Vol.175 04年1月10日 週刊あんばい一本勝負 No.171


仕事始めは「冬の嵐」

 お正月中はいかがお過ごしでしょうか。こちらは雪のない、そのためどことなく「しまりのない」お正月でした。暖冬はお年寄りや生活者には「雪という障害」がなくなるわけで大助かりのようです。が雪国は元々雪が降ることを前提にした社会、経済の仕組みで成り立っているので、降らないとダメージを受ける人たちも少なくありません。悲喜こもごもというやつです。

今年初めての雪で事務所前の田んぼは真っ白
 こんなふうに真綿で首をしめつけるような暖冬が続けば、いずれ雪国の冬に雪は降らなくなるのでは、とぼんやり休みボケの頭で考えていたら、突然ドカンと「冬の嵐」がやってきました。それも仕事始めに合わせて。六日,七日と零下を記録、八日は猛吹雪で外は一面の銀世界。やはり冬はこうでなくちゃ、と膝を打ちながらも、このところ年のせいでめっきり寒さに弱くなり、雪が降っているととたんに非活動モードに身体が勝手に切り替わってしまいます。寒さと高齢化は比例する関係にあるようです(小生は痩せたので寒くなったと信じているのですが)。とにかくポッカポカの事務所からなるべく外に出ないように仕事をしています。皆様もお風邪など召しませんよう、ご自愛ください。
(あ)

ETCは便利だ

 昨年の秋、近いうちに秋田自動車道などの高速道路の料金所にも、ETC(料金自動収受システム)が設置されるが、私はそれを待ち望んでいる、と書きましたが、ようやく11月末にほとんどの料金所に機械が設置されました。高速道路を頻繁に使う人にとっては大変便利なシステムで、いちいち料金所で車を止めて、チケットを受け取ったり料金を払ったりしなくても良くなりました。実際使ってみるとその通過のスピーディーなこと。時速40kmくらいのスピードでスーと通りぬけることが出来ます。しかも以前あった5万円のハイウエーカードと同じように、5万円前払いしておきますと8千円分おまけに使えるようになっています。つまり5万円払うと5万8千円分利用できるわけです。

秋田中央ICからETC専用レーンに入る車
 しかし、秋田のように高速道路があまり発達していない地域では、高速道路の利用率が低く、それはETC機器の登載率の低さにつながっているようです。確かにETC専用レーンを通る車はかなり少なく、朝の通勤時間などは一般レーンに車が集中し、数珠繋ぎになってしまいます。2ヵ所あった料金所のレーンのうち、1ヵ所がETC専用になってしまったためです。でもこれはETC機器の搭載車が増えることによって解消されるでしょう。今後このシステムは有料駐車場の料金支払いに使えるなど、利用範囲が広がるようです。出始めの頃は携帯電話の利用者が少なかったが、メールなどのコンテンツが増えることによって、当たり前の道具になったように、ETCが一般的になり広範囲な利用が出来るようになることを期待します。
(鐙)

今週の花

 今週の花は白いスイートピー、赤いバラ、オレンジのキンセンカ、若松。キンセンカは「金盞花」と書き「金色の盃」という意味。また、学名はカレンデュラで「月初めの日」というような意味らしいです。タネはひからびたイモムシのような形をしているので、知らない人はビックリします。種から育てても切花にしても、とても丈夫で管理しやすい、ありがたい花です。そして、お正月っぽい松の枝ですが、花瓶の水を替えようと触れるたびに、手に松ヤニがついて一日中イヤな匂いがするのには困りました。
(富)

No.171

小津安二郎(岩波新書)
浜野保樹

 03年の小舎忘年会は「小津映画」の話題で盛り上がった。フリーライターの永井さんは昔からのファンでほとんどの作品を観ているようだし、藤原さんも最近の「生誕100年記念」の衛星放送で「まとめ観」し、いろんなことを感じたらしい。鐙編集長はもともと映画青年で大好きだし、私もここ数年(50歳前後から)しょっちゅう観るようになった。黒澤よりも小津のほうがずっといい、と気がついたのは最近だ。これだけすべてを削りに削って「なにもない」ようにみせる技術や精神性というのは「異常な才能」である。自分も老いてきて小津の登場人物と同じ年代になって、そのことがようやくわかってきたのである。繰り返し観てもあきない、そして観るたびに新しい発見がある。小津映画に隠された日本の深い精神構造をもっとしりたくて本書をひも解いたのだが、本書は評伝として実に良く書かれている。読みやすい(小難しさや屁理屈のない)物に仕上がっていて一気呵成に読ませてくれる。読み終わって小津の世界と、私の好きな阿部昭の短編小説の世界や、繰り返しニューヨークを主人公にした映画を撮り続けるウディ・アレンの世界が、確実に共通点があることを再認識、うれしくなってしまった。老いならなければわからない芸術やアートがもっとあっていい。

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