Vol.123 03年仕事始め号 週刊あんばい一本勝負 No.120


荒れ模様のなかをスタートしました

 連日の雪で、お正月情緒よりも除雪の心配をしながら新年を迎えました。皆様はいかがお過ごしでしょうか。昨年は創立三十年という事もあり、大型本や舎史の制作など日常業務とは一味違う仕事をいろいろと体験しました。本年はふだんどおりにもどって地味にコツコツと、しかし猛スピードで仕事をこなしていくつもりです。確実なものは何一つありませんが、今年も忙しくなる、という事実だけは確実なようです。出版の大きな柱としては「東北の自然と食」をテーマにした本が多く刊行される予定です。またホームページの読み物にも新人を登場させ活性化をもくろんでいます。春から東京の小さな事務所を稼動させることもあり、東京の著者が多くなる傾向になっていくと思いますが、テーマは無明舎しか出せない北の大地に根ざしたものであることに変わりはありません。
 新年早々、鐙編集長は新企画のために北海道に資料収集の旅に出ます。舎主の安倍は遅い正月休を取ってタイに旅行します。タイでは国をあげて取り組んでいるという日本向けロングスティ観光運動(高齢者の旅の新しい形)の取材もしてくるつもりです。冨山希美は去年から『秋田のことばCDRM』の詰めの作業にかかりっきりですが、これも4月には刊行になる予定です。3年がかりの労作ですのでご期待ください。柴田真紀子は今年7月取得予定の環境マネジメントシステム「ISO14001」のため連日参考書と首っ引きの毎日です。 向寒のみぎり、ご自愛ください。本年もよろしくお願いします。
(あ)

正月の無明舎

「神室そば」の続報です

 去年の10大ニュースの中に入れたかったぐらい衝撃的だった東成瀬の栗田健一さんの「神室そば」ですが、年末の大掃除のあとは「神室そば」で打ち上げをしました。毎年、打上げは「多つ福」のお寿司が定番だったのですが、それほど私たちにはショッキングな出来事だったのです。もともと羽後町に住む小舎の読者であるJさんから「おいしい蕎麦なので食べてください」と送られてきたのがきっかけでした。店舗をもたないまだ若い人の蕎麦なので、たいして期待もせずに食べたのですが、その洗練された味に全員打ちのめされました。急いでまた注文、その味がフロックでないことを確かめ、秋田県内の影響力のある有識者(無明舎基準ですが)に「年越し蕎麦」として半ば強制的にお送りしました。年が明けて、その方々から、「これまでの人生で食べた蕎麦で一番美味しかった」「今度の酒の会で出張蕎麦打ちをしてもらえない」「個人で少ないけど直接注文は可能ですか」といった問い合わせをたくさんいただきました。
 羽後町の主婦の蒔いた種が一挙に全県に広がったというわけです。実は栗田さん、奥さんの出産予定が1月1日で、年越し蕎麦を打つのは無理かもしれない、という事前情報にこちらも半ば諦めていたのですが、かなり無理をして間に合わせてくれたものです。このHPをみて注文してくれた見知らぬ方もいたようで感謝しています。さて、今年は何度「神室そば」を食べることになるでしょうか。
(あ)

打上げ蕎麦食い風景

年末にみたコンサート

 年の瀬が近づいた12月24日、仙台で「大貫妙子クリスマスイブ・ピュア・コンサート」を見てきました。神岡町の酒屋・秋元さんから「チケットが一枚あるよ」と誘われ、仙台出張と絡めて会場に足を運んでみたものです。私は特に大貫妙子のファンという訳ではありませんので、彼女のコンサートを見るのはもちろん初めてです。会場には娘さんを連れた秋元さんのほか、横手市でお寺の住職をしている猿橋正克さんの姿もありました。猿橋さんとは10年ぶりの再会です。
 コンサートは真っ白いドレスを着た大貫をチェロ、ヴィオラ、2台のバイオリン、コントラバス、ピアノがバックアップするという構成で2時間行われ、シルクのような上質で透明感のある舞台を見せてくれました。彼女が歌った曲は私でも知っている80年代のものが多かったため、案外楽しめました。クリアーな声でたんたんと歌う大貫もバックのクインテットとピアノも、さらには舞台衣装や美術まで全てモノトーンの世界。観客席も大人だけなので変な騒ぎもなく、いたって静か。おかげで私もクールな気持ちでコンサートに没頭できました。

