Vol.230 05年1月29日 週刊あんばい一本勝負 No.226


温泉もたまには、いいもんだ

 背丈より高い雪の壁が残る宮城県との県境にある秋の宮温泉郷・鷹の湯温泉に行って来た。秘湯として有名なところだが建物も設備も近代的な清潔で明るい温泉宿である。突然、温泉に行くことになったのは、このすぐ近くに小生の父親が寝たきり入院中で、その見舞いもかねた母との二人旅である。温泉そのものがそんなに好きなわけでなく、仕事もバタバタ忙しく(厳しく)、心身とも「のんびり」とはなかなか行かないのだが、まあここまで来てじたばたすることもない。仕事や将来に思いをはせ暗く落ち込んでも露天風呂からは白い雪の壁だけしか見えない。
 夜は一方的に繰り出されるお袋のグチというか近所仲間へのゴシップ悪態を、うんうんとうなづきながら聞き、そのため一人酒がすすみ、翌朝がきつかった。それでも翌日の昼までには戻って普通どおりに仕事、いつもの日常である。同じ県内にある場所なのに、鷹の湯温泉はもうはるか彼方の日の「おもいで」に感じている。これもかなり奇妙な感覚ではあるなあ。
(あ)

露天風呂からは雪の山壁が見えるだけ

うれしい到来物2つ

 恒例の、といっていいのか出版評論家Mさんがつくる「干し柿」が届きました。去年より小粒ですが量は3倍ほどあり、独り占めして食べた去年と違い今回は舎員全員で食べることができました。去年は大きい分、大味かというとその逆で旨みがたっぷり閉じ込められたジューシーな、なんともいえぬ美味で感動しました。今年は小粒で味は端麗、さっぱりして何個でも食べられます。同じ産地なのに年によって柿もこんなに味が変わるんですねえ。
 もう一つ、シフォンケーキの「差し入れ」がありました。これは県南部にあるK書店の奥様からで、ウチのTが「本に関しての質問に丁寧に答えてくれたお礼」だそうです。本屋さんと長く仕事をしていますが、本屋さんから物をいただくということは実はなかなかありません。これはかなり珍しい出来事なのです。おまけにこのシフォンケーキ、奥様の手造りです。写真はもう半分以上喰ってしまった無残なものですが、味は飛び切り美味でした。ありがとうございます。
(あ)

銀杏もついてきた干し柿

書店から送られたケーキ

No.226

COME!(講談社)
松本タカ漫画・日高トミ子

 「ヤングマガジン」という雑誌連載の農業マンガである。これだけ農業が日本人の暮らしや経済から「鬼っ子」扱いされ、仕事として貶められると、逆に若者たちの間に「ゆりもどしとしての小さな農業ブーム」でも起きるのでは、と内心思っていたのだが、このマンガはそのさきがけになるのだろうか。昨年秋、東京のフリーターを集めて給料を払いながら大潟村で農業体験をさせる、という試みを人材派遣会社パソナがはじめた時、「いよいよきたな」と思ったのだが、実はこうした地道な努力よりも農業マンガ1本が大ヒットすれば、現代ではずっとそのほうが効果的である。そういう意味ではまだ1巻目が出たばかりのコミックだが、ヒットして欲しいものだ。主人公は青森ビンボー農家出身のもてない東京の大学生。彼が恋する女性「こまち」は超美人で会員制クラブのホステス。傲慢で生意気な秋田娘。2人の共通点は「米」。この美人ホステスは、小さいころ売り払った秋田の田んぼを買い戻すためにホステスをして金を貯めているのだ。これに男のかわいい妹が絡む。この妹のキャラクターが、うまく機能している。冬場には東京にタクシー運転手として出稼ぎに来る父親のキャラクターも期待が持てる。マンガはまだはじまったばかりだが、「こまち」のキャラクターがどのように変容して、2人の恋がどのように進展するのか、早く続編が読みたい。

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