたのが、強くなった理由だったことがわかった。秋田県はオリンピックで獲った総メダル数が全国でも5本の指に入るほど多い。そのメダルのほとんどがレスリング競技だ。これは昔から小玉醸造の社長がレスリング好きで、自社の作業場に練習場を作り、従業員に「なかば強制的に」レスリングをやらせたことが普及につながった。競技人口が少なかったこともあり、全国区というか世界的なレベルに達してしまったのだ。

12月15日 起きたら外は雪。小雨まじりの湿っぽいやつで、雪の中では、寒そうで中途半端な、あまり好きではないタイプだ。昨夜、長野でデザイン関係の仕事をしている知人の女性から「アイスケーキ」が届いた。評判がいいので手広くケーキ販売も始めたのだという。あいにく仕事場の冷凍庫には入らない。家も無理なので、これは早めに食べてしまうしかない
(あ)

No.1190

バブル全史
(東洋経済新報社)
週刊東洋経済編
 民放テレビの『博士ちゃん』は好きな番組だ。先日は「バブル博士」の中学生を紹介していた。いまから30年も前、80年代後半の地価高騰と株価の異常な上昇、金余りを背景にした泡沫消費をバブルの時代という。起点は85年のドル高是正の国際協調・プラザ合意だ。70年代から1ドル240円時代が続いていたのだが、この国際協調でドルは150円まで高くなった。そのため円高不況になり、その対策で日銀は公定歩合を過去最低の2.5%まで引き下げた。これが土地への投機を生み、地価高騰を招いた。バブル景気は85年から91年の湾岸戦争勃発あたりまでを言う。私個人も、なぜかこの時代の風俗や文化に(自分が恩恵を受けていないのに)、いまも興味を持ち続けている。バブル関係の回顧本は欠かさず読んでいるし、本や映像に取り上げられるだけでテンションが上がる。特にバブルに踊った「悪の紳士たち」の転落物語が好みだ。勧善懲悪の痛快な時代劇を観ているような気分になって、よし頑張ろうと思うのだから、あまりいい趣味ではないが、先日の東京オリンピック汚職で逮捕された元電通の高橋治之は、バブル紳士の代表で「長銀を潰した男」といわれる高橋治則と兄弟だ。

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