Vol.215 04年10月18日 週刊あんばい一本勝負 No.211


ブックレットのシリーズを出します。

 半年ほど前からやろうと思っていたのですが、ウジウジ考えて一向に前に進めなかった「あるシリーズ企画」をこの11月からいよいよ刊行します。コンセプトは「初心者のための秋田文化入門講座」、それを盛る器はブックレットです。ここ3年ほどでとりあえず50点ほどを出し、様子を見てそれから年10本ぐらいのペースで出していく計画です。ブックレットというのは考えてみれば面白い「容器」で、これまで出したくても枚数が足らなかったり、経費がかかるため断念していたり、マニアックすぎる出版物や一般的には売れなさそうなものまでも、とりあえず出してみることができるのが強みです。
 いまでしか出来ないタイムリーなドキュメントや実験的な物語も比較的簡単に本にすることが出来ます。読み捨ての雑誌と保存の単行本のいいとこどりをした要素をかね備えているからです。A5判で90ページ前後、定価は945円で、11月中に次の4点がとりあえず出ます。
『戊辰戦争と秋田』加藤貞仁
『菅江真澄と秋田』伊藤孝博
『がんばれ!秋田内陸線』大穂耕一郎編
『米代川読本』無明舎出版編
 12月にも3本ぐらい出ますが、本格的に出はじめるのは来年3月あたりからでしょうか。いまは毎日、図書館で資料集収集、著者との打ち合わせ、新しい企画と著者探しに追われています。2005年は小舎にとって『ブックレット元年』になるはずです。乞うご期待を。 。
(あ)

ブックレットのスタートとなる
『戊辰戦争と秋田』の表紙

地鎮祭と横手やきそば

 ブックレット・シリーズ刊行のため珍しく忙しい日々を送っているのですが、ちょっと油断している隙に、もう半袖シャツが着られないほどに寒くなり、事務所の前の宅地造成はすっかり片付き、紅白の幕がまかれた地鎮祭ようのテントが建っていました。この場所に何棟もの住宅が建つことになるのですが、あまりみたくない風景だなあ、というのが正直な感想です。土日もなく毎日机につながれているような日々ですが先週は、気分転換もかね、友人の悩み事相談で横手に行ってきました。昼を食べようということになり、いまや名物になりつつある「横手やきそば」を食べました。私の母親は横手出身で小さいころよく食べた「おやつ」です。子供心に美味しいものだなあ、と思った記憶があります。他の焼きそばとは違う「むしめん」は太くもったりしていて、甘辛い独特のソースの上に目玉焼きがのっています。横手市内には10店舗以上、この焼きそばを食べさせる店があるのですが、これまでいまひとつ、うまいという店に当たらなかったのですが今回は大正解。手際も見事なので、聞くと「広島で長くお好み焼きの修行をしてから横手に帰ってきた」という奥さんでした。なるほど、これなら大丈夫。
(あ)

地鎮祭のテント

横手やきそばの店

今週の花

 今週の花は4種類。ソリダゴ(セイタカアワダチソウ)、紫のデンファレ、赤くて丸い花はピンクッション、光沢のあるギザギザの葉っぱはリビストニア。ピンクッションはその名の通り、針山を連想させる外見をしています。小さな花の集合体で、ピンにあたる部分がめしべ。よく見ると針刺し本体にあたる部分には綿毛もあります。これがどんな役割を果たしているのかについては、いろいろ調べましたが答えはみつかりませんでした。切花の状態で見るといかにも南国風で毒でもありそうなけばけばしさですが、自然の状態では高さ3mくらいの低木にずらっと咲いてなかなかキレイなのだそうです。
(富)

No.211

文筆生活の現場(中公ラクレ)
石井政之・編著

 最近なんとなく「中公ラクレ」を手にとる確率が高い、と感じるのだが、これはやはり編集部にいい人材がいて、こちらの問題意識に先行する形でタイムリーな本を出しているからだろう。本は買うというよりも、いい意味で買わされている側面が往々にしてある。本書も買うかどうか迷ったのだが、結果的に買って正解だった。密度の濃い12本の原稿をたった780円で何度もじっくり読めるというのは超お得な気分である。最近の新書はとにかく本体も中身もうすっぺらい。単行本にするには問題あり、といった内容のものばっかしで、雑誌の特集を少しリライトして膨らました程度のものがほとんどだ。その代わりテーマは思い切りスキャンダラスで挑発的、でももう新書にはだまされないと思いつつ結局手軽さとタイトルのきわどさに負けて買う。本書はそうした新書と明らかに一線を画している。ノンフィクション・ライターは成立するのか、というのがテーマである。登場する12人のノンフィクション・ライターたちが何はともあれ自分の生命線(テーマやギャランティ、出版やメディア)について真剣に語りかつ書いている。対岸の火事ではないのでほぼ全員の言葉に力とリアリティがある。江川紹子のテレビに出るために払った代償話などは驚くエピソード満載で、これで1冊本を書いてもらいたいくらいだ。

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