vol.20 1月10日号
◆今年もよろしくお願いします
  ふだんと変わるところなく時は流れ、また新しい年を迎えることができました。
新しい世紀とのことですが、それは今のところ小生には何の関係もない時間軸のようです。毎年、1年1年が綱渡り、一寸先は闇の世界を手探りで、社会の片隅で生かされているという想いは深まるばかりです。去年がよくても今年が悪ければそこで終わり、そんな世界で30年近くも生き延びてきたかのだから、そのことだけでも自分を誉めてやりたくもなるのですが、そんな自己満足な甘えに誰も共感などしてくれるはずもなく、ここぞとばかりに油断をつかれ、追い越され、踏みつぶされてしまうのがオチです。良くも悪くも、緊張感を持たなければ消えていくという、そういう激動の時代に生きているのだという自覚を持たざるを得ない新世紀のようです。
 今年も月並みながら一日一日を大切に、気を抜かず、緊張感を持った仕事をしていきたい、と心底思い決意を新たにしています。もうかなりくたびれましたけれど。
 ともかく、今年もよろしくお願い申し上げます。(あ)

◆毎日雪が降っています
 お正月の間、毎日雪が降っていました。日中はしめったボタ雪がゆっくりと天から舞い降りてくるので優雅なのですが、夜半になると暴風の中で雪が荒れ狂い、すさまじいうなり声をあげ、夜中に何度か目を覚ましたほどでした。
 道路は凍りつき、吹雪で視界は悪く、冷たい風が容赦なくコートの中に入ってきます。ほとんど10日間、どこへもでかけずに家の中で過ごしました。こんなお正月も珍しいのではないでしょうか。息子は長野の白馬スキー場で夏に続いてバイトをしていて帰ってきませんでしたし、来客は鈴木明氏ただ一人。もっぱら事務所の片づけや自分の部屋でキーボードを打って過ごしてしまいました。これからはこういう寂しい老後が待っているんだな、ということを暗示させるお正月でした。(あ)


【応接室から見た雪景色】

◆今週の花
 一週間に一度、近所の花屋さんから事務所に花を届けてもらっています。今週の花はチューリップ、ポピー、アンスリウム、デルフィニウム、そしてお正月らしくミリオンバンブーです。先週届いた水仙は窓の外の雪景色と調和して季節感があり、とても良いものでした。生け花やフラワーアレンジの経験はありませんが、バランス良く花瓶にまとめることが出来た時のうれしさと満足感は特別です。
 毎回5種類くらいの花が届きますが、見たことはあるが名前のわからない花が必ず入っていて勉強になっています。(富)


【今週の花】
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◆吉本のたこ焼きを食う
 お正月休みの最初と最後の日、2回にわたって秋田市茨島にある「まるごと市場」の中にオープンした吉本興業が経営するたこ焼き屋「たこばやし」にたこ焼きを食べに行きました。行きつけの理容室のお姉さんが、「食べたことのないたこ焼きの味で、中がとろとろで、生焼けだ、って返しにいったお客さんがいたみたいですよ」という話を聞いて、それは本場ものに違いないっと直感が働いて、カミさんと義母を連れて行ってみたのだが、ものの見事あたりだった。小麦粉と山芋、卵に出し汁でブレンドした素はとろとろなのにコクがあり、外の皮はパリッとして何個でもいける。大阪の連中はこんなうまいものを毎日食ってるのか。一度食べたら忘れられない味で、義母らのリクエストもあって再挑戦と相成ったわけである。いやぁ、ほんとうにおいしっす。(あ)

【たこ焼き屋「たこばやし」】

◆掃除と雪寄せの正月
 無明舎の正月休みは12月30日から1月8日までの10日間でしたが、今年は珍しくどこにも行かないで過ごした正月となりました。そのかわりという訳ではないのですが、年末からずっと家の中から倉庫などの掃除に明け暮れ、秋田市のごみ焼却場に3回もごみ投棄に行ってきました。また今年は例年に比べて秋田市も雪が多く、家の周りや会社の駐車場などの雪寄せにもずいぶん体力を使いました。
 それ以外の時間は、制作中の『秋田のハイキング50』の校正などのたまった仕事をかたづけたり、図書館や古書店を廻りこれから作る本の資料収集をしていました。
 そんなこんなでどこにも出かけず、あまり本も読まずの正月休みでした。(鐙)


【雪寄せ後の無明舎】
週刊あんばい一本勝負 No.18
梶山季之(ちくま文庫)
せどり男爵数奇談

 出版の世界ではこの本を傑作ともてはやす人が少なくない。いつか読んでみたいと思っていた。本書の奥付けの書誌を見ていたら、この本は74年に桃源社から単行本として出ている。その後76年に集英社コンパクトブックスに収録され、83年に河出書房新社から文庫本で出ている。そして95年には夏目書房から再び単行本として出版され、このちくま文庫版は、その夏目版を元本としている。この変遷を見ても、この本がけっして本として幸せな生い立ちをしていないことを物語っている。出しては見たもののあまり売れず版を切られ、そのまま絶版は惜しいとまた別の版元が出し、ということを繰り返してきたのである。見方を変えれば、いつの時代もこの本は見捨てられることなく、きわどいところですくい上げられてきた幸せな本といえるかもしれない。梶山の本はもうほとんど文庫でも絶版なのではないだろうか。内容はエンターテイメントで楽しめるが特別傑作なわけではない。本末転倒だが、ときおり梶山の作家としての日常がリアルに顔を出すのが興味深い。さらに解説の永江朗の文章も抜群におもしろい。

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