Vol.208 04年8月28日 週刊あんばい一本勝負 No.204


マックス三浦を見つけた!

 小学校時代に見た「鎖きり芸」のマックス三浦のことを知りたいと思い、書籍や新聞記事、ネットでも情報を探していたのだが、先日、マックス三浦の娘さんというかたからご連絡をいただいた。オリンピック水泳で北島が2個目の金メダルを取った朝のメールだった。あまりの衝撃に何度も何度も繰り返しメールの文章を読み返してしまったほどだ。さっそく千葉県市川市にご遺族を訪ねてきた。見せていただいたアルバムのマックス三浦は40数年前の姿そのままで、涙が出そうになった。マックス三浦といってもお分かりにならない方が多いと思うが、もう少し詳しく彼の生涯がわかれば、彼についてのルポを書いてみたいと思っている。その大切で貴重な1歩を踏み出すことができたのである。最近あまりいいことがないのだが、これは本当にうれしい出来事だった。娘さんには二人のかわいいお子さんがいて、インタビューの間、夏休み中のだんなさんが子どもさんのお相手をしてくれていた。マックス三浦は私が考えていたよりもずっと複雑で波乱万丈な人生を送った人のようた。「マックス」という芸名はなぜつけられたのか、鎖きり芸はどこで覚えたものなのか、私たちの目の前に現れた彼は当時何歳だったのか…そんな疑問がほとんど氷解した。まだまだしばらくマックス三浦取材は続きそうだ。
(あ)

アルバムのなかのマックス三浦

市川駅前

東京で夏休み

 かなり遅い夏休みを東京でとっている。2ヶ月ぶりの東京である。7月8月の東京は灼熱地獄なので避けていたのだが、8月も終わりになるとさすがに吹く風も秋の気配を感じる。夏休みといっても毎日のように仕事がらみの用事がある。人はひっきりなしに訪ねてくるし、取材に遠方に出かけもする。どこが休みなんだといわれそうだが、1日中机にしがみついていないだけでもマシ。しかし東京の街の変化というのは早い。2ヶ月しかたっていないのに近所の飲食店が何軒も変わっている。マンションのとなりにハイカラな鉄板焼きとフレンチ・ダイニングがオープンしていた。カメラを持って近所を歩くとおもしろい光景に出会う。驚いたのは2万円以下の軽トラの引越し屋の出現、30分で参上するというのだからすごい。整体院の路上看板のコピーも笑える。飯田橋の駅前書店には出版関係者が多くいるせいか「出版・編集本コーナー」があり、ここでは小舎の『ナンダロウアヤシゲな日々』がちゃんとつまれていた。駅横の神田川には何台もの自転車が捨てられているのだが、ここが魚や亀、鳥たちの絶好の休息所になっている。写真ではよくわからないがかなり大きな鳥、巨大な亀(右隅)、1メートル近いコイがうじゃうじゃと群れている。本当におもしろいのは通行人なのだが、これだけは勝手にカメラを向けるわけに行かない。
(あ)

