Vol.185 04年3月20日 | 週刊あんばい一本勝負 No.181 |
東京事務所の1周年 | |
早いもので東京に事務所を構えて1年がたちました。去年の今頃、FさんやY君の手を借りて汗ダクダクで引越ししたことを昨日のように思い出します。1年で何が変わって何が変わらなかったのか、いま冷静に考えようとしているのですが、うまく考えがまとまりません。ちょうど受験期の息子と同居した1年間でもあり、仕事よりもそちらに気を遣って、事務所内でやりたいと思ったことが半分もできなかったのも反省点です。その反面、息子のおさんどんも含め必然的に規則正しい生活を余儀なくされ、東京生活に浮かれて暴飲暴食で体調を壊したり太ったりしなかったのは「怪我の功名」といえるかもしれません。トピックスのほうにこの1年の東京暮らし雑感を書く予定です(日記のなかに)ので、詳しくはそちらをお読みください。写真は靖国神社の3月19日現在の桜です。3部咲きにもなっていません。東京の開花宣言の目安になる桜ですので、東京のどこかで桜が咲いても、この靖国の桜が咲かないかぎり東京の開花宣言はありません。もう少し時間がかかりそうですね。去年のこの時期、引越しのことで心身とも目いっぱいでしたので、桜が咲いていたかどうかもまったく覚えていません。しかし1年は早いですね。この週刊ニュースにマンションから見える東京の風景や室内、ご近所のレポートをしたことを、もう懐かしく思い出しています。
(あ) | |
靖国神社と咲き始めた桜 |
散歩と神保町の日々 | |
秋田では仕事三昧、そのぶん東京ではできるだけ自由な時間を作り、幅広く人的交流や個人的なリフレッシュに時間を割くことを心がけています。秋田でも東京でも変わらないのは散歩で、これだけは一日も欠かせない共通の日課です。散歩ができないと身体や精神に明らかな不快感(朝の洗顔や歯磨きを忘れたような)が残るぐらいですから、ほぼ散歩中毒に近いといっていいかもしれません。もう事務所のある神楽坂から歩いていける(半径5キロ以内)場所はほとんど踏破しました。最近は東京の地理にもなれたので電車に乗って散歩コースの開拓に余念がありません。先日は吉祥寺まで行き井の頭公園を歩いてきましたし(太宰が入水自殺した川があまりに小さく驚きました)、映画「寅さん」の江戸川べりや柴又周辺も強風に吹き飛ばされそうになりながら散策してきました。時間をみて船に乗って大島トレッキングや県境を越えて千葉、茨城、山梨にも日帰り散歩の旅に出たいと計画しています。散歩と同じように東京滞在中は毎日神保町にも顔を出します。知り合いの事務所や仕事場、書店などに顔を出すのですが、1週間かけても回りきれないほどです。この「本の街」には昔からの友人や密かに尊敬する人が沢山住んでいます。そんな一人、小学館の「武満徹全集」編集長・大原さんを今回は紹介しましょう。武満全集もいよいよこのGWあたりで最終回(5巻目)、完結だそうで、追い込みの作業で連日徹夜続きだそうです。細かな仕事のスケジュール表を見せていただいたのですが、「ここまでやるの?」という編集の緻密さと徹底的資料発掘に舌を巻いてしまいました。モーツアルト、バッハ、武満と続いた音楽全集シリーズ、次回の大型企画(まだ秘密だそうです)も楽しみですね。
(あ) | |
仕事場の大原さん |
太宰が入水自殺した三鷹・玉川上水 |
面白い本、見つけた | |
本屋で『全日本「食の方言」地図』というタイトルの本を見つけ、気になって手にしてみました。「食の方言」とは何のことだろう、と思ったのですが、パラパラとページをめくって驚きました。「食の方言」とは地域によって食べ方が違うことを指しているのです。たとえば「天ぷらにソースをかけるのはここだ!」を読むと、大阪の男性・〈塩かソースをかけて食べるのが我が家の習慣〉、長崎出身の男性・〈天ぷらにソースをかけて食べることに疑問はない〉。対して東日本ではソースはかけず、天つゆか醤油派が多い、というようなことを延々とやるわけです。この本のもとになったのが日本経済新聞のニッケイネットにある「食べ物 新日本奇行」。週一更新のページで、毎月新しいテーマを出し、読者に意見を求めながらアンケート集計をしていきます。毎月のテーマとは別に、どんどんわき道にそれてゆくのがまた楽しくて、たとえば誰かが「秋田県では納豆に砂糖を入れるらしい」とメールを入れると、日本中から気持ちが悪いとか、砂糖を入れると粘りが出てうまいとかの意見が集まり、盛りあがるとアンケート集計に向かうわけです。ソースカツ丼と各種カツ丼の地域による違い、豚肉と牛肉どっちを多く食べるか、赤飯に甘納豆を入れるのはどの県か、など面白いテーマがどんどん出てきます。変な食べ物地帯のトップが名古屋、次いで広島のようだということもこの本で知りました。
| |
このようなグルメではない、酒飲みの場で出るようなB級、C級の食べ物話をまな板にあげ、地域による食文化の違いを明確に見せてくれた手綱さばきは見事です。HPの編集者であり本の著者でもある、日本経済新聞編集委員の野瀬泰申氏は、ニッケイネットで次の企画を進めています。「食べ物 新日本奇行 おかわり」です。 (鐙)
|
日本経済新聞社発行 1200円です。 |
今週の花 | |
今週の花は、アイリス、くじゃく草、赤いカーネーション、クラスペディア。クラスペディアはゴールドスティックやドラムスティック、さらにはビリーボタンという名前でも流通しています。キク科で、真っ直ぐな細い茎の先に黄色の小花が球状に咲いています。ボウズギクという別名もあるように、黄色いネギボウズといった表現が一番イメージしやすいと思います。主な原産地はオーストラリア。茎が長くて細いのでカーブさせたりしやすく、アレンジや生け花に向いている花材です。
(富)
|
●vol.181 2月21日号 | ●vol.182 2月28日号 | ●vol.183 3月6日号 | ●vol.184 3月13日号 |