Vol.1319 2026年4月11日 週刊あんばい一本勝負 No.1311

うがい薬で口臭がなくなった

4月4日 これからのことを考え続けている。同じことをずっと考え続けていると不思議なことに、いつか答えは「コトリッ」と音を立てて降りてくる。落としどころというか、着地点のようなものが見えてくるのだ。どんな悩みにも「落としどころ」がある。だから考えるのをあきらめてはいけない。漫画みたいに最近、立て続けにこんな経験をした。見つけた解決策は、どうってことのないものだが、なぜこんな単純なことに気づけなかったのか、愕然とした。その判断が正しいかどうかは、やってみるまで誰もわからないのだが。

4月5日 今日も雨だ。仕事場に閉じこもって原稿を書いているので、青空だったら外への未練が生まれるから、これでいいのかも。夜に読む本も「はずれ」が続いている。途中で読むのよやめた本はメリルの『白鯨』だけだったが、最近、あの高村薫『晴子情歌』を上巻だけでリタイアしてしまった。あの暗い情念に、こちらの息が続かなくなった。心境が変われば再チャレンジしてみるつもりだが、そんなこんなで鬱屈の日々だ。

4月6日 ブラジル・アマゾンの紀行文を40年間、まったくまとめられず、書いては放り出し、取材に出かけては挫折してきた。それがここ数日、まとまり出した。大きく3つのテーマがあるのだが、これがうまく1本につながらない。そこで「つながらない3つの話を、T、U、V、と3章だてにして、つながらないまま1本にする」と思いついた。パッチワークのような感覚で、項目ごとに書き散らしていた原稿を「つぎはぎ」しただけだが、これで十分意味は通じる。パッチワークでよかったんだ。

4月7日 太平洋戦争時、米軍によるB29爆撃による空襲はよく話題になる。ある時、知人に「アメリカの飛行機って、どこから飛んできてたの?」と直球で訊かれた。長崎も広島も土崎もB29がアメリカ本土から飛んできて、日本に爆弾を落として、また帰っていく……なんてはずはない。正解は北マリアナ諸島だ。いまはアメリカの自治領になっている太平洋上のサイパンやグアムやテニアンなどの島から飛び立った飛行機だ。なるほど、これなら爆弾を積み込んで、日本で落として、余裕で帰還し、その日のうちに祝勝パーティなどすることも可能だった。

4月8日 学校にあった黒板が好きだ。見かけると何かを書きたくなる。黒板に、とりあえず思いついたことを書く。すると次から次へとアイデアがつながっていき、「あ、そうか自分は今こんなことを考えていたのか」と鮮明になる。考えが煮詰まって、にっちもさっちもいかなくなると、「黒板があればなあ」といつも思っていた。いまは壁に簡単に貼って使えるホワイトボードがある。そこでミーハーは早速ネットで購入。畳一畳弱の大きさだが飽きればはがせばいい。ということで、シャチョー室にはホワイトボードが新登場。まだ何も書いていない。

4月9日 散歩中に財布を落としたりしないように、散歩専用の2千円ぐらい入った小銭入れを持ち歩くようにしている。昨日、久しぶりにお金を振り込む必要があり、近所の銀行へ出かけた。振り込みを済ませ、隣のスーパーに入ったところで、メガネをかけていないことに気が付いた。銀行に置き忘れたのだ。急いで戻ると、記帳デスクにメガネはそのまま置かれていた。冷や汗をかいた。散歩から帰って財布を落としたと気が付いた時、身体から力と熱がさっと引いていく、あの何とも言えぬ絶望感が、少しだけ蘇った。とにかく大事なものは持ち歩かないことが肝心だ。でもメガネはそうはいかないか。

4月10日 年をとってから清潔になった。身だしなみや身体の匂い、ひげそりや歯磨きなど、若いころには考えられないほど、キチンと向き合うようになった。相手に不快な思いをさせたくないからだろう。若いころはそんなことはどうでもよかった。一番気を遣うのは「口臭」だ。二日酔いの翌日などは口臭がひどくて外出も控えたほどだが、今はすっかり縁が切れた。お酒を飲まなくなったこともあるのだろうが、毎朝の口臭ケアのうがい薬が効いている。このうがい薬を常用するようになってから、自分から口臭を意識することはほとんどなくなった。毎日10枚は使う無印良品の100円メモパッドとともに、この口臭ケアうがい薬は、お買い得商品のひとつだ。

(あ)

No.1311

笹まくら
(新潮文庫)
丸谷才一
 丸谷才一の本を読むのは初めてだ。あの独特の旧仮名、旧漢字を使った文章は自分には無理、とあきらめていた。のだが「戦争忌避者の物語」だと知り、読んでみたいと思った。本書ではその心配は杞憂だったが、20年前の話に移るときにも「行アキ」がないのにはまいった。するりと続けて読んでしまうのだ。しばらくしてから、あれっ、これは昔の思い出じゃないか、と気が付く始末。それもすぐに慣れた。内容が面白いからだ。戦争中、徴兵を忌避して、日本各地を逃亡しつづけた男が主人公だ。男は20歳の時(昭和15年)、家族にも友人にも知らせず、徴兵を忌避し逃亡を開始する。そして捕らえられることなく1945年(昭和20)8月15日、終戦を迎える。20歳から25歳まで5年間の逃亡だ。そして終戦から20年後、大学職員となった男の目を通して、過去の戦争と逃亡が交互に語られていく。最初の逃亡先は九州で、そこに1年余いて、「むしょうに雪が見たくなり」秋田県南部の増田に移る。木賃宿に泊まりながら、院内、横堀とラジオ修理しながら逃亡を続ける。ラジオ修理は男にできるただ一つの商売で、横手の町では時計屋の住み込み職人として働いている。徴兵忌避者のスリリングな日常と、その複雑な心の内側を描いた、現代文学でも特異な位置を占める戦争小説である。

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