Vol.165 03年11月1日 週刊あんばい一本勝負 No.161


ご町内、タバコ騒動始末

 わが舎のある広面は秋田大学医学部と大学病院が設置されたことにより発展してきた街です。その大学病院を巡ってマスコミも巻き込んだひと騒動が持ち上がっています。以前もこのニュースで報じたことがあるのですが、医学部の敷地内は「全面禁煙」になりました。大学敷地内が全面禁煙というのは全国でも珍しいケースらしいのですが、喫煙が出来なくなったため敷地を出たすぐの出入口やバス停での喫煙者が増え、吸い殻のポイ捨てなどで住民が大迷惑、という問題が持ち上がったのです。私どもも病院前を通るたびにパジャマ姿の患者や点滴をつけた病人が入口付近で必死の形相でタバコをふかしている姿を目撃し、その異様な「景観破壊」に驚いたものですが、病院関係者の喫煙者のなかには「こんなひどい仕打ちは人権侵害」と怒っている人もいるそうです。
 その一方、病院側の見解は「喫煙はニコチン依存症というれっきとした病気。病院は率先して禁煙を進める立場にあるから当然の措置」として「歩行喫煙規制」や「ポイ捨て禁止条例」を整備するべき、と強気のようです。わが舎はもう10年以上前から舎内禁煙ですが、はてさて、この問題、どうなりますことやら、これからもレポートを続けていくつもりです。
(あ)

病院入口でパジャマ姿の喫煙者

ISO認証取得お祝い会

 先週もレポートがあったように、ついにISO14001を認証取得しました。20代の島田真紀子一人の手によって取得したといっても過言ではなく、若い女性がこれだけ短期間に複雑怪奇(?)、難問山積みの取得作業をこなしたのは、かなり珍しいことのようです(その証拠に彼女にはISO業界の機関紙などから複数の執筆依頼が入っています)。この認証取得を決断させたのは、島田が小舎で唯一の理系で圧倒的に数字やデータ処理に強く、目の前に難しい課題を投げられると夢中でその課題と格闘する彼女の性格に望みをかけたからです。その目論見は見事にあたりました。その島田を慰労するためのお祝いの会を30日(木)、秋田市大町の「GAIO」という地中海料理のお店で開きました。「GAIO」はオープンしたての知り合いのシャレたレストランです。舎員全員のほかコンサルタントをしていただいた小西さん、たまたま秋田に来ていたフリーライターの加藤さんも加わり、楽しい一夜を過ごしました。宴席の途中、審査会社から記念にもらったフラッグ(アメリカの会社なので)も披露され、一部は2次会に流れるほど盛り上がりました。
(あ)

店内で。

フラッグ披露

横手の新名物だんご

 横手市では今、「菊まつり」が開催されている最中です。その横手市で菊にちなんだお菓子が誕生しました。「菊見だんご」がそれです。横手市内の16店の菓子屋で買えるそうです。甘いものに目がない私は新聞記事でこのことを知り、横手に用事があるという人に頼んで買ってきてもらいました。私がいただいたのは「かぶき屋」さんのものです。しょうゆと黄身あんの2種類で、よく見ると菊の花か葉のようなものが練りこまれています。見た目も楽しませてくれて、甘すぎず、柔らかく、ほんのり菊の香りがしてくるこの団子を、すっかり気に入ってしまいました。横手の名物和菓子といえば、桜の季節の「花見だんご」や「あんころ柿」などいろいろ思い浮かびますが、この菊見だんごもその一つに是非加えるべきです。
(富)

No.161

無名(幻冬舎)
沢木耕太郎

 久しぶりに沢木耕太郎を読んだ、という満足感を得られる本である。この人の抑制のきいた文章、慎重なテーマの選び方、他の作家にはない志の高さ、孤高と潔癖さは、大げさかもしれないが同世代の人間として誇りである。団塊の世代であるというだけで「バカにされる」ことの多くなった昨今、「こんなすごい作家をわれわれの世代は生み出したんだぞ」と自慢したくなる存在といっていいかもしれない。しかし、その好きな作家がまさか自分の父親をテーマに本を書くとは予想外で意表をつかれた。自分の親族のことをほとんど書かなかった人が、いきなり父親の死をテーマに全編親族オールキャストの本を書いたのである。考えようによっては親族の死というのは素人にとっても「自分も1冊の本が書ける可能性」のあるテーマなのかもしれないが、この本を読むと逆に、すぐれた作家だけしか親族の死は書き得ない、とおもわせる微妙で絶妙な間(読者、父親、筆者の)があるのがわかる。作者は「自分の父親は無頼だったのでは」と書く。その無頼とは、博打もせず、女出入りとも無縁、暴力は一切ふるわず、1合の酒と1冊の本があればよい、という父親だったから、という……。巻末の「なきがらの、ひげそるへやに、ゆきよふれ」という沢木の句がジンとくる。沢木文学の背景がよくわかる良書。

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