Vol.232 05年2月12日 週刊あんばい一本勝負 No.228


雪の中に埋もれて考えること

 とにかく毎日が雪、雪、雪で、かまくらで仕事をしている気分です。2,3日降り続き1日あたたかくなり、そこを狙って除雪車が出動し、道路わきに大量の雪を積み残していきます。日に3度も雪寄せしなければならない日もあるほどで、これでは一人暮らしの老人の苦労はいかばかりでしょうか。私の実家の湯沢は大変な豪雪地帯ですが、毎朝除雪車が出動したあとシルバー人材センターから派遣された「雪かき人」が各家々に積み残された雪をスコップで除去するサービスがあります。シルバーと年間6千円で契約すると、雪の日は毎日でも除雪の後始末に来てくれるのです。老人の一人暮らしには本当にありがたいサービスです。雪で苦労していると「イラクより新潟に行け雪下ろし」などというサラリーマン川柳に心の底から拍手したくなります。雪との戦いは、ようするに徒労との追いかけっこで、もっとも消耗感の強い労働です。なんでこんな無償の仕事に大切なエネルギーを使わなければならないのか、悔しくて歯軋りしたくなるときもあります。
 ですから東京や仙台に行くたびに、あの澄み渡った冬の青空に嫉妬以上の怨嗟すら覚えます。最近は秋田市と湯沢市を高速道で往復する機会が増えているのですが、降雪時は吹雪で前が見えず危険でほとんどつかえません。国道で行けば2時間近くかかるところが1時間弱でつくので高速は暮らしに欠かせない存在ですが、雪の前にまったく無力なのもイラつく原因です。とにかくもう雪はけっこう、というところです。
(あ)

事務所前はまあこんなもんですが

秋田県で25番目の道の駅

 秋田市から大曲方向に向かって、国道13号を30分くらい走ると協和町があります。ここから角館町に向かって国道46号が走っていますが、その途中に「道の駅・協和」が10日オープンしました。協和町から盛岡市に向かって走る国道46号沿いに出来た、秋田県側最初の道の駅です。この国道46号は秋田、角館、田沢湖、盛岡と県庁所在地と観光地をつなぐもので、以前から交通量が多いのに休憩施設が少なく、ドライバーから不満が出ていましたが、これでドライバーもゆっくり休むことが出来るようになりました。
 この道の駅に菅江真澄を紹介するコーナーを作りたい、と前々から町や国土交通省から相談を受けていましたが、とりあえず本格的にスタートする前に、以前からあったパネルを使って暫定的なコーナーを設置しに行ってきました。オープン直前独特のあわただしくも華やかな雰囲気の中パネルを設置し、その後施設の中を見学してきました。
 休憩施設や食堂、物販コーナーなど一通りのところを見て回りましたが、物販コーナーの中に目を引くものがありました。みずみずしい日向夏やキンカンなどの柑橘類やゴーヤ(ニガウリ)、新鮮なキュウリ、麦焼酎などが並んでいます。協和町と友好関係にある宮崎県砂土原町から取り寄せたそうで、雪国の新鮮な野菜不足を補うアイデアです。スーパーに行けば同じようなものが並んでいるでしょうが、秋田のおばあちゃんたちが作った漬物などと一緒に道の駅に並ぶと、これはこれで気分のいいものです。
 ここには陶器を焼く穴窯も新たに造られ、備前焼きの窯場で修行した職人さんがろくろを回していたり、協和町周辺の民家を再現した建物が造られそこで焼き物教室を開いたりと、ほかの道の駅にはない雰囲気をかもし出しています。これに菅江真澄のコーナーが出来上がり、真澄を紹介するボランティアガイドさんがいるとなればいい話題提供になりそうです。大雪のなかオープンした新しい道の駅が賑わうことを期待したいものです。
(鐙)

道の駅・協和の休憩所に暫定的に作った真澄コーナー

雪国で見る南国のフルーツは別世界を感じさせてくれます

No.228

シクスティーズの日々(朝日新聞社)
久田恵

 朝日新聞家庭欄に連載当時は次回が待ち遠しかったが、連載が終わってもなかなか本にならなかったのはどうしてなのか。03年6月に連載が終わり本になったのが05年1月、というのは常識的には考えられない間のあき方。取材後記を読むと「その後の追跡取材」をしていた様子も見えるので、そこで時間をとられたのかもしれない。それはともかく新聞連載をもとに単行本になった本書だが、正直なところ連載のときほど新鮮な読後感がもてなかった。読みきりの新聞記事では短い端正な文章を何度も繰り返し読んだが、単行本ではさっと目を通しただけ、というこちらの「読み方」に問題があるのかもしれない。まあ読むのが2度目になるわけだしね。初出のようにはいかないのが当然かも。久田さんの書くものはみんな好きだが、ビートルズの「When I'm Sixty-Four」という曲からとったというこのタイトルもいい。定年後、田舎の故里に帰ってくる夫婦に村長が「若い時は都会で面白おかしく過ごされて抜け殻のようになり、多額な退職金の住民税まで向うにお払いになって戻ってこられましたが、皆様の老いの面倒を看させてもらいますわ」と挨拶するくだりには笑ってしまった。

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