Vol.245 05年5月14日 週刊あんばい一本勝負 No.241


まだ、バタバタしていますが…

 GWも何事もなく終わり(実はある本にミスを発見、その対応に一人アタフタしてたのですが、私自身のミスなので、ひっそりと処理)、もういつもの業務に戻り、毎日仕事三昧ですが、バタバタと過ごしています。
 去年の暮れから、あまりいいことがなくてHPでも愚痴ばかりこぼしていたのですが、父親の100か日法要もおわり、義母との同居も環境が整い、ようやく春の陽気のように心も軽くなってきました。仕事に集中し、いろんな人に会い、身体を鍛えてぜい肉を落とし、気力を充実させて前に進もう、という気力がかなり満ちてきました。ですから週に2,3度は用事を作って外に出るように心がけています。外で飲んだりすることも厭わなくなりました。ですからここ数週間でかなりの人たちと会っています。そのいちいちをここで報告したい誘惑に駆られるのですが、止めます。ネットで個人名を出すのはきわめて危険だからです。いま個人情報保護法のPマーク取得をめざしていますし、そのへんは慎重にならざるを得ません。
 やっかいな時代になったものです。この「個人情報保護法」は、ある意味で出版の販促方法(DMなど)や、ある種の印刷物に大きなダメージを与える可能性を秘めています。いまから勉強しないと後で取り返しのつかないミスをしてしまう危険性があります。でも、あいかわらず出版界にはなんの動きも表面的にはないようです。保守的な業界ですねえ。
(あ)

あまりHPとは関係ないのですが、私の父親のお墓です

「熱血こうごろう荒町風雲録」が出るよ!

 「最後の仙台人」を自称する荒町の名物オジサン、出雲幸五郎さんの本がいよいよ5月末に刊行になります。300ページをこす本ですが値段は1700円(本体)。自分で作って配送までしていた月刊「こうごろう新聞」の10年分のエキスです。
 とにかく年齢からは考えられないほどエネルギッシュで、ハンパな行動力ではありません。ユニークな町おこしがあると聞けば、全国どこへでも出かけ、町内では子供たちや町内会のために、獅子奮迅の活動を繰り広げます。荒町にある経営する文具店には名物のキャッチコピーが貼ってあり、これを見るためにわざわざ店まで行く人もいるのだそうです。とにかく破天荒でおもしろい本です。ぜひご一読を。
(あ)

このおじさんが幸五郎さん

テンとばったり

 秋田県の中央部、雄物川流域にある大仙市協和(旧仙北郡協和町)の峰吉川地区にある高寺山山頂に、高寺観音堂と呼ばれるお堂があります。先日、撮影のためその高寺山に登ってきました。「たいしたことが無い、簡単に行けると」聞いたので、革靴、ネクタイのまま気軽に歩き始めたら、なかなか急な上り坂で思いがけず汗をかいてしまいました。麓から歩いて20分ほど、高さが200メートル程度の小山ですが、途中や山頂から見える景色は素晴らしく、西を見ると雄物川を中心に強首方面と出羽丘陵、南を見るとやはり雄物川と刈和野、大曲などの町並みや田んぼが遥かかなたまで見渡せました。残念ながらこの日はだめでしたが、雲がないと鳥海山もくっきり見えるそうです。
 堂々としたつくりの高寺観音堂の撮影をして、民有林の伐り出しのために新しく作られた山道を下りてくると、小動物がちょこちょこと私のほうに向って歩いてきました。テンです。頭から尻尾の先まで50センチほどの大きさ、まだ冬毛のため輝くような黄色の毛並みをしています。じっと動かないで立っていたため人がいることに気が付かず、私の3メートルくらいの距離まで近寄ってきました。おかげで7、8枚の写真を撮ることが出来ましたが、そこでさっと私の背の方からテンに向って風が吹き、匂いがしたのでしょう、驚いたような顔をして私と数秒間見つめ合い、きびすを返すようにして去って行きました。
(鐙)

高寺山の頂上から見た雄物川と刈和野、大曲方面

かわいらしいが獰猛な肉食獣のテン

No.241

山中静夫氏の尊厳死(文春文庫)
南木佳士

 生まれ故郷にみずからの墓をつくるため、末期がん患者は病院を抜け出し、その作業に没頭する。主人公であるその患者の名前は山中静夫。この患者との交流を通じて初めて尊厳死に臨もうとする医師の葛藤を描いたのが表題作だが、実はこの文庫には「試みの堕落論」という中篇小説も併録されている。小説としてはいささかこなれない題名だが、中身はなかなかどうして、この著者のものにしては異色作といっていい内容の物語だ。タイの難民医療団に加わった医師の、つかの間の休日を描いた作品、と解説すればどうということもないが、実は日本人医師が現地で売春婦を買う話である。これもまた小説としては格段珍しい話ではないのかもしれないが、この売春婦を斡旋する「仕掛け=舞台裏」が秋田出身の2人の日本人男女である、というところが個人的には興味をそそられた。著者は秋田大学の医学部出身で、その小説にはよく暗く、寂しく、やるせないネガティブな秋田の街や青春時代がよく描かれている。この中篇ではその秋田が、異国の地でさらにネガティブな物語の「仕掛け」として意味と機能をもたされている。秋田が舞台になる小説は少なくないが、こうしたネガティブナな設定で秋田が舞台になる小説は珍しいかも。

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