Vol.142 03年5月24日 週刊あんばい一本勝負 No.139


空飛ぶ神父

 友人であり著者でもある山川三太さん(本名鈴木明)のお父さんが亡くなられ、通夜、葬儀、出棺とほぼ舎員総動員でお手伝い。最近の葬儀はすべて近代的な葬儀屋さんがベルトコンベアーで仕切るようになっているので私どもが口や手を出すところなどないのだが、鈴木家はギリシャ(ロシア)正教。そのため仙台や盛岡、大館からも主教や神父が駆けつけ、普通とはちょっと違う葬儀の段取りがあるため、急遽お手伝いとなった次第である。

壇上左が釜谷幹雄さん
 葬儀を司った一人に大館市の釜谷幹雄さんがいた。この方の「うわさ」は以前から聞いていて一度ぜひお会いしたいと思っていた。多趣味な神父として高名で、あの曲田聖堂の「ぬし」である。葬儀の後、気さくに声をかけていただき、話をさせていただいた。ギリシャ正教の神父などというとそれだけで緊張してしまうが、釜谷さんの本業はなんとカメラマン。それ以外にもビデオ撮影、ステンドグラス製作、ハングライダー、パラグライダーの指導者でもある。飛行機も大好きでセスナから身を乗り出して撮る航空写真も得意分野。話を聞いているだけで、あまりに面白く、威厳ある服装さえなければ、「今日、これからいっぱいやりましょう」と声をかけたくなる盛り上がりでした。世の中にはいろんな人がいますね。
(あ)

山の倉庫で家庭菜園

 今年も、農作業の季節がやってきました。自宅が大曲になってしまったし、家事と仕事の両立でアップアップしている状態なので、今年は畑をやろうかな、どうしようかな、と最近まで悩んでいました。でも、せっかく開墾したんだから続けないともったいないと思い、日曜日に畑を耕しに行きました。舎員の岩城の畑にはもうすでに、ナスやニンニク、ネギ、ゴーヤなどが植えられていて、順調に育っています。

手前の立派な畝は岩城の畑
 私の畑は雑草でぼうぼうになってしまっていたので、まず雑草を抜き、耕し、畝を作りました。あまり手をかけられないことが分かっているので、楽に育ってくれるサツマイモや里芋を植えることにしました。もう少ししたら枝豆も植えようかと考えています。岩城の畑を合わせると、去年の倍以上の面積になったので、たくさんの収穫が楽しみです。
(島)

素朴なアップルパイ

 タウン誌の取材で新緑の十和田湖へ行きました。康楽館や十和田ホテルの撮影を終え、いよいよ一番楽しみにしていたアップルパイのお店へ。ここのアップルパイは絶品という噂を耳にしていたので、「食べなければ後悔する!」と、独断で取材先のリストに加えました。
 そのアップルパイですが、パリパリのパイ生地の中にリンゴがギッシリ詰まっています。アップルパイにつきもののシナモンを使っていないらしく、シナモンが苦手な人も安心です。甘さ控えめなので、一切れが大きめなのにも関わらず食べきってしまいました。
 このお店は本当はアップルパイ屋さんでなく、「十和田湖マリン・ブルー」というボートハウス。近所の「十和田湖レークサイドホテル」の直営で、アップルパイはホテルのシェフの手作り。1切れ500円、持ちかえりは1本2000円。お持ちかえりは予約してください。(電話0176−75−3025)
(富)

写真は撮影のための試食用なので、実際はこの2倍の大きさで1切れになります

No.139

田舎暮らし虎の巻(文化出版局)
佐藤彰吾

 突然「週刊ポスト」の編集部から書評依頼があり、この本が送られてきた。正確に言えば書評依頼があり、それを引き受けてから本が送られてきたので、書名は引き受けた後知ったのである。最近、東成瀬村に都会から移住した若者の本を2冊出したばかりなので、その関係での書評依頼なのか、さもなくば5月の連休進行で著名作家が書けなくなり、小生のような無名文化人にお鉢が回ってきたのだろうと。ともかくも引き受けたからには一生懸命読んでみると、これがなかなか面白い本なのだ。田舎暮らしの本ではなく、田舎暮らしをする人のための土地や法律上の手引書といったほうがいいだろう。かといって専門知識が生のまま使われたりする教科書風ではなく、それぞれ実践的な具体例とともに語られる構成になっているので、すいすいと読めるテキストになっている。田舎暮らしを理想面だけで捉えることを戒め、かといって出征兵士のような悲壮感へもぶれず、「田舎暮らし楽しむ」現実的な処方箋として、これは有益な本であるのは間違いない。

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