Vol.190 04年4月24日 週刊あんばい一本勝負 No.186


大地の新入生です

 事務所前の石井さんの田んぼの土起こしが終わりました。
 いよいよ春本番です。GW中には水が張られ田植えが始まります。刈り入れから冬期間の約半年間、眠っていた田んぼが土起こしでむっくりと目覚めたのです。長年この光景を見てきましたが、半年振りに目の前の田んぼが黒茶色の瑞々しい肌合いをあらわにすると、まるで大地の新入生が登場したような、フレッシュで神々しい気分に誘われます。周辺の緑と対照的なこの赤黒い土の色が、春先だけはぴかぴかに輝いて新鮮に見えるのも不思議といえば不思議な色彩感覚ですね。

土起こしが終わった
 ちなみに小生が一番好きな田んぼの光景は、土お越しから数日後におこなわれる水張りです。夕陽が水面にきらめいて目の前に夢幻的な風景が現出します。この美しさはうまく言葉に出来ないほどで迫力満点です。この景色を見ながらお酒を飲むのが至上のひと時なのですが、ここ数年、忙しさにかまけて、そうしたゆとりを失っています。
(あ)

GM前の最後のドタバタ

 このところ定期刊行物といいながら諸所の事情で一か月ほど遅れていた秋田県道路交通情報誌『ラルート』ですが、通算29号にあたる2004年春号がようやく刊行になりました。『ラルート』はいわゆる商業的な雑誌ではありませんので販売は行わず、そのほとんどが購読者へ直接郵送されます。ですから刊行と同時に膨大な数の発送作業があり、「専属主婦軍団」が1日がかりで事務所2階で集中発送作業をします。軍団のメンバーはラルートだけでなく倉庫管理やたな卸しの際にも常に招集されている人たちなので、小舎の仕事は舎員よりも詳しいベテランぞろいです。それにしてもラルート恒例の発送作業ももう8年目ですから作業も年々早く効率的、スムーズになっています。8年という歳月は主婦軍団アルバイトの中にもう成人近くなった息子さんや娘さんが多く見受けられるようになったことにも感じられます。
(あ)
2階での発送作業とラルート春号

今週の花

 今週の花は、ひまわり、姫ユリ、くじゃく草、アスパラ。アスパラは江戸時代にオランダ人が日本に伝えました。最初は「松葉ウド」と呼ばれる鑑賞用の植物でしたが、大正時代から食用として北海道で栽培が始まりました。私たちが普段食べているのは芽の部分で、そのまま放っておくと袴の部分から枝が伸びて水草のような柔らかい葉が繁ります。この葉が生け花などに使われるのです。やがて小さい花が咲いて、まん丸の小さな実がなります。
(富)

No.186

みちのく古代 蝦夷の世界(山川出版社)
工藤・新野他

 古書店の店頭でバーゲンされていた本だが、古本屋でもっともお買い得なのはこの手の歴史本。内容が古くなるということがほとんどないし、あったとしてもそのこと自体が貴重な資料性を持つ。90年に朝日新聞社の主催でおこなわれた「古代シンポジウム・いま みちのく古代」をまとめたものだが、基調報告をした工藤雅樹、新野直吉両氏の論考も刺激的で面白いが、そのあとのシンポも反論、珍論、けんか腰ありでスリリングである。特に本書ではフィールドワークが主の考古学者に混じってただ一人「文献史学者」と自認する新野直吉氏の善戦が読みどころである。シンポの後半で「古代東北の馬について」がテーマになり、そこで新野は自説である「北のうみ道」ルートを展開、熱い論争になるのだが、いいところで佐原真氏が「馬の話はもういい」と打ち切ってしまったのが残念。学者たちのシンポだが、司会者は作家の豊田有恒氏。彼の進行でこのシンポが面白くて飽きのこない前向きなものになったことも確かだ。それにしても古代東北には「みちのく(陸奥)」と「出羽」の二つの国があったのに「みちのく古代」と一言で言い切るのは、なにかと難しい問題を孕んでいる。

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