Vol.218 04年11月6日 週刊あんばい一本勝負 No.214


う〜ん、今年の種苗交換会はダメだなあ

 大曲市を会場に開かれた第127回秋田県種苗交換会に出かけてきた。ほぼ毎年でかけているのだが、今年は台風や塩害などの農業被害が大きく、そのせいもあり出品作が少なかったこともあるのだろう。なんとなく会場全体に活気がなく、うら寂しい感じをもった。露店も大曲周辺の店だけがしょうがなく出店しているような雰囲気で、秋田市の市民市場ほどの賑わいもない。会場も狭くてスカスカ、なにしろ中で立ち働いている関係者に明るさがない(それでも入場者数は過去2番目の多さだったというから驚きだ)。農文協のブースで何冊か本を買い、浅舞漬物研究会の新製品の漬け物と田園ハムのソーセージを買い(これっていつものスーパーでの買い物と同じじゃないか)、ウーメンとか言う、よく訳のわからない中華そば風(うまくない)を露店で食べ、そそくさと帰ってきた。ま、いろいろと農家にとってたいへんな1年だったことはわかるが、年1回の大イベントなのだから、もう少し真剣に企画を練り、イベントに工夫を凝らす必要があったのではないだろうか。気の早い話だが、来年は会場が「鹿角」。これはかなり期待できる。今年に入って何度か鹿角に行っているのだが、もうとにかく秋田とは文化がほとんどクロスしない「異郷の地」なので、何が飛び出しても不思議ではない土地柄である。来年は泊り込みで出かけようと思っている。
(あ)
なんとなくうら寂しい会場内外

映画「スウィングガールズ」は面白いゾー

 これはビデオじゃなく大画面の映画館で観て正解だった。「バーバー吉野」と「きょうのできごと」の2本で裏切られ、日本の若手映画監督に過剰な期待するのを止めようと思っていた矢先、あの「ウォーターボーイズ」の矢口史靖監督のエンターテインメントに救われた感じ。
 物語(本の原作はないと思うのだが。あれば絶対読んでいるはずだから)がいい。山形・米沢周辺のずーずー弁丸出しのパープリンな女子高校生たちがビッグバンドの魅力にはまり、どたばたを繰り返しながら、わかっているけど感動的なラストまで、いっきに観客を引っ張ってくれる。山形弁、女子高生、ジャズという「異色の」組み合わせを考え付いた時点で、これは勝ちっ。面白くならないわけがない。ある意味、山田洋次監督の「たそがら清兵衛」よりもずっと「山形」の使いかたに長けた、でもあざとさとは無縁のエンターテイメントかもしれない。だいたい藤沢周平というネタがあって撮られた映画と、脚本自体が創作された映画は、また違った尺度の観方があってしかるべきだと思う。ずいぶんと粗っぽい筋の展開もあるが、山形の美しい山野の風景がその陥穽を十分埋めてくれる。
(あ)

これがチラシ

No.214

いとしい和の暮らし(ソニーマガジン)
平野恵理子

 仲秋の名月に、カミさんに命じられて近所の山にススキをとりにいったら、桜が開花していて、木々に若葉が芽生えていた。ほとんど世紀末のようなグロテスクな光景である。台風による沿岸部の塩害は予想以上に深刻だ。強風が海水を巻き上げ、それを植物に撒き散らしただけで、ほとんどの農作物や木々はバイオリズムが狂ってしまうのだ。私たちはこんなデリケートな生き物たちに囲まれて、あたり前のように愛で、日々癒され、恵みまで受けて暮らしているのである。あらためてそのことを知らされた04年の秋である。仲秋の名月は本書を見ると「お月見」の項に「豊作と健康を祈った農耕儀礼らしい」と書かれている。元々は中国の風習なのだそうだが、平野さんはそこに自分の母の習慣なども書き込み、本書をただの「日本の行事ガイドブック」ではない、味わい深い書物にしあげている。日々、単調に過ぎていく月日に対して私たちはもっと伝統行事や四季の移ろいに自覚的であるべきだ、と年をとる毎に思うのだが、本書はそうした人への絶好のガイドブックになっている。平野さんはいつもの毎日をふっくら豊かにするために、無理なく、気負わず、四季の節目のアクセントをつけよう、とやさしく呼びかけている。

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