Vol.1258 2025年2月8日 週刊あんばい一本勝負 No.1250

超辛口塩シャケは「禁断の味」

2月1日 岩谷山スノーハイキング。友人のFさんがスノーシューを買ったので、そのお披露目を兼ねたもの。ユフォーレの裏側からスタートし一気に頂上まで駆け上る、予定だったが、昨日から降りつついた新雪のため登山道が消えていた。4合目から上のルートが見つからない。ウロウロしているうちに頂上まで予定した1時間を超えてしまい、そこで登頂をあきらめ下山することにした。下山後はユフォーレの温泉で体を温め、食堂でおいしいとんかつ定食を食べて帰ってきた。

2月2日 もう2月。毎年この時期は暇なのだが今年は例外のようだ。来週は遠方からの来客が数組、新刊が2冊できてきた。経理を40年以上みてもらっている税理士事務所に問題が起き廃業か継続かでもめている。個人的にはかかりつけ医が高齢で廃院が決まった。……と、まあ厄介なことが目白押しだ。

2月3日 ちょっぴり緊張の月曜日だ。朝の打ち合わせ、来客用の資料の準備、印刷所に返す最終ゲラのチェック……とやることがいっぱい。その印刷所に返す最終的なチェック・ゲラに校正ミスを発見、大急ぎで製販屋さんと連絡をとり、その部分のやり直しを指示する。この最終段階でミスを見つけると、なぜか心の底では「ホッとする」のも事実。何もないことのほうが、実は不安なのだ。

2月4日 雪国に住む人間にとって「石油」は命綱だ。家と事務所が共用の大きなタンクを使っているのだが、年末、このタンクに不具合が生じた。昨日、「雪が降らないので、今のうち新しいタンクに替えてしまいます」と業者が取り付け工事にきた。タンクが新しくなるのはうれしいのだが、家や事務所の老朽化は激しく、いろいろ手直しをしなければならない箇所は目白押しだ。優先順位をつけて懐具合と相談しなから少しずつ手を入れていくしかない。

2月5日 カミさんからプレゼントをもらった。激辛口の「塩紅鮭切身」である。少年のころ「ボダッコ」といって好んで食べた、あの塩のきついシャケだ。カミさんは甘口で食べないのだが、日ごろから「甘口シャケは嫌い」と言い募るので、「じゃ勝手に食べれば」と、超辛口を買ってきてくれたのだ。焼くと真っ白に塩の吹く「非健康食品」である。さっそく事務所で焼いて食べたのだが、これがうまいのなんの、夕食後だったのに、またご飯を食べてしまった。しかし、てきめんに反作用もあった。夜、胸焼けで寝られなくなった。切身半分にしておくべきだった。塩分が強すぎるので体が驚いたのだ。反省は後の祭。

2月6日 日本海側は今季最強の寒波。その日本海側の地方都市である秋田市は、強風吹き荒れているものの雪の量は少なく、交通トラブルもない。寒いけど穏やか日々だ。この寒波情報に合わせるように、神戸から友人夫妻が来秋中だ。昨日は鶴の湯温泉泊、今日は秋田市で食事を共にする予定だ。あとの問題は帰りの飛行機が伊丹まで無事に飛んでくれることだけだ。

2月8日 寒さには慣れている。でも冬季間の車の運転だけは別。もともと運転は得意ではない。車に愛着もない。車は動けばそれでいい、というタイプだ。だから、アイスバーンの路上の運転はできるだけ避けたいのだが、遠方から来客があるとそうもいかない。ハンドルを握る機会が増えてしまう。さらに問題は、年末、車が新しくなった。SUVとか言う車で車高が高い。駐車場の自動発券の機械にカードを差し入れるのが難しいのだ。結局は車から降りカードを差し込む羽目になるのだが、みっともないことおびただしい。ひたすら安全運転で、ゆっくり、慎重に、オドオドしながら、冬の道を走っている。
(あ)

No.1250

バブル兄弟
(文藝春秋)
西崎伸彦
 サブタイトルが「〈五輪を喰った兄〉高橋治之と〈長銀を潰した弟〉高橋治則」というのだからインパクトがある。いわばバブル時代の「王者」の登場といっていいかもしれない。面白おかしくテレビドラマ風に仕上げられたノンフィクションではない。本格的なNHK風ドキュメンタリーに近い本といってもいいかもしれない。だから読む側にもある程度のリテラシーがなければ、読み進めるのはしんどいかもしれない。この本のすごいのは、弟・治則はもう死んでいるので、彼の晩年をよく知る、若い愛人を取材していること。この愛人が悪びれることなく、著者の知られざる一面を、冷静に感情的になることなく語っている。この愛人の存在がなければ、この本の評価はずいぶん変わっていたはずだ。さらに兄の治之に関しては本人が逃げ回ることなく著者の取材に堂々と応じていることだ。詭弁やエキスキューズを弄することなく、オリンピック汚職の舞台裏を赤裸々に語っている。憶測やドラマチックに脚色されていないぶん、この2人への直接取材が、本の質とリアルさを保証し、説得力のあるものに昇華させている。「昭和が生んだ最後のアンチヒーロー」を批判し、糾弾するのは簡単だが、その背景や舞台裏を探し出すのは、著者の力量だ。あの昭和のバブルを知る上に欠かせない一作となった。

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