Vol.154 03年8月16日 週刊あんばい一本勝負 No.150


雨に煙るお盆の田んぼ

 お盆期間中はずっと仕事をしていました。暑くもなく過ごしやすい日々で、仕事もはかどりました。石井さんの田んぼの稲も順調に成育を続けていますが、やはり「冷夏」の影響は避けられないようです。雨に煙る田んぼはなかなか風情があり、ずっと見続けていたい誘惑に駆られます。それにつけても作況指数がかなり悪くなりそうな予想が出ているこの時期、新聞に相次いで「米」にかんするニュースが出ていました。

心和む雨の田んぼ
 朝日社会面で「古米でプラスチック生産」、河北は「米粉パン全国で人気」、どちらもかなり大きな扱いです。特に廃棄しても土中で分解される「生分解性プラスチック」に政府が処分に困っている古米を使うというのは、なかなかのアイデアだと思います。パンのほうはファミリーマートで調理パンとして全国販売を始めているそうなので、近いうちに試食報告をするつもりです。こうご期待(あれ、ファミリーマートは秋田にないんだっけ)。
(あ)

北海道1ヶ月間取材旅行スタート!

 昨年の「北前船」や「奥州街道」の全国取材旅行に続いての第3弾企画である北海道長期取材(2回目)がスタートしました。ナビゲータ兼カメラマンの鐙編集長とフリーランスのライター伊藤孝博さんのコンビで、来月上旬まで約1ヶ月間かけて北海道をほぼくまなく回ります。都合3回の取材行になりますが、本は今年末から来春にかけて3冊ほど刊行される予定です。
 こうした長期の取材旅行は行くほうも大変ですが、実は留守部隊もかなり体力や気を使います。経営者にとっても、費用的な面だけでなく事故の心配や健康管理などで心配のタネはつきません。ですから本当はあまり行かせたくないのですが、体力のあるうちにしか出来ない仕事であるのも確かです。いい本を作るつもりですが、まずは無事に二人が帰ってきてくれることを願っています。
(あ)

事務所前を出発する二人

ご近所デジカメ・スケッチ東京篇4

 秋田から東京駅に着いたら、時間の余裕があるときは飯田橋まで歩くことがあります。みんなびっくりしますが、歩数にすれば7千歩ぐらい、距離では4キロぐらいのものじゃないでしょうか。途中に皇居がありお堀をみなからゆっくり歩きます。ジョギングする人で賑わっていますが、よくよく歩道を見るとマンホールが数十メートルおきにあり、それぞれ都道府県の広告(?)入りです。これは秋田県のもの。2枚目は飯田橋JR駅西口通路の張られているマタギの観光ポスターです。これはそのセンスのなさとあいまってかなり人目をひきます。というか違和感があって広告としては逆に成功しているのかもしれませんが。「阿仁とマタギ」ならまだしも「森吉町とマタギ」という組み合わせは秋田ではあまりない組み合わせなので、少し驚いて(とまどって)しまいました。3枚目は事務所の裏にある神楽坂の路地ですが、こういった路地に小料理屋やヨーロッパ風のシャレた喫茶店があります。まだ一度も入ったことはないのですが(興味ないので)、これからは仕事で使う必要が出てくるかもしれませんね。
(あ)
秋田のマンホール・飯田橋駅のポスター・路地

No.150

欲望の迷路(宝島社)
本橋信宏

 著者は伝説の写真雑誌「スクランブル」編集長で、その時代の顛末を書いた『裏本時代』は実に面白いノンフィクションだった。この人は物書きとしてブレークするかも、と期待して何冊かその後の作品も読んでいるのだが、世の中はそうは甘くはないようだ。彼にとってだけでなく多くの作家にとって処女作を超えるのは至難の業なのだが、本書も裏本に比べるとヴォルテージはかなり低い。写真雑誌の『フォーカススペシャル』に連載された風俗体験取材記だが、肝心かなめの「欲望」に著者がギラギラしているわけではないのが辛い。そのへんが本書のウイークポイントになっているような気がする。『AV女優』の永沢光雄や『熟女の旅』の松沢呉一のように文章に工夫やスタイルがあるわけでもない。この人は編集者タイプの人なのかなあとも思うのだが、やはり書くべきテーマが問題なのだと思う。だからこの人の本はまた新刊が出たら買うだろう。期待にこたえてブレークして欲しい。

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