Vol.125 03年1月25日 週刊あんばい一本勝負 No.122


秋田の木村伊兵衛たち

 日本がドラスチックな様変わりをする昭和30年代の雪国の姿を活写したアマチュアカメラマンたちの作品群を再編集して何冊かの昭和回顧写真集作りに没頭している。できればA5判130ページぐらいの本をテーマ別に5,6冊作る計画で、編集、キャプション書き、写真接写と編集は急ピッチで進行中である。最近、北朝鮮やアフガンの飢えた子供の映像や貧民街の様子がよく流されるが、わずか40年前の日本の雪国もほぼ彼の国と同じかそれ以下の状況であるのがよくわかる。悪し様に外国のことをあげつらうテレビの評論家などを見ていると、これらの写真を鼻先に突きつけてやりたくなる。貧しいことと人間の品性はほとんど関係がない。こうした「雪国の木村伊兵衛たち」が当時の秋田にはたくさんいた。木村伊兵衛自身が秋田に入れ込んで取材をしている生の姿に触発され、同じような写真を「秋田」をテーマにとり始めた人たちだが、今となってはこれらの作品は「秋田の財産」である。ネガやプリントの損傷も激しく、何よりも撮った人たちが高齢化している。いま、編集して世に出しておかなければ永久に打ち捨てられてしまわれるかもしれない「宝物」なのである。
(あ)
アルバイトも動員して接写作業

おいしさの基準は?

  新しい「んだんだブックス」の企画が何本か動き出しました。そのなかの1冊に『東北そばや紀行』(仮題)がありますが、紹介する東北の蕎麦屋の名店50ヵ所を決めるのに時間がかかっています。というのも食べ物のおいしさは人によってさまざまで、万人が全ておいしいという物は存在しません。昨日も取材先でこのようなことがありました。

これが十文字ラーメン(そば)
おいしいですよ。
 秋田県南部の十文字町にある何軒かの店で食べることができるラーメンは「十文字ラーメン」と呼ばれ、少しは知られた存在のようですが、そこの1軒に取材に行ったときのことです。十文字ラーメンは焼き干しで取った醤油味のスープに縮れた細麺と麩、なると、脂身のないチャーシューにシナチクというシンプルであっさりしたラーメンです。この店ではラーメンとは言わず「そば」と言っていますが、「中華そば」のことのようです。3軒の支店を持つほどファンがいますが、中高年のお客さんが多いようです。というのも最近はやりの具沢山でこってりしたラーメンが好きな若い人には物足りないようで、無明舎の柴田やカメラマンの佐藤さんなどにはうけていません。ここに撮影用のモデルを連れて行ったのですが、あまりのあっさり味に驚いて、どっさりと七味唐辛子とコショウをこっそり入れて食べていました。それで何とか食べることができたというのです。私や岩城はこのラーメンが大好きなので戸惑ってしまいます。
 このように味の好みは千差万別。『東北そばや紀行』ではそんなことを気にしていたらきりがないので、編集者と執筆するライターとで勝手に判断し決めますが、もしこの記事を読んで推薦したい蕎麦屋さんがあればご一報ください。
(鐙)

なんということだ2

 さて、先週の続きです。注文いただいた画集を4日間で入手するにはどうするか。出版社の倉庫以外にあるところといえば、書店か取次(本の卸をするところ)です。何としてもお客さんに応えよう。秋田市内、秋田県内は直接各地のおもだった書店に電話をかける。東北は仙台で書店を開いている友人に、取次ぎや書店を回ってもらう。東京も友人10人ほどで手分けして書店を回ってその画集を捜してもらい、売っていたら買って送ってもらうことにしました。
 当時、電話料金は東京まで1通話560円ほど。2800円の本を売って得られる儲けと同じくらいです。出版社と書店の前近代的な流通体制を呪いつつ、その何十倍にもなる電話料を使っても、何とか画集を入手しようと電話をかけまくることになってしまったのです。
 ところが、めざす本は1冊も見つかりません。発行所は大手出版社、定価2800円、著名な画家の作品集。ごく普通に流通していてもいいはずなのに、どこにもなかったのです。流通しているほとんどの本が揃うといわれた、あの八重洲ブックセンターにすら置いていませんでした。仕方なく、出版社にまた電話をかけて、倉庫から直接送ってもらえないか頼んだが「どんな事情でも、そういうことはしていません」の1点ばりです。結局あきらめるしかなく、お客さんにもこの間の事情を了解してもらったまではよかったのですが、以後そのお客さんからの注文は途絶えてしまいました。

注文はメール、FAXなど
24時間休みなく入る。
 こんな手ひどい経験がいいバネになって、細心の注意を払いながら宅配便で注文本の発送作業をする毎日です。
(七)

今週の観葉植物

 今週は最近届いたばかりの観葉植物を紹介します。一番上がピレア・アディエレイ、真ん中がフィカス・プミラ、一番下がヘデラ・ゴールデンチャイルド。三種類ともセラミスという栽培用の土が使われています。実はヘデラは私の部屋にもあります。近所の庭の塀に張り付いていたツルの部分を10センチ程いただいてきました。ガラスのコップにさしていたらどんどん根がのびてしまい、今ではツルより長くなってしまいました。早く鉢植えにしたいのですが、今の時期、土は雪の下です。かわいそうですが、うちのヘデラには春になるまでもうしばらくコップで我慢してもらうしかないようです。
(富)

No.122

一日一食断食減量道(講談社α新書)
加藤寛一郎

 題名からわかるとおり、かなり過激なダイエット法である。面白いのは医学的見地をほとんど信用しないばかりか「医者はダイエットの経験がないからダメ」と切り捨てている。この本は「食べたい呑みたい」「太りやすい体質」の人たちのために書かれた体験記なのある。夜だけ腹いっぱい食べ朝と昼は抜く。最初は天井がゆがむほど苦痛を伴うが、そこをこえると世の中が光輝いて見え、減量は楽しみに変わる。2,3ヵ月後には10キロでも15キロでも減量が可能である。というこの説を、あなたはどのようにお感じになるだろうか。小生、いまちょうどダイエットの4ヶ月目で、この著者のダイエット法ほど過激ではないものの似たような方法で12キロ体重を落とした。だから、著者の言うことがほとんど間違っていないことを確信できる。が留保は必要。ちゃんとした理性ある大人で馬食鯨飲、いやしんぼにのみ適用できる荒療治、と心得たほうがいい。著者は元東大教授らしいが、文章はしょっちゅう横道にそれ、論理的に意味が通じないところもあり、無駄の多い構成がきになる。これは空腹のためのストレスではないのかしら。

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