Vol.246 05年5月21日 | ![]() |
人物伝のラッシュです。 | |
ある特定のジャンルやテーマ、地域の本を出すと、本当に不思議なのだがその同じテーマや地域の本が続く。例えば、男鹿半島の本を出すと男鹿にかかわりのある著者の本が続き、食べ物をテーマにした本ならば、似たような企画が立て続けにもちこまれる、といった具合。これはどうにも説明できない傾向で、30数年の本屋稼業で「えええっ?!」という経験を何度かしている。
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今回は「人物伝」である。うちは人物伝の出版点数じたいが少ないのだが、5月に入ってからだけで(!)3本もの人物伝の出版が決まった。1冊は大冊で、大正期の文壇ジャーナリズムに異彩を放った「安成貞雄」。2冊目は、秋田の郷土史研究最大の功労者ともいえる「深沢多市」。3冊目は、秋田出身の舞踏家「石井漠」の物語である。この3冊はいずれもここ1,2週間のうちに決まった企画だが、たぶんあと2,3本は人物伝の企画が持ち込まれそうな予感がする。
(あ)
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人物伝の主人公たち |
近頃気になった2つのこと | |
仕事といえば仕事だが、のっぴきならない用事でとんぼ返りの東京往復を繰りかえしている。秋田ではめったに本屋に行くことはないが、東京ではよく本屋さんに入る。ふらりと入ったその飯田橋の書店で名作映画のDVDが500円均一でワゴンに入れられ大量に売られていた。横井増生「アマゾン・ドット・コムの光と影」(情報センター出版局)を読むと、ヒットした映画のDVDが保存用として一日に何万本もアマゾンだけで売れる様子が描写されているので、驚きもしなかったのだが、「市民ケーン」や「カサブランカ」「若草物語」や「黄金狂時代」がすべて500円。う〜ん、これってすごいね、文庫本より安いじゃん。この「安さ」が本にまで波及しないように、と祈りながら何本かの500円DVDを買ってしまった。 もうひとつ、最近の出張の楽しみは羽田空港第2ターミナルにある「餉餉(けけ)」で食事をすること。ここはバイキング方式の和風自然食レストランで、大人1800円と少々料金は高め。どこの旅館でも出る朝食風メニューしかない。高くて平凡メニューだが、うまい。懲りすぎた味付けや過剰な演出やサービスはもうウザい、と思っている人にオススメ。ハイカラ・懲りすぎレストランの裏をかいて、味とシンプルさで見事に成功した「食堂」である。第一ターミナルにも「デリ」という軽食屋さんがあり、ここも小生のお気に入り。だから羽田に行く時は外で食べず、できるだけ空港内で食事することにしている。 (あ) | |
DVDと食堂
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峠歩きとかりんとう | |
山形県高畠町二井宿地区と宮城県七ヶ宿町湯原地区との県境は、二井宿峠で接しています。ここには江戸時代より遥かに古い時代から道があり、伊達政宗や吉田松陰、幕府の巡見使・古川古松軒なども通っています。この前の日曜日、この峠を歩く企画があり参加してきました。山形側の二井宿から出発し、峠にある大滝不動尊まで歩くもので、途中、幕府に直訴して処刑された高梨利右衛門の供養碑や刑場跡、低温を利用した蚕卵の貯蔵庫として作られた風穴などの史跡を見学。案内をしてくれた人による、分かりやすい山菜や植物の解説も交えながら峠まで歩きました。昼食は湯原公民館で高畠産蕎麦粉100%で打った蕎麦や、山菜のテンプラなどを堪能することができました。 |
旧道は途中1カ所だけ沢を渡っていた |
翌日は山形県上山温泉にある旅館で本の撮影です。旅館が所蔵している版画本ですが、江戸時代末期につくられた『東講商人鑑』(あづまこうあきんどかがみ)という、当時の旅館ガイドブックのような本を復刻するためで、65丁(130頁)全ての撮影をしてきました。ここは400年以上続く旅館で、すぐ前を旧羽州街道が通り『東講商人鑑』にも「常飛御宿」と出ています。近くにはRという古くからのお菓子屋さんがあり、ここの名物は「かりんとう」。本来は「ゆべし」が代表銘菓なのですが、この「ゆべし」をつくるとき出たあまり物の小麦粉を取り寄せて置き、一定量貯まると「かりんとう」を作るのだそうです。
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とても人気がありますが、何時行ってもあるわけではなく、運が良いか予約するかしかありません。私は頼んでおいたので2袋買えましたが、かりっとした口当たりと、匂い立つような黒糖独特の香りが特徴で、そのあたりにある「かりんとう」とは一味違います。峠歩き、温泉、手打ち蕎麦、山菜料理、おいしいお菓子、珍しい本の撮影と、2日間、山形の良さに触れてきました。
(鐙)
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これが人気の「かりんとう」 |
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