Vol.121 02年12月21日号 週刊あんばい一本勝負 No.118


「神室そば」に衝撃走る!

 羽後町に住む友人から「おいしい蕎麦があるので食べてください」という手紙とともに突然打ちたての蕎麦が届いた。おいしい蕎麦があれば食べに行くのだが、この「神室そば」は店舗を持たないお蕎麦屋さんで出張出前や郵送が専門なのだそうだ。さっそく余り期待せずに事務所2階で食べ始めたら、全員「うめぇぇぇ!!」という驚嘆の声。蕎麦の写真をとらなかったのは食うのに忙しかったためである。きくと打ったのは最近雄勝町から東成瀬村に移住した栗田さんという40歳前後の方で、元は雄勝町で小さな蕎麦屋さんをやっていたという。「神室」という名前はそのときのものらしい。とにかく、これは一大事と無明舎の仲間内だけで27日と31日(年越用)に注文をまとめ、打ってもらう事にした。その後、うちのHPを観た人や友人たちから問い合わせが相次ぎ、かなりの注文が無明舎に集中する羽目になってしまった。急遽、親しい友人や仲間内のご贈答、年末年始は「神室そば」一本で済ませることにしたわけである。まあ、百万語費やしても食べ物だけは、「食べてみないとわからない」。興味のある方は下記へどうぞ。注文は5人前(つゆ付)から受け付けている。
(あ)
「神室そば」栗田健一 電話(FAX兼用)0182−47−2881
イラスト:柴田

勅使河原三郎と田中泯

 12月15日、新国立劇場で「勅使河原三郎ラジパケU」を観てきた。前から観たかったのだがようやく実現したもので劇場に行くのがこれほど楽しみだったのも久しぶり。中劇場は満杯。2回公演だから当然だろう。私もチケットが買えず最悪の2階最後列だった。舞台は生きたウサギや山羊、牛、アヒルを使うもので、その昔、土方門下生のビショップ山田が秋田初公演で生きたヒヨコを舞台中にばら撒いて踏み殺していく阿鼻叫喚の舞台が一瞬脳裏をよぎった。でもこの舞台ではなぜ動物が必要だったのか最後までよくわからなかった。結果から先に言うといろんなものを詰め込みすぎ、あまり面白くなかった、というのが正直な印象である。期待していた分、かなり落ち込んでしまった。

ラジパケのチラシ

田中泯
 その数日後、秋田でこれは何気なしに見た山田洋次監督の『たそがれ清兵衛』で、その清兵衛の敵役になった舞踏家・田中泯の演技や立ち振る舞い(殺され方)、存在感に予想もしていなかったので心底驚いてしまった。映画のことは詳しくないが日本映画のナントカ助演賞に値する収穫ではないのだろうか。山崎勉とキャラクターが重なるのだが山崎だとこんな身体の動きはできないし、芝居も臭くなってしまう。なんとも新鮮な舞踏家俳優の誕生である。
(あ)

取材は太る

 朝早くから重い撮影機材を担ぎ、休む暇もなく一日中走り回る取材仕事は楽ではありません。そのため取材が集中したときは、太る暇もないだろうと皆さん思うでしょう。ところが反対に太る取材もあります。それは食べ物の取材です。幸い無明舎は食べ物やガイドブック中心の出版社ではありませんが、場合によっては太る取材もあります。ここしばらく『とうほく道の駅ガイドブック』改定版の取材が続きました。なかに「道の駅・丼くらべ」のぺージがあり、各地の丼を撮影し味見をしなければなりません。そんなときは1日に3杯くらい丼を食べます。また道の駅めぐりは東北の隠れた旨いものめぐりにも通じ、それは買い食い、お土産などにつながります。この時期、県内の市町村を回って面白いものを紹介する、スポンサー付きの仕事も何回か重なりました。そんなこんなで忙しいときは太ることも多いのです。でももっとひどい目にあう人もいます。無明舎で仕事をしている佐藤カメラマンはタウン誌の仕事で一日にラーメンや丼、ランチを八杯くらい食べる日が何日も続くそうです。全部食べなければ良いのに、店に悪いとほとんど食べるようです。もうここまでくれば身体もがたがたになり、命がけです。
 普段、昼食は弁当を持ってきてカロリーの高いものや変なものを食べないように、結構気をつかっているのですが、取材が続くと日常の努力は消し飛んでしまいます。私も来年は50歳。じわじわと体が老化と不調を感じるようになってきました。本腰を入れて体の 自己管理をしなければならないようです。
(鐙)

「道の駅・とざわ」のカルビ牛丼

秋田でマッコリを飲む

 この前行ったソウルで韓国のドブロク「マッコリ」を堪能してきましたが、このマッコリを秋田で作ろうとしている酒蔵があります。その酒蔵から神宮寺の酒店の秋元さんが頼まれ、私たちがソウルで飲んだ残りや、市販のマッコリをペットボトルで持ち帰り届けました。さらに山形県戸沢村にある「道の駅・とざわ」で売っているマッコリ2種類も、取材のついでに買ってきて秋元さんに渡しました。私は立ち会っていませんが、成分分析して精米率や糖度、アルコール度数などを調べたが、熟練の杜氏たちにもマッコリの製造行程には分からない点が多かったようです。そのため、春にでも韓国にマッコリ工場の見学に行く計画を立てているそうで、一緒に行かないかと誘われました。

ソウルでひたすら飲んだ
「マッコリ」
 マッコリは日本酒や濁り酒のように3段仕込みをしない一発仕込みのため、アルコール度数が5~9度と低く、長時間飲み続けることができます。少し甘めですが、日本人の好みに合わせ上手に作るとかなりの人気になりそうです。秋田県仙北町の秋田清酒でも一発仕込みの「FkuroX(フクロックス)」という濁り酒を最近造っています。これはアルコール度数10度とマッコリより少し高く、酒も若いため少しぴりぴりしますがおいしい酒です。日本酒が袋小路に入って人気低迷している現在、手探りしながら酒蔵が打開策を求めているようですが、消費者にとっては新しい酒に出会う機会が増え歓迎です。
 ソウルでのマッコリ事情はを詳しく読みたい方は、このホームペイジのトップにあるトピックス「地産地消コリアンレポート」を読んでください。
(鐙)

No.118

大野一雄 石狩の鼻曲り(かりん舎)
石狩川河口公演記録集

 写真と文で構成された公演記録集である。1991年9月、北海道は石狩川河口の来札の岸辺で踊られた大野一雄と息子の慶人の野外公演が迫力ある複数のカメラマンの写真と詩情豊かな文章で綴られている。特に写真がいい。作品集ではなく公演記録集というコンセプトも違和感がないほど本としてよくまとまっている。写真家の中にはギリヤーク尼崎を撮り続けている横井晶氏の作品もあり、大野一雄が尊敬する師の石井漠といい、同時代を生きた盟友土方巽といい、この本には触れられていないが、これら登場する舞踏家のすべてが「秋田がらみ」であることに気づかれた人はいるだろうか。石井も土方も秋田出身で、これは有名だが、ギリヤークも大館と浅からぬ縁があるし、実は大野も中学1年のとき函館から大館に転校しているのだ。母親が秋田出身でその祖父は秋田の鉱山開発を手がけた名士だったという。だからどうした、といわれると二の句も告げないが、彼らの踊りの中には確実に秋田の風土や生活がどこかで息をしているような感じがする。見ごたえ、読み応えのある一冊である。

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