Vol.176 04年1月17日 週刊あんばい一本勝負 No.172


島田が出産、育児のため長期休暇に入ります

 年明け3週目に入った今週あたりから本格的に仕事のエンジンがかかりはじめました。年末に一挙に仕事を片づけてしまうせいもあるのかもしれませんが、年明けは結構ヒマでした。加えて外は猛吹雪、遊び歩くこともできませんでした。このちぐはぐさ、今年の先行きを暗示しているようで不安です。そんななか昨年ISO取得などで八面六臂の活躍をしてくれた島田がめでたく懐妊、今年から出産・育児のため長期間休業することになりました。

仕事中の島田真紀子
 とはいっても行動派の彼女のことですから大量の書類を持ち運んで、家で仕事を続けています。彼女の住む大曲市はここから100キロほど離れているのですが、当分は週1回ぐらいの割で打ち合わせに来てもらい、書類を持ち帰って家で作業するという体制になりそうです。彼女でなければできないISOのサーベイランスや膨大な書店、在庫、愛読者データの管理などを引き続きやってもらうつもりです。さらに、今年の6月いっぱいで営業の岩城が、めでたく55歳の定年退職の道を選び舎から去ります。一挙に二人の人間が舎内から消えるわけですが、なんとか人員補充なしで乗り切ろうと画策しています。そんなわけで今年は人手不足を理由に何かとご迷惑をおかけするかも知れません。ご海容のほど伏してお願いもうしあげます。
(あ)

コンビニのお菓子

 私の生活の中にコンビニが占める割合はほとんどゼロに近い。コンビニと無縁の暮らしをしているのはカミさんも同じで、彼女の場合、これまでコンビニの世話になったのは一,二度しかないという筋金入り。ところが、ある愛読しているHPで「コンビニで売っているお菓子で何がおいしいか」という面白い文章を読み、そこに一押しと書かれていた菓子二点を買いに近所のローソンに走ってしまった。HPというのは糸井重里さんの「ほぼ日」に連載しているニュースステーション・渡辺真理さんの「マリーな部屋」。甘もの食べ歩きエッセイだが辛党のくせに小生このエッセイの大ファン。間の取り方やリズム感が実にいい(単行本になったら買うゾー)。
 彼女の最新エッセイによれば、チョコ菓子の「アルフォート」と「たべっ子どうぶつ」をめぐって同僚のテレ朝アナウンサー河野明子と激しい論争があったようで、おもわず興味津々、コンビニに駆け込み「アノォ、たべっ子どうぶつ、あります?」などとミーハーしてきた次第。事務所に持ち帰ると富山(若い女性です)に「ア、それ知ってます。アルフォートのほうがうまい」と簡単に言われてしまいましたが、食べくらべても、その違いやうまさにまったくコメントできない自分でした。
(あ)

これが噂のコンビニのお菓子

宝の持ち腐れ

 先週の連休に東京から友達が遊びに来ました。前から一度行ってみたかった五能線沿線を冬に訪ねたいと、無明舎出版が出した『五能線ガイドブック』を片手に遊びに来たわけです。私の運転する車で青森から秋田に向けてスタートし、五能線に沿って日本海岸を南下、翌日は男鹿半島まで足を延ばしました。そして半島の先端にある秋田県が経営していた温泉宿泊施設「桜島荘」の前を通ったときのことです。私が「この施設があまりの赤字で秋田県は売りに出したんだよ」と教えると、友人は目を丸くして「こんな巣晴らしい立地にある施設が赤字とは考えられない」と驚いています。確かに民間では建設の許可が出そうにない県立自然公園内の最高の場所です。断崖絶壁の海岸線と日本海の荒波、温泉から見る海に沈む夕日、さらにふんだんにある男鹿の海の幸、と条件はそろっています。友人は「経営能力がないと宝の持ち腐れだね」とぽつり。思い出すとここでは何度か不愉快な目に会ったことがありました。レストランに入ろうとしたら「おい、どこに行く」とフロントマンにたしなめられたのです。どうも無料入浴者と間違えられたようですが、いくらなんでも来訪者に「おい」はないよね。レストランで一言も口を聞かないウェーターの接客(?)を受けたこともあります。とにかくここは従業員の評判が芳しくなく、それが赤字の大きな一因だったことが容易に考えられます。
 それから5日後の今朝の新聞に、この施設を田沢湖町で劇場や温泉宿泊施設を運営し成功している「わらび座」が、一般競争入札で落札したと出ました。これは面白いことになってきました。桜島荘にはキャンプなどができる広い野外施設も併設しています。「わらび座」としてはここで野外劇などの可能性も考えているようです。「わらび座」が成功することによって、役所の経営と民間の経営がいかに違うのかが浮かび上がってくるのが楽しみです。
(鐙)

日本海を見下ろす高台に建つ「桜島荘」

今週の花

 今週の花はアイリス、2色のスプレーカーネーション、菜の花、ピンクのスイートピー。「菜の花」という呼称は、アブラナやナタネのことを指すのが一般的ですが、本来はアブラナ科の植物の花全般を意味する呼び名なのだそうです。だから、大根の花も広い意味では菜の花と呼んでいいのです。最近は、古くからナタネ油用に栽培されていた在来種は少なくなり、栽培しやすいセイヨウアブラナが多くなり始めました。セイヨウアブラナの葉っぱは緑が濃く、表面にロウをかぶっているため白っぽく見えるのが、在来種と見分けるコツ。春になると菜の花のおひたしや辛し和えが食べたくなりますが、花屋に並ぶ菜の花は鑑賞用でチリメンハクサイを改良したものなんだそう。そういえば、茎の太さや葉っぱの大きさが全く違います。菜の花にいろんな種類があるなんて、今まで思いもしませんでした。
(富)

No.172

男坂(文藝春秋)
志水辰夫

 最近の読書傾向としてオビに「何気ない日常における人生の機微」や「中高年のいわくいいがたい悲哀と怒り」とか「何の事件もおきない、老いの日々から」といった言葉がうたわれている本を見ると手もなく買ってしまう。ちょいと前までは「老い」は関係なく30代の女性作家の書く「日常もの」に心惹かれていたのだが、最近は若者がどんなことを考えているか、てなことにはとんと興味がなくなってしまった。とにかく同世代のご同輩たちの生き方や心のありように魅かれ、自分の位置を羅針盤のように小説で確認したりする。
 著者は推理や冒険ものの作家として、あるいは短編の名手として名高い人だが、私は長編を一作しか読んだことがない。題名は忘れたが、それもやはり中高年の悲哀を描いたものだった記憶がある。本書のテーマは「出会い」といっていいだろう。見知らぬ誰かと誰かが出会い、そこから物語が始まる。忘れえぬ邂逅があれば、招かれざる者との出会いもある。いずれも重いものを背負って歩き続けるしかない人間の業や優しさ、さびしさ、悲しさを描いている。7編の収録作品のうち、少年の目が描いた、ある夏の日の不思議な男との出会いを描いた「扇風機」が一番印象に残った。

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