会場で買ってきた大貫妙
子の最新アルバム「note」
 今年は仙台で8月にアイルランドのバンド「アルタン」のスリリングなコンサートを聞くことができ、今回のコンサートとあわせ「静と動」の演奏を楽しむことができました。1月末には沖縄のネーネーズのオリジナルメンバーだった古謝美佐子のコンサートが仙台であると聞き、楽しみにしています。今年は昨年以上にコンサートに足を運ぶ年になりそうです。
(鐙)

追突されてしまいました

 年末に秋田市内を走っていて、アイスバーンでスリップした車に追突されてしまいました。追突してきた相手は軽自動車で、前面部がかなり壊れ自走できなくなりましたが、私の車は背後のドアが少しへこんだのとバンパーの塗装が割れたぐらいでした。やはり軽自動車はボディーが弱いな、というのが実感です。相手が100%悪いので私の金銭的な負担はないのですが、警察や保険会社との対応、修理の手間、その間の代車利用などわずらわしいことが山のようにあります。ぶつかってきた相手や保険会社には、このわずらわしさの代償も払ってもらいたいものです。
 思えば去年はずいぶん交通事故を目撃しました。7月には角館町ですぐ前を走っていた車が居眠り運転をして対向車線に飛び出し正面衝突、相手の軽自動車が大破し、3人が大怪我をする事故に遭遇しました。10月には森吉町で自転車に乗っていた老人が車にはねられ脳挫傷で亡くなった事故現場を目撃しました。そのほかにも交通事故は思い出せないほど多く目にし、今年はなんて交通事故とかかわりが多い年なんだろう、と1人思っていました。私は今の車に五年近く乗っていて、走行距離は22万キロを越えています。3月が車検なのでこれを機会に車を買い替えようかと思っています。
(鐙)

初詣

  初詣は無明舎の近くにある、梵天奉納で有名な三吉神社に行きました。いつも、年が明ける深夜12時を待って、どこから来るかというほどの参拝客でごったがえす境内。夜の7時ぐらいなら誰もいないだろうと行ったら、同じ考えの人が100人ほども拝殿前に列をつくっていたのにはビックリでしたが、順番を待ってあれやこれやとお願いごと。
 このごろは「年末年始も休まず営業」の店が多くなり、季節感が希薄になっていますが、元朝参りだけは別です。私自身も、初詣に行かなかった期間が長かったのに、この数年は「見違えるほど」参拝しています。今年も三吉神社のあと、秋田市内の神社をいくつかまわり、はては、何をお願いしたか忘れてしまうほどです。年相応の心境に至ったということでしょうか。
 あらためまして、今年もよろしくお願いします。
(七)

三吉神社で1月15日に行われる梵天。

今週の花

 新年最初の花は菜の花、アルストロメリア、千両、チース、スイートピーです。
 正月らしくて縁起の良い花といえば千両、万両。千両はセンリョウ科、万両はヤブコウジ科ですが見た目はとてもよく似ています。ただし、実のつき方が違うことに気づけば見分けるのは簡単です。「どっちがどっちだっけ?」と悩んだ場合、「千両」より「万両」の方が小判の数が多くて重いから万両の実は下を向いている、と覚えておけば区別できます。他にもカラタチバナを百両、ヤブコウジを十両と呼んでいるようです。すべてに共通しているのは葉っぱが濃い緑色で赤くて丸い実がつく点です。
(富)

No.120

KATSUHIKO HIBINO(小学館)
日比野克彦作品集

 東京の目黒区民センター内の美術館で日比野克彦展が開かれているので観てきた。バスキアや黒田征太郎と同じく大好きな絵描きである。ワールドカップのポスターもよかったから、この展覧会ははずせない。予想通り感動的な展覧会だった。昔、札幌の大通り公園の露天(!)で日比野のシルクスクリーンが7万円で売られていた。今考えると買って置けばよかったなあと悔やまれる。でも画集にしても、朝日出版社から同じようなものが出ていて最初に買ったのだが、こちらと比べると印刷も内容も段違いに悪く、詐欺にあったような本だった。同じ人の作品集でも版元でこれだけ違うのだから「もっといいものがあるはず」とついつい思ってしまうのだ。本書のいいところは街の中のネオンや舞台装置、制作の舞台裏から商品や車のペインテングまで、およそ日比野の作品に関する表現の背景まで理解できる写真が多用されていることである。ここが重要だ。なぜなら日比野のダンボールアートは写真だけでは質感がわからない。ゆえに本書のように立体的かつ猥雑な風景も写しこむことで初めて作品の臨場感が出る。

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