Vol.1205 2024年2月3日 | 週刊あんばい一本勝負 No.1197 |
いつものコンビニで事件が | |
1月27日 ドックで血圧を測ると「167」と言われビックリ。2時間後に測りなおすと「137」まで下がっていた。ドックでは血圧の数値が実は一番気になる。父親が高血圧で糖尿病体質だったためだろう。高血圧がすべての病気の元凶だ、と信じる母親の影響があるのかもしれない。ともかくも今年の健診も、どうにか血圧だけは切り抜けた。 1月28日 ポットに入れて飲むお茶と一緒に梅干しを食べている。毎朝食べる梅干しは、小ぶりの飴玉ぐらいのやつを二個。しみじみとうまいと思う。これも年齢と関係あるのだろうか。 1月29日 最近はニュース番組をみるのがいやになってしまった。どんな事件や事故にも「自分の反映」を見い出すことができる。腹の立つこと、見逃していること、世間とは違う見解、同情と嫌悪、過剰評価に思わせぶり……時間とともに泡のように消えていく事件に自分の爪痕を残そうとするのは自己満足の類だ。無視するのが一番だ。沈黙もまたなにがしかの意味を持っている、と信じたい。 1月30日 事務所のトイレはモスグリーンの壁紙で内装した暗めの空間だ。一枚の絵が飾ってある。シンプルなエッチング(もちろん複製)で、フランスの詩人・ジャン・コクトーの描いた「美女と野獣」だ。駅前の骨董屋で1万5千円、印刷ものとわかって買ったから、まあけっこう高い買い物だった。不思議なことに絵はこの暗いトイレの中になじみ、静かに微笑みだした。絵というのは不思議だ。もうこの絵のないトイレは考えられない。 1月31日 まだ20代のころ、これからどう生きていこうかと考え、古物商の免許(?)を取得した。当時、書店をやるには莫大なお金がかかった(口座を開設する必要があった)。古本屋なら古物商の免許さえあれば明日からでも始められるからだ。このところずっと出久根達郎の本ばかり読んでいる。古書店オヤジの偏屈な視座からみえる世相は、時代を超え、確かな人間のありようを提示してくれる。古書店は今も変わらず魅力的だ。 2月1日 関西圏で出版や古書販売をしている友人のFさんが、80歳で北海道を自転車1周旅行し、その顛末の奮闘記を出版した。8月の1カ月間をかけて「着の身着のまま」――サンダル履きにママチャリで走破したのである。どこにでもあるママチャリで、荷台には生活最小限のものだけ積み(テントなどは持たない)、ビジネスホテルや民宿に泊まりながら、北海道を満喫してきたという。そのFさん、家に帰ると、今度は九州1周旅行を企画するのだが、健診でがんが発見され「余命2年」を宣告される。それでも九州1周をあきらめない。あのFさんだったら「余命2年の九州1周」をやりかねない。 2月2日 散歩の途中にコーヒーを飲むために立ち寄るコンビニの前に、警察官が立ちふさがり入れなかった。2日前の話だ。昨日の新聞によると、54歳の男が店員にナイフを突きつけ店員を脅迫、その場で逮捕されたのだそうだ。このコンビニは隣にパチンコ屋があり、得体のわからない老若男女がよくタバコを買いにくる。そのタバコ売り場横で、私はいつもコーヒーを飲んでいる。何か事件が起きそうな空気が流れているコンビニだ。そしてやっぱり事件は起きた。自分がもし現場にいたら、どんな対応を取っていただろうか。 (あ)
|
●vol.1201 1月6日号 | ●vol.1202 1月13日号 | ●vol.1203 1月20日号 | ●vol.1204 1月27日号 |