Vol.184 04年3月13日 週刊あんばい一本勝負 No.180


ISOのサーベイランス(定期審査)

 出産の準備のために休業している島田が久しぶりに出舎しました。ISOは取得後も内部監査やサーベイランスが必要で、この四月に取得後初のサーベイランスがあります。ISOを取得したのはいいがその後の資金難やサーベイランスで不適格になって取得を無駄にするケースも少なくないと言う。そうならない準備のための出舎で、一日中大きくなったお腹でパソコンに向かい資料を作成し、後任の富山と入念に打ち合わせをしていました。

富山と打ち合わせ中の島田
 彼女の性格上、仕事になると夢中になってはどめがきかなくなるので、仕事場に来ずなるべく自宅で作業をするように頼んでいます。仕事場に来ると体調を崩すことが何度かあったためです。今回のサーベイランスはそうもいかない難事業のようで、緊張した面持ちで久々の事務所登場でした。彼女の「ISO取得日記」は引き続きHPのトップ画面からISOコンテンツの中で掲載中です。どうぞそちらもご覧下さい。
(あ)

アルバイトの翁

 アルバイトの学生・山岡君の仕事がほぼ終わり2階の仕事場も主がいなくなりかけたのですが、今日は突然見知らぬ「おっさん」が大きな地図を広げてまるで牢名主のような顔で仕事をしていました。よくみると「菅江真澄研究家」の田口昌樹翁ではありませんか(まだ70前ですが)。翁をアルバイトで使うとは無明舎も偉くなったもんだとあいさつすると、翁は大きな秋田県地図にものすごいスピードで菅江真澄が歩いた跡をマーキングしているではありませんか。

作業中の田口翁
 この仕事なら彼の独壇場、いや彼しかできない仕事です。うちが依頼を受けた仕事なのですが、これをやれるのは田口翁しかいない、ということで急遽召集をかけられたのだそうです。ふだんの田口「真澄」翁は明るく楽しい好々爺ですが、こと真澄のことになると心身とも30年は若返るというマスミ・フリークです。若い人がいくら頑張ってもこのスピードでは無理という速さでマーキング作業するばかりでなく、夜遅くまでまったく集中力が途切れないのですから半端ではありません。好きこそものの上手なり、とはよく言ったものです。
(あ)

No.180

ゆらしぃ島のスローライフ(学研)
金丸弘美

 きれいな本である。装丁、編集、挿画、活字組み、グラビア、本全体の手触りから読み心地まで、実に配慮の行き届いた本で、編集者やライターの端くれとしてうらやましい。こんな本づくりを1度はしてみたいが、瞬時に零細出版社の経営者の顔が「ダメダメ、こんな贅沢な本」としゃしゃり出てくる。中身もゆったりと静かでタイトル通りスローライフと見合っている。東京から遥か南の徳之島に一家で移り住んだ著者(フリーランスライター)の素顔と、島で生き生きと暮らす家族の様子が(写真もないのに)読者にきれいに伝わってくるのは、このソフトで静かな語り口によるところが大きい。手の込んだ挿画もみごとだ。全体の指揮をとった編集者のセンスのいい抑制が、この本作りに関わった人たちすべてに徹底されているのがよくわかる。ページの余白には、うるさくないように、さりげなく、でもきっちりと主張を持って「島の味レシピ」が何点か挿入されていて、版面に無意味な空白をつくらない、というデザインポリシーを感じる。たぶん文章も何度も書き直して脂分を抜き、削りに削ったのだろう、しっとりとしながらも抑制のきいたシンプルな文章で好感が持てる。流行の田舎暮らし本とは一線を画する、長く座右に置いておきたい本である。

このページの初めに戻る↑


backnumber
●vol.180 2月14日号  ●vol.181 2月21日号  ●vol.182 2月28日号  ●vol.183 3月6日号 
上記以前の号はアドレス欄のURLの数字部分を直接ご変更下さい。

Topへ