Vol.166 03年11月8日 週刊あんばい一本勝負 No.162


余命3ヶ月! ガン闘病記を緊急出版します!

 11月20日に『玉川温泉ガン闘病日記』(46判250ページ・定価1600円)を緊急出版します。著者は「ふじみとむ。」さん。宮城県在住の方でまだ30代の若さですが、この5月に癌性リンパ管症で余命3ヶ月の告知を受けました。現在、その余命宣告から半年経過中です。今年の夏、友人のSさんから「HPで感動的な同時進行ガン闘病記を書いている人がいる。毎日1000件以上アクセスのある、すごい記録ですから、ぜひ読んでみてください」という連絡をもらったのが始まりでした。もともと闘病記は苦手で、特にタレントの書いたその手の本は敬遠していたのですが、ふじみさんのHPはまったく違いました。冷静に自分の病気と置かれた立場を見据えて、そこから「ガンなんかで死んでたまるか!」という壮絶な闘争心と希望の灯を燃え上がらせて、のうのうと生きている私たちを逆に励ましてくれる強さとやさしさを持っていました。揺れ動く心のブレも正直に吐露されていて、おおげさな悲壮感も、押し付けがましさもない、「自分との戦いと家族愛」の記録になっているのです。すぐにメールを出し闘病記の「玉川温泉湯治治療」の部分を中心に1冊にまとめてもらうことになったわけです。本当は12月中旬刊行予定でしたが、本人の「一日でも速く」という希望で、この20日に緊急出版の運びとなりました。
 著者が本名や住所を公表していないこと、不測の事態などを考慮して販促宣伝はこの時期まで控えていましたが、もう本は出ます。人の不幸をメシの種にするのはいやですが、この本はユーモアも前向きな不屈の闘争心もある一種の「格闘技本」です。そのへんのお涙頂戴ものの闘病記でないのが救われます。ぜひご一読を!
(あ)

本のカバー

「神室そば」が再び稼動します

 何人かの方から「神室そば」に連絡しても電話もファックスも不通で、どうなってるんでしょうか、というご連絡をいただいたのですが、どうやらこの秋の新蕎麦から再稼動しました。うれしいニュースです。ご主人の栗田健一さんにこの半年の間にいろんな出来事が重なり、そうした個人的な事情で、蕎麦打ちから遠ざかっていたそうですが、このたび、心機一転、住所・電話番号も新たにこの11月7日から蕎麦打ちを始めました。
 このニュースを読んでファンになった方も多いようですので、私たちもまずはホッと胸をなでおろしています。住所が東成瀬村から雄勝町秋ノ宮に変わりましたので、電話(F兼)も下記のように変わりました。できるだけ打ちたてを味わってほしいので注文は2日前までもらえれば、とのことです。1箱5人前つけつゆ付き2500円(3回目の注文から2200円で送料別)。
TEL・FAX 0183―56−2185
(あ)

蕎麦を打つ栗田さん

神田神保町のお祭り

 毎年10月末から11月初めにかけて、古本の町・神田神保町で古本市とブックフェスティバルが催されています。古本市は今年で44回、ブックフェスティバルは13回になるそうですが、私は今年初めて催しを覗いてきました。古本市は名前の通り古本屋さんが開くもので、店頭で超特価のワゴンセールをやったり、古書センター脇に仮設テント村を建て、大安売りをしたりします。またブックフェスティバルは新刊本屋さんや出版社が、店頭や歩行者天国の道路で「しょだれ本(カバーがなかったり、痛みが激しかったりして普通に売れない本)」を大幅値引きして販売するものです。こればかりでなく神保町界隈のレストランやホテルが歩行者天国に店を出し、絶品のローストビーフやカレーライス、さらには食堂の焼き蕎麦、豚汁までがどこかの国のバザールみたいに並ぶ楽しい祭りです。
  普段神保町に足を運ばないけどこのときだけは必ず行くという人たちや、毎日古本屋に顔を出すけど、この期間の神保町はまた別物の楽しさがある、と言ってワゴンの古本を物色する人までさまざまで、大変な人手でした。私も豚汁を立ち食いしたり、偶然あった出版社の人と立ち話したりしておおいに楽しんできました。肝心の古本の買い物はあまりの人出でゆっくり本を探せず、結局1冊も買わないでしまいました。まだまだ神保町修行が足りないようで、来年再挑戦しようと考えています。
(鐙)

ワゴンの前はどこも人で近寄るのも大変だ

今週の花

 今週の花はソリダゴ(セイタカアワダチソウ)、ピンクのネリネ、ピンクのストック、臙脂色のガーベラ、そして初めて見るコニカル。コニカルは大きさも形もプチトマトのようなかわいい実をつける鑑賞用トウガラシ。食べられるトウガラシのイメージとは大きく違い、赤だけじゃなく黄色やオレンジ、ピンクもあるそうです。持ってみると予想以上にズッシリと重く、香りもまったくありません。食べても平気なのか、品種改良してできた新種の植物なのか、どんな花が咲くのか、丸い実の中身はどうなっているのか…。疑問はいろいろありますが、とりあえず新たに植物の名前を一つ覚えただけで今回は満足です。
(富)

No.162

しあわせスイッチ(ぴあ)
山田スイッチ

 青森からは時々とんでもないぶっ飛んだスターが出る。他の東北5県ではちょっとありえないキャラクターで、とにかく超モダンと恐ろしいまでのドン臭さが同居している系である。遠くは寺山修司や棟方志向、近くでは三上寛や矢野顕子といった人を連想してもいいが、この作者は日本全国の選挙地を泡沫候補として青森弁丸出し渡り歩く「秀吉太閤ナントカ」というオヤジに近いかも(これじゃ誉め言葉になってないなあ)。この本を読んだ時最初に感じたのは「こいつはまるっきり弘前市内を歩いてるただのオネーチャンだ」ということ。この「ただのオネーチャン」というのが青森ではとてつもなく面白いのだ。秋田では絶対に輩出しない「東北の中の関西人」と思ってもらえばいい。関西人より洗練されていない分、情に厚くて無神経、思いっきりがよく無鉄砲(あれ、これも誉め言葉になってないなあ)。とにかくそんなキャラと行動がそのまま活字になるとリッパな芸に変身するいい見本である。タレントを夢見て上京し、調理師免許もないのに板前になり、ホステスをしたり、お笑いコンビを組んで芸能界デビューをめざしたり、怒涛の東京生活3年間の青春記なのだが、不真面目なのにアガリ症、バカなのに超ナイーブ、芸がないのに文章がうまい(これも基本的には誉めていないなあ)。弘前にもどり、文章を書くという、いい着地点を見つけた。もしかすると大ブレークするかも。

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