Vol.158 03年9月13日 週刊あんばい一本勝負 No.154


冷夏に負けない「おコメ」です

 事務所前を走るタクシーが突然止まって、石井さんの田んぼのイネを手にとって首を傾げていく光景を2度ほど見ました。タクシーの運転手には農家との兼業者が多いので、たぶん農家の人なのでしょう。東北では冷夏による深刻な冷害が心配され、山形、青森、宮城では収穫量大幅減が濃厚のようです。秋田は平年作並と入っても山間部や県北部では、例年よりかなり低めになることは間違いなさそうです。
 平成4年のあの「コメ不足」の再現を不安しする人もいますが、石井さんの田んぼは「順調」に実が入っています。これは管理がしっかりしていて、愛情を込めたコメ作りのあらわれだとおもいます。石井さんによれば、「今年はかなり危ない感じだったので、水管理や肥料の撒き方に工夫を凝らした」とのことですが、平成4年にも石井さんの田んぼは他と違って「順調」に生育した実績を持っています。品種改良技術で強くなった稲は「ちゃんと手をかけてやりさえすれば」よほどのことがない限り育つようになっています。その技術に寄りかかって、管理をほっぽらかした田んぼほど危ないのだということでしょう。
(あ)

ちゃんと実が入っているのがわかるかな

スポーツクラブの休館

 歩いて3分ほどのところに在るセントラル・スポーツクラブが改修工事のため、10月いっぱい休館になる。この20年あまり、欠かさず通い続けている施設だが、まあ、こんなこともあるだろう。この20年間で小生が記憶している限り長期の休館は2回あったと思う。1回目は通い始めて夢中になっていた時期で、遠隔地にある別のスポーツクラブのプールまで遠征して泳いだ記憶がある。2回目はクラブ側の事情だったか、個人的理由か、もう定かでないがやはり1ヶ月くらい通えなかったことがあった。自分のケガや個人的事情で1ヶ月以上休んだことも数回あるから、この程度の休館では動じないが(なくなったら困るけど)、エアロビ中毒の人たちはショックを受けているようだ。考え方としては「これを期に自分流のトレーニングをあみだすか、別のスポーツに挑戦してみるのも面白いかも」という前向きな姿勢が、小生としては理想だが、まあ、のんびり、だらだらの散歩だけで1ヶ月過ごすのも悪くはない。こんなことでストレスをためている場合ではないもんね。
(あ)
改修工事中のクラブと駐車場

購読者への請求書が変わります

 総売上に占める「個人注文」の割合が1割を越えた。ホームページ上に限っていえば毎月250冊から300冊ほどの注文がコンスタントにある。その日に来た注文は夕方いったん打ち切り、主に島田の手によって梱包・発送される。伝票から発送までほとんどコンピュータ管理で、添付する郵便振替用紙に数字を書き込むのが唯一の手作業である。それが先日、東京のポット出版を訪ねた際、沢辺社長から「請求書と郵振用紙」が一体となった請求用紙の存在を教えていただいた。これだと手書きの作業は一切なくなる。さっそく下記の書式をモデルに制作中なのだが、島田に言わせると「1日に何十通もの書籍小包を発送するので、郵振用紙に手書きするのが苦痛だった」とのこと、これで発送作業の省力化がはかれるのは間違いなさそうだ。

郵振つき請求書
 少人数で多くの仕事をこなせるようになったのはパソコンの存在が大きい。ウエッブのネットワークシステムを活用して、今年の後半は書店との画期的な(独自の)コミュニケーション・ツールを実は考えている。これがうまくいけば皆さん(主に出版関係者)に公開するつもりなので、こう御期待。
(あ)

No.154

翼はいつまでも(集英社)
川上健一

 2001年に出た本だが、今年読んだ本のなかでベストワンになりそうな気がする青春(少年)小説である。作者は昭和24年、十和田市生まれ、テーマは田舎での中学時代のひと夏の体験である。わたしとほぼ同じ年代と環境のなかで書かれたものなので余計シンパシーがあったのかも知れない。物語の背景にはいつもビートルズの「お願い・お願い・わたし」が流れている。この曲名は主人公の直訳で、章題にもなっているのだが、もちろん「プリーズ・プリーズ・ミー」のことである。本書を読み進めると、この主人公の直訳がぞくぞくするほどカッコいい訳に思えてくるところがミソ。いっそ本のタイトルを『お願い・お願い・わたし』にすべきだったのでは、と思われるほどだ。1章の野球部篇も泣かせるが、2章の十和田湖キャンプ篇は圧巻で涙、涙で、陳腐な言い方だがまさに涙なしには読めない。ビートルズを小道具に使った小説はあまたあるが、これだけ感動的な脇役にしてしまった小説は初めて。最終章の回顧篇は必要だったのか、そこだけは判断を保留するが、とにかく初めて自分が生きてきた同じ場所と時代のポジションから書かれた、「自分のもののような物語」を読ませてもらい、著者に感謝したい気分である。

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