日増しに見えてきた台風被害

 8月20日に秋田県を襲った台風15号は、秋田市内にも風速41,1メートルという猛烈な風をもたらしました。あまりの風音に夜中の3時頃目を覚ましましたが、間もなく停電。我が家でこの停電は夜の7時まで続きました。幸い無明舎は停電しませんでしたが、けっこうロードサイドの大型店は休業しているところが多くありました。秋田市内では停電被害や樹木の倒壊が目立つ程度でしたが、翌日あたりからあちこちの木々の葉が茶色くなり始め、「塩害」という言葉が新聞に出るようになりました。しかし、塩害は木々の葉が枯れた程度では済みませんでした。沿岸部での農作物の被害が甚大だ、ということが日増しに顕著になってきて、秋田県では過去に例のないひどい状況になりつつあるようです。秋田県立大学の谷口先生からも連絡が来ましたが、若美町のホウレン草農家Yさんのビニールハウスのビニールが全部飛ばされ、むき出しになったホウレン草がほとんど茶色になったり、男鹿市中石の果樹農家Wさんの梨が半分以上落下したりしたそうです。また、大潟村のTさんの稲はかなりの部分が塩害で穂の先が白くなったと話していました。昔から親しくしている本荘市のIさんの稲はやはり塩害で全面的に白くなり、ナスや枝豆を始め今地上に出ている畑の作物は全滅だそうです。新聞によると大潟村や沿岸南部の由利郡の被害が甚大で、金浦町の沿岸部は収穫ゼロとなる田んぼがかなりあるようです。これは塩分が稲や野菜の水分を吸収したため起きた枯れ死だそうで、稲をなめると塩辛いそうです。また、農家ばかりでなく漁業被害も大きく、破損した漁船は200艘を越えました。昨日あたりから県産野菜が2倍くらいの価格になりましたし、沿岸にある道の駅や国道沿いにある農産物直売所には葉もの野菜が殆ど並んでいません。
 「リンゴ台風」といわれた1991年の19号台風のときは、秋田県ではある程度稲刈りが始まっていましたし、まだであっても穂の実が熟した後なので倒伏しても何とかなった農家が多かったのですが、今回ように稲がまだ弱い8月に農作物に塩害が起きるなど、秋田県では経験のないことです。そのため本当のところは誰にも結果の予想がつかないようです。秋田市では停電だ、でもそのうち付くだろう程度の認識でしたが、友だちの農家の声を聞くのがかなりつらい、今回の台風の大きな置き土産です。
(鐙)

塩害で茶色になった山の木。8月というのに紅葉のようですが、色はきれいではありません

今週の花

 今週の花は、ユリ、ケイトウ、リンドウ、カーネーション、ワレモコウ。ワレモコウは、下痢止めや止血、火傷に効く薬草でもあり、春先の若葉を油いため、あえものなどにすると食用にもなるそう。全国的にどこにでも自生しているらしいのですが、あまりみかけなくなってしまいました。逆に目に付くのはケイトウ。国道沿いの花壇に植えられているのは、たいていマリーゴールドやケイトウ、それにサルビア。鮮やかな赤と黄色は車を運転していても一目でそれとわかるほど目立ちます。サルビアには「赤」しかないものだと長年思っていたのですが、実はセージのことなので「青いサルビア」も存在すると知ったときは驚きました。よく知っているはずの身近な花にも、まだまだ知らないことがたくさんあるのだと気付かされました。
(富)

No.204

不味い!(新潮社)
小泉武夫

 新聞の県版に1年間、週1回1000時程度の食文化に関するエッセイを書くことになった。『食文化あきた考』というタイトルなのだが、7月8月はほとんどこの原稿を書いていた。長丁場の連載だが、いろいろ他にやりたいこと、やらなければならないことがある身なので、1年分のラフ原稿を一挙に書いてしまうという荒技にでたのだ。いろんな資料を読み、実際に現地に出かけて食べ、電話取材を繰り返す中でテーマであった「秋田県人とはなにか?」という問題が食を媒介におぼろげに見えてきた。まあそれは連載を楽しみに待ってもらうとして、秋田の食べ物で一番不味そうなものはナンダロウか(資料的に)、と調べてみると、これは間違いなく「カラスのロウソク焼き」という結論に達した。大正時代まで秋田や山形、新潟などではカラス捕獲のプロがいて、カラス肉でタンパク不足を補っていたのであるが、特に秋田は10年程前に象潟町が「カラス肉を食べよう」キャンペーンを張ったことで知られている。東京都の石原都知事もカラス肉をミートパイにして都民に食べさせたい、と意気盛んだが、本書には、不味いもの限りなくあれど、天下の小泉先生お墨付きの不味いものとして「カラスのロウソク焼き」をあげている。(抗議で)はやめにカラス肉から撤退した象潟町は、東京都より賢明だったのかもしれない。

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