Vol.191 04年5月1日 | 週刊あんばい一本勝負 No.187 |
大潟村にフリーター村? | |
東京の20〜30歳代のフリーターに秋田県・大潟村で就農体験してもらい、農業経営や起業に関心を持ってもらおうという「農業インターンプロジェクト研修説明会」が4月28日竹橋のパレスビル(毎日新聞社)で開かれ、参加(取材)してきました。会場は60人ほどの若者で満杯、女性も10人ほどいました。私の隣に座った若者は20歳男性で「大学を休学しても半年間の研修に参加したい」と意欲満々。
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説明会の風景 |
この会は民間の人材派遣会社パソナが主催するもので、すでに昨秋、リストラで企業を辞めた中高年サラリーマン70名を大潟村就農体験に集めた実績を持っています。就農体験には報酬(月額12万円)もでるし、個室の村営住宅も準備されていますし、研修後は農業関係への就職や起業も可能とあって、若者には魅力的なプロジェクト。しかし会場で何人かの若者と雑談をしていて驚いたのは、彼らのほとんどが「大潟村」というのがどこの県にあって、どんな歴史を持つ農村なのか、まったく知らなかったことだ。これには驚いた。
(あ)
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国吉康雄と難波田史男 | |
久しぶりに絵の展覧会を2つ観て来ました。一つは東京国立近代美術館で開催中の「国吉康雄展」(3月23日〜5月16日)。没後50年のアメリカ(移住した)を代表する画家で、作風が年代によってがらりと変わるのがみもの。同じように絵描きとしての変遷を辿った画家(日本でなかなか認められなかった・戦争と深く関わった)として藤田嗣治がいるが、この二人は戦後の一時期アメリカで出会っている。これは藤田の評伝ではじめて知ったことだが、フランスに永住する前にニューヨークで個展を開いた藤田に対して「戦意高揚の戦争画を描いた戦犯」として国吉らがアメリカで藤田排斥の運動をしたのである。国吉もアメリカの戦意高揚のための絵を描いているのだからどっちもどっちのような気もするが、そんな歴史を知って絵を観るのも楽しい。もう一つは東京ステーションギャラリーの「難波田史男展」(4月10日〜5月16日)。こちらは没後三十年記念だが32歳で事故死しているので1940年代の生まれのほぼ同世代人。絵はシャガールを思わせる色彩やアニメチックな発想、神経質そうな構図、どれもがこちらの琴線に触れ感動的。ひどい駄作にさえシンパシーを感じてしまったのだから相性のいい画家なのだろう。もし手ごろな値段で絵が売られていれば、たぶん無理をして買ったのではないか(カタログは2000円なので買いました)。
(あ) | |
二つの展覧会のパンフ
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一人鍋の楽しみ | |
久し振りに角館町に行ってきました。撮影しなければならない石碑があり訪れたのですが、ちょうど桜祭りの期間中で、各地から集まった花見客で街中はかなりの人ごみです。花はある程度散っていたのですが、残った半分の花と若葉のコントラストも悪くはなく、駐車場から目的地の神明社まで、そぞろ歩きしながら楽しむことが出来ました。駐車場への帰途、ふと目に付いた1軒の雑貨屋さんに立ち寄ってみると、店内には売れ残った古い商品が所狭しと並べられ、一昔前にタイムスリップしたような気分にさせられました。古い商品といっても、それなりにハタキがかけられ、きれいにされています。
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そんな中、ひとつの品物が目を引きました。秋田では「貝風炉(きゃふろ)」と呼ぶ、一人用の小さな道具です。この貝風炉に大きな帆立貝の殻を鍋代わりにして、炭火で小鍋仕立ての鍋料理を一人一人が勝手に楽しむものです。しかし最近ではこの貝風炉は骨董品屋などでないと手に入らないため、小さな七輪を使うのが普通になっています。その新品があったのでちょっと驚きました。店の主人に聞くと特注で、陶芸家に作ってもらっているそうです。値段もそんなに高くはないし、素焼き独特の色と肌合いが気に入って早速買い求めました。
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今回の貝焼きはしょっつる味で楽しみました |
その日の夜はもちろん貝風炉を使っての貝焼き(かやき)鍋です。わざわざ材料を買いそろえないで、冷蔵庫にあるセリや豆腐、鶏肉など有り合わせの材料で食べるのがこの一人貝焼きの良いところです。煮えた鍋の具は次々と女房と娘から横取りされる始末でしたが、わいわい言いながら家族で楽しむことが出来ました。
(鐙)
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