Vol.159 03年9月20日 週刊あんばい一本勝負 No.155


ISO審査が終了しました

 1日半かけて行われたISOのステージ2審査が、無事に終了しました。ステージ1審査は文書のチェックが中心でしたが、今回の審査は現場監査なので、各担当者への質問や記録類のチェックなどがメインとなりました。審査員の来舎が2回目ということもあり、皆もステージ1の時よりは緊張していなかったようです。
 最終会議が終了した時には、この8ヶ月間、肩にずっしりと乗っかっていたプレッシャーから一気に開放され、とてもすがすがしい気持ちになりました。「やれるだけのことをやった」という充実感と、「新たな取り組みが始まる」という今までとはまた違う緊張感が、心地よく感じれられます。

審査終了後、小西さんから届いた花束を囲んで記念撮影
 「認証はゴールではなくスタートだ」というのはよく聞かれる言葉ですが、無明舎のシステム作りはまだまだこれからです。環境に与える負荷は小さいけれど、情報を発信する企業として環境に与える影響は大きなものだと思います。発信する情報の中身まで視野に入れた環境マネジメントシステムを作っていけるよう、これからも頑張ります。
(島)

「北前船」の唄

 先週、北海道取材から帰ってきたら、会社の机の上に秋田県由利郡の方から送られてきた厚めの封筒が上がっていました。開けてみると中には一本のカセットテープと手紙が入っていて、カセットテープのタイトルは「北前船」。手紙には私の書いた『北前船追っかけ旅日記』を読んでこの歌を作ってみました、とあります。
 「船を繋ぐに 錨はいらぬ 浪速女郎衆の 黒髪を・・・」で始まる3番までの歌詞は、北前船の寄港地や船の操作用語などを入れ込んだもので、かなり凝った内容です。少しばかりの北前船知識では、こうはいかないと思います。少々驚きました。歌のほうも録音の質は良いとは言えませんが、途中で曲調が替わるなど一工夫されていて、楽しませてくれました。

これが「北前船」のカセットテープです
 『北前船追っかけ・・・』を読んだ読者の方から今までいろいろ手紙をもらいましたが、歌を作って送ってくださった方はもちろん始めてです。無明舎出版で出した「北前船」3部作を読んで、北前船のファンになったという方が少なくないのが、一番うれしいことです。
(鐙)

ガラスの展覧会

 カミさんに「面白そうなガラスの展覧会があるから行こう」と運転手をさせられ日曜日の昼下がり、「野崎由美 ガラスの展覧会」に出かけた。ある程度はパンフで期待はあったのだが予想以上にすばらしい個展だった。秋田市内の路地裏にガラス工芸専門のギャラリーがあることもはじめて知ったし(「カナルグランデ」という)、野崎由美さんというまだ若い(30歳前か)作家もたまたま会場にいて話すことができた。
 若さの持つ華やかさと、渋くて深い味わいのある色や造形がなかなかで、それほど高くもないので小品を自分と友人のお祝い用にもとめた。野崎さんは鷹巣町の出身で自由学園を卒業の後、英国に渡り、ガラスの勉強をしているとのこと。ヨーロッパ各地で個展を開きながら、今年の12月には東京・恵比寿でも2人点のようなものを準備しているそうだ。秋田にも優秀な人がいる。
(あ)

案内のハガキから

今週の花

 今週の花は赤い鶏頭、紫のリンドウ、黄色のスプレーマム(小菊)、サンデリー、パニカムの5種類。パニカムはススキのような植物です。リンドウや小菊は説明するまでもなく秋の花ですが、実は鶏頭の季節も秋なんです。燃えるような赤は夏向きだと思っていたので意外ですが、ビロードのような手触りはやはり秋にピッタリでした。秋の季語なので、正岡子規の俳句にも出てきます。病気と闘う子規は、庭に咲く鶏頭に元気付けられたのでしょうか。
(富)

No.155

国籍不明 上下(講談社)
麻野涼

 著者は、ノンフィクションの世界でブラジル移民など多くの著作を持つ高橋幸春氏である。数年前、はじめて書いた小説『天皇の船』を読んだ。さすが専門分野(ブラジル移民)に題材をとったフィクションとなると、そのへんの小説家の書いたものとは一味違う重厚でリアルな構成、説得力あるフィクションに舌を巻いた覚えがある。2作目もやはりブラジルが舞台だが、テーマの主役は在日朝鮮人といったほうがいいだろう。偽ドル紙幣、北朝鮮工作員、帰順捕虜(この言葉を初めて知った)のブラジル移民が、キーワードとして国際的な謀略ドラマが雄大なスケールで描かれている。いたるところに北朝鮮による日本人拉致の問題が顔をのぞかせ、その手口や背景が「今起きている現実」よりもずっとリアルで現実的に書き込まれているのに読者は驚いてしまうだろう。そういった意味では実にタイムリーな本だが、私自身は前作のほうが面白かった。スケールの大きさが逆に収斂より拡散を呼び込んでしまった恐れ無きにしも非ず、なのである。それにしても一気に読ませてしまう構想力と構成は見事というしかない。今後注目の「小説家」である。

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