Vol.146 03年6月21日 週刊あんばい一本勝負 No.142


新刊ラッシュでヘトヘト

 6月は「3日に1冊」の割で本ができてくる新刊ラッシュ月間。出来てきた本を取次や書店に配本するだけで一日の仕事は終わり。本が出来るとそれに付随してマスコミ用の献本や新聞広告の手配、チラシを作ったり書店との打ち合わせ、DMやマスメディアのパブリシティを考えたりと、やることは山のようにあるのだが、まとまって本が出来てしまうと、すべてをまとめて片づけてしまうという安易なところに着地しがちである。

6月に入ってから出た新刊
 といって1冊1冊をきめ細かく販促する時間的、経済的余裕もないのが現状で、今年になって2回目(1回目は4月)の新刊ラッシュを舎員一同呆然と他人事のように眺めています。全3段の新聞広告も東北6県の地元紙に出したので、その注文発送だけでもアルバイトが必要なのですが、ISO取得業務や他の本の取材編集準備、「CD―RM秋田のことば」の最後の詰め作業などで、主婦のアルバイトもそっちにとられ、注文発送作業は時間のスキマのある人が受け持つような状態で、ラッシュが終わるのを指折り数えている毎日です。
(あ)

東京カメラ散歩

 6月初旬の東京事務所暮らしは体調を崩し、仕事上の問題も山積みで、どちらかといえば暗いニュースが先行した滞在でしたが、ちょっぴりうれしいというか面白い発見もありました。その1番目は奥多摩の山梨県・笠取山(1953m)の登ったこと。それに皇居前の竹橋でババヘラアイスならぬジジヘラ(といっても秋田以外の人はわからないか)を発見しました。まあ、単なるアイスキャンディー屋さんなのですが、ババヘラアイスの本を作っているからなのか妙に親近感があり、買って食べてみました(美味しかった)。3番目は事務所のある飯田橋の九段高校の登り坂はお昼には車が通られない「ランチタイム・プロムナード」になることです。昼に食事のため道路が歩行者専用になるというのは田舎ものには初体験で驚きでした。
 もうひとつは散歩の途中の小さな公園で若者たちがソフトボールをやっていたこと。秋田でソフトボールの同好会を作ろうと思っているので、これはいい刺激になりました。街をフラフラ歩いているだけで新鮮な発見や驚きはいっぱいあります。これからも折に触れてそんな光景を文章やカメラで報告したいと思います。
(あ)

30年ぶりのプロ野球観戦

 6月21日、新しい秋田県立球場(こまちスタジアム)の柿落としとなった、プロ野球セリーグ公式戦(中日ドラゴンズ―広島東洋カープ)を観ました。こまちスタジアムは両翼・100メートル、センター122メートル、広島カープの主催試合なので、我が中日ドラゴンズは三塁側。なんで中日なんだと言われることが多いのですが、物心ついたときからのファンでした。しかし、これまでは、周りで中日ドラゴンズを応援する人を見つけることは全くできません。
 今日は違います。レフト側の外野席(芝生席)に陣取ったら、名古屋、東京、札幌などから駆けつけた「狂」のつくドラゴンズ応援団のまっただ中でした。連中はみんな「トーチュー」(東京中日スポーツ)を手にしています。このスポーツ新聞は、秋田県のどこでも手にすることはできないものです。試合は天才・前田(広島)の一人舞台で、中日は3−6で敗けでした。こんなに多くの中日ファンと一緒に応援できたのは、中日―大洋(川崎球場)の一戦以来ですから30年ぶりのことでした。
(七)

がんばれドラゴンズ

名古屋コーチンの親子丼

 先週末、名古屋でISOの研修会があったので、参加してきました。名古屋といえば、おみやげは名古屋コーチン。本当は町の肉屋さんで買うといいのでしょうが、時間がなかったので駅のデパ地下で買いました。
 料理の得意な鍋プロ・岩城が、一晩じっくりと煮込んで持ってきてくれたので、卵とネギをのせて軽く火にかけると、あっという間に「名古屋コーチン親子丼」の出来上がり。一口食べただけで、「あっ、比内地鶏負けたかも……」と思いました。プリプリとした弾力のある食感と、旨みのあるだしが想像以上においしくて、ついついたくさん食べてしまいました。
 こんなにおいしい鶏肉だと知っていたら、家で食べる分も買ってきたのに……と思いましたが、あとのまつりです。100グラム480円も納得の味でした。最初は、卵も名古屋コーチンの卵を買っていこうと思ったのですが、地元の知り合いに「名古屋コーチンの卵なんて見たことないよ」と言われ、あきらめました。今回使った卵は秋田産のものなので、正確には「親戚丼」になるのかもしれません。また名古屋コーチンを買う機会があったら、今度は鍋を作ってみたいです。
(島)

コーチン親戚丼

今週の花

 今週の花はスカシユリ、ショウブ、ソリダゴ、ヘリコニア。オレンジ色の花がヘリコニアです。熱帯アメリカなどで見られるバショウ科の植物。バナナの仲間と表現したほうが分かりやすいかも。下から真っ直ぐ伸びる種類とぶら下がる種類があり、大きさも5〜6メートルになるものまであるそうです。カニの爪のように見えますが、花びらのように見える外側は苞(ほう)で、本当の花はこの中に隠れるように咲いています。ヘリコニアという名前はギリシア神話で芸術をつかさどる女神の住むヘリコン山に由来しているそうです。
(富)

No.142

キャッチャー・イン・ザ・ライ(白水社)
サリンジャー・村上春樹訳

 野崎孝訳の『ライ麦畑でつかまえて』を読んだのはいつごろだったろうか。20代に一度読んで、40代に新書版になったのをきっかけに読み直した記憶がある。が、どちらもなぜこの作品が名作なのかよくわからなかった。おもしろくなかったのである。ニューヨーカーのホールデンという「こじゃれた生意気な若者」に感情移入ができなかったといったほうがいいかもしれない。それが今回の村上春樹訳では「ウヒャッ」と自分でも驚くほどホールデンに感情移入でき、あっという間に読了。村上訳は実にあっさりとしていて、ホールデンは特別な存在などではなく、若者なら誰でもが思い当たる、しかし実にシニカルに世の中と距離をとろうとしている感性を持った知的な若者に描かれている。野崎訳ではかなり蓮っ葉でチンピラ風のせりふが飛び交い、日常との距離を作りすぎたのかもしれない。お勧めの本だが、なぜ本のタイトルが馴染みのある『ライ麦畑』でないのか、村上の後書きや訳者としての解説がないのか、については要するにサリンジャー側の了解が取れなかったということのようだ。村上の解説は読みたかったなあ。

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