Vol.1214 2024年4月6日 週刊あんばい一本勝負 No.1206

1週間に山行3回はやりすぎだ

3月30日 泥湯温泉から山伏岳の予定だったが、「天気はいいが山頂付近の風がすごい」というリーダーの判断で中止。ひょいとはしごを外された気分。そこで、ひとり男鹿真山へ。真山山頂の小屋で秋田南高校の山岳部の若者たちに出会った。雪は堅雪で今回はちゃんとスパッツと軽アイゼンを持って行ったのが大正解。それに冬ストックも5月までは必携である。下山後、脇本城址に寄り道して、海の見えるベンチでランチ。

3月31日 今日も天気がいいので(黄砂は心配だが)、湯沢市須川にある東鳥海山へ。2日連続の山行だ。登山口で若い夫婦と会っただけで登山者はいない。登り始めて3分の一を通過したあたりで雪が深くなり、ツボ足ではとても無理とわかって引き返してきた。温泉は小安温泉郷まで足を延ばすことにした。これがひとり行動のいところ。小安温泉郷の「多郎兵衛旅館」は前から一度入りたかったところ。日帰り入湯料500円で、もうこれ以上はないほど完璧で満足のいく温泉だった。

4月1日 4月1日。1年の節目の日だ。3月末の連日山行で外の空気を存分に浴びてきた。心身とも快調だ。山も温泉もカ―ステレオの音楽も、欠かせない人生の友人だ。事務所に帰ると新しいオーブンレンジが届いていた。事務所で毎日のように料理をする。これまで別々だったレンジとオーブントースターがボロボロなので、アイリスオーヤマ製の新しいものに買い替えたのだ。心身ともリフレッシュして、さあ新年度、なにをやろうか。

4月2日 4月上旬はいろんな予定で埋まりつつある。予定のほとんどが仕事以外なのがちょっと気になるが、体調はすこぶるいい。散歩でのストレッチと筋トレが効いている。春の陽気も気持ちがいい。健康自慢は鼻白むが病気自慢よりはいいだろう。ちなみにガンから生還した人は必ずといっていいほど「治ったのは奇跡と医師に言われた」と言う。これは医師の社交辞令か腕自慢の類だ。奇跡はそんなに簡単には起きない。

4月3日 宇宙飛行士の野口聡一さんがJAXAを定年退職したという。立花隆の『宇宙からの帰還』(中公文庫)を読んだばかりだったので、宇宙飛行士の定年退職というニュースに、少し驚いた。立花の本は、アメリカの初期の宇宙飛行士たちの多くが、宇宙で一種の意識の変容体験をしたことを描いたノンフィクションだ。日本からも多くの宇宙飛行士が生まれているわけだが、その代表格といっていいのが野口さんだが、明るく健康的な野口さんを見ていると、立花の本とは無縁のようだ。「宇宙から帰って宗教家になった日本人飛行士」というのは聞いたことがない。立花の本には「神を見た」宇宙飛行士の姿が多く描かれているが、アメリカと日本では宗教的風土、一神教と多神教、メンタリティと自然の違いなど、いろんなことが考えられるが、一番はやはり「時間」だ。時間が経てば宇宙も地球から手の届く「お隣さん」になり神秘性や特異性が消えてしまう。

4月4日 山形県鶴岡市にある「熊野長峰」という400mほどの山に行くことにした。朝5時起き、友人と酒田で待ち合わせ、午前中に登ってきた。さらにそこから20分ほどのところにある大山公園内の高館山に車で移動、ここで春の花をたっぷり堪能してきた。登り始めると、いきなりミスミソウ(雪割草)の群落があり、マキノスミレやイチリンソウが咲き乱れていた。夜は友人夫婦といつもの町中華「香雅」で小宴会。宿は定番のリッチ&ガーデンで、朝ごはんが楽しみだ。

4月5日 庄内の山に登ってこよう、と思いついたのはいいのだが、急に仕事関連の連絡が入り出した。準備をして返事をしなければならないのだが、もう「旅」の準備は終わっていて変更は無理だ。外に出るとパソコンはないし、ケータイも持っていない。もう気持ちは遊びに切り替わっている。山を登り終え、宿に一泊し、朝6時に起床。仕事のことが気になって、一直線で事務所に帰ってきてしまった。いまは朝の9時半、いつも通り仕事場でメールを打ち、電話をかけ、打ち合わせをしている。 
(あ)

No.1206

死刑囚になったヒットマン
(文藝春秋)
小日向将人
 2003年、暴力団の抗争により一般人3人の尊い命が奪われた「前橋スナック銃乱射事件」。その実行犯が、死刑囚になり獄中で綴った手記が本書だ。手記として、そのまま活字化するには不備が多く、「解説」という形で長年取材を続け親交のある記者が補筆をしている。少し変則的な編集された手記である。そのため内容的に重複が多く、ダイナミックな物語が薄められ、構成が平板になった嫌いは免れない。どうにか読めるものにはなっているのだが、手記そのものはあくまで「素材」にしか過ぎない。そんな中、面白かったのが、主人公であるヒットマンより、その彼に殺人を指示した「親分」という人物だ。これがもうメチャクチャなキャラクターで、映画でもこうも極端な人物設定は「ウソ臭い」と思われてしまうほど、人物像が際立って異彩を放っている。いまはやり風に言えば「キャラがたって」いる人物だが、本書はほとんどこの親分への恨みつらみから書かれた私怨の本と言ってもいいほどだ。この親分も逮捕され死刑囚になる。その死刑判決が出てから、親分は何と新しい殺人2件を自供する。しかし、これは明らかに死刑執行を延ばすための延命策とみられ、意に反して無罪になってしまう。結局71歳で獄中自殺するのだが、極悪非道を絵にかいたようなこの「ワルな親分」に圧倒されてしまった。